位置情報は未来にどんな価値を残せるだろうか?

こんにちは。株式会社ブログウォッチャーの杉山と申します。
noteをご覧いただきありがとうございます。

社名を見て、「何の会社だ?」と思われた方も多いかと思います。
当社は国内最大級の位置情報データベースを持つ企業です。
位置情報を用いた商業施設の商圏分析や、位置情報を活用した広告事業を営んでおります。

私はその中で広告事業の責任者を務めております。
今回は、そんな私が位置情報を取り扱う上で、大切に思っていることを発信します。


位置情報とは?

位置情報と聞くと、「ああ、Yahoo!で天気予報を見る上で設定したな」や「Google mapでお店探しに使っているよ」と言った印象かと思います。
簡単に言うと、人々がどの場所にいたのか?どこに移動したか?を表す情報です。

その情報を6000万MAU(Monthly Active User)ほど保有しており、鳥の目で世の中を解像度高く捉えることが出来る点が面白い点です。
この記事を読んでいるあなたなら、地図と人の動きで世の中を見ることが出来るすると、どんなビジネスに使えそうだと思いますか?

※位置情報はユーザーの許諾を受けた情報だけを用いており、許諾をとる際も目的や用途をかなり大きく明示した上で取得をしております。
※個人情報との紐付けは一切行っておらず、個人の位置が特定されないようにデータにランダムノイズを乗せて特定不能な状態に加工しています。

位置情報広告の概要

位置情報の一番メジャーな使い方はWEB広告です。
GoogleやYahoo!の広告配信機能にも搭載されていますが、「過去3ヶ月に指定した場所に行ったユーザー」のような指定で広告を配信できます。
GoogleやYahoo!だと半径1kmですが、ブログウォッチャーでは最小60mから配信指定が可能です。

配信に活用するだけでなく、広告戦略にも位置情報は活用されます。
商圏内の競合と自社店舗の来客比較を行い、どの地域が狙い目なのか?どのエリアは逆に負けているのか?などの分析を通じて、確からしい広告配信のセグメントが見えてくるからです。

この場合はWEB広告だけにとどまらず、どのエリアにチラシを送るか?と言ったオフライン施策にも転用出来る点が良い点ですね。

位置情報を使ってまでWEB広告を配信する意味はあるのか?

広告配信の最もメジャーな手法として、オンライン上の行動履歴を追った広告配信があります。(リターゲティング広告が際立つ例)
そういった広告があれば、あえてオフライン(現実世界)の行動履歴を追う必要はあるのか?と思われる方もいらっしゃると思います。

私は明確に「位置情報は広告において価値がある」と考えています。

位置情報がWEB広告にもたらす価値とは?

なぜ位置情報はWEB広告において価値があるのか?
それは、3rd Party Cookieが規制されることで、オンライン上の証跡を追うことが難しくなるからです。

3rd Party Cookieとはもの凄く端的に言うと、「ユーザーが訪れたサイト、訪れたサイト内で閲覧した広告のデータ=足跡」のようなデータです。

これまではこのデータをサイト間で共有することで、「Googleで車とアウトドアの情報を見て、ゴルフの広告を見た、推定年齢30~40代の男性」といった人物像を作り出し、そこに該当する広告を当てる。といったことができていました。

しかし、これは個人を特定しうる危険な情報であるため、2024年から規制がスタート。Googleでは2024年後半から完全に利用できなくなる方針です。
これが意味することは「オンライン上の行動を追った広告配信の品質低下」が起きるということです。

これまで自分になんとなく関係ある広告が多かったところから、自分への関連度の低い視覚的邪魔な広告が増える可能性があります。(もちろん各社、各サイトで対策はしていますが、従来レベルでの捕捉は不可能です。)

そこで、オフラインの行動をベースにした配信を行うことで、少なくとも行動ベースで関連度の高い広告配信が可能になるということです。

位置情報広告事業者として大切にしたいこと

上記だけだと、「オンラインで追えないならオフラインで人の行動を追ってしまおう」と言うメッセージに聞こえるかもしれません。

そう言った側面もありますが、私が位置情報広告事業者として大切にしたいことは「広告配信を情報発信に転換すること」です。
何の事か分からないと思うので、順を追って説明します。

広告配信とは?

広告配信が担う役割は、シンプルに「たくさんの人に自社・自社サービスを知ってほしい」と言う配信者側の願いを叶えるものです。

性別や年代と言った情報で絞り込みはできますが、原理としては自社サービスの購買可能性がある人/高い人にサービスを届ける・知ってもらうが前提です。
これの行き着く先は「広告面の占拠」だと考えています。

YouTube等を見ていると、何度も何度も同じ広告が流れてきた経験のある方は多いのではないでしょうか?
これは配信者側の知って欲しいが行きすぎた結果、視聴ユーザーの体験が損なわれているケースだと思います。(広告を見て逆に嫌悪感が湧いてくるイメージ)

もちろん企業なので予算消化のためにまとめて配信すること等もあるでしょうが、せっかく知ってもらいたいと思って広告を配信しているのに、配信すればするほど悪い認知を刷り込んでしまうのは勿体無いです。

情報発信に転換するとは?

広告だけでなく、サービス全般で意識するべきこととして「サービスの影響を受ける人の体験」が最重要視されるべきだと私は強く思っています。

広告であれば受け取るユーザーの体験、車の販売であれば購入者、コンサルなら支援した会社のサービスを受領する人、いわゆる最終的にお金を払うエンドユーザー体験こそ最も尊いものであるべきと考えます。

位置情報広告で言うと、安易に「競合の店舗に来訪しているユーザーを狙いましょう」とターゲティングしてしまいがちです。
しかし、その配信を行った時にユーザーは本当に喜んでその広告を見てくれるでしょうか?

広告として「私を知って欲しい!」と言う前に、「こんな情報だったらユーザーも喜んでくれるかな?」をTMP(Targeting, Messaging, Processing / Positioning)全体で設計するべきと考えます。

例えば車の広告を配信するとします。
競合店への来訪は=車の購入を意味する可能性が高いので、ターゲティング時点で競合店来訪者を指定するのであれば、車の販売訴求は悪手です。(もう買ったわ!と思われてしまう。)

であれば、「オイル交換サービス」や「冬用タイヤのサービス」と言った、付帯サービスの情報であれば喜んで受け取ってくれるかもしれません。
こういったエンドユーザーの視点、または「自分がその人だったら、こんな内容なら受け取りたいかもな」と言う自己投影の視点が必須です。

位置情報で人の行動を見るだけでなく、サービス事業者としてその人の購買体験や広告配信者とのお付き合いが良きものになるようデザインしていきたいと心から思っています。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。
伝えたかったことは「エンドユーザー体験にこだわり抜く」ことが、ビジネスを正しい方向へ向かわせるはず、と言う私の想いです。

位置情報というセンシティブなデータを取り扱うからこそ、私たちは常にユーザー視点で世の中の役に立っているか?を原点にしたいと思っています。

位置情報が世の中をより良く出来るように、人々の体験をかけがえの無いものに出来るように、今後も精進して参ります。

今のWEB広告のエンドユーザー体験にモヤモヤを感じている事業者様、代理店様がいらっしゃいましたら、是非一度お話させてください。
https://www.blogwatcher.co.jp/contact/

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