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山陰の旅③

【2日目】続き
旅において、お宿の醍醐味はお部屋とお食事だと思っています。
出雲の宿は、それを両方とも存分に満たしたところでした。
かつて、耳鼻科医院だった建物と隣接するお屋敷をリノベーションしたもの。梁など古いものはできるだけそのままに、水廻りなどは新しいものを備え、木をふんだんに使った設えになっていて、とても落ち着きます。
アメニティは最小限に、パッケージや素材は天然由来のものが選ばれていて、こだわりを感じました。


チェックイン後、食事まで1時間半ほど時間があったので、日御崎灯台と神社へ。日没となって薄暗くなってきたので、灯台行きは断念しましたが神社には駆け込みでお参りできました。
18時過ぎにはもうひとがいないかと思ったのに、意外と何組か、それも外国人もいたのでびっくり。そんなに有名どころなのね?(これも地元民のオススメでした)

その行き帰りに稲佐の浜もチラッと…神在月に八百万の神々がここから上陸するという浜です。
本来なら、ここから出雲大社へのお参りが始まり、ここの砂をいただいて素鵞社に納め、代わりの砂をいただいて帰る…という一連の流れは知っていたのですが、そもそもそれは氏子が行うものだという話もあり、なんちゃって神在月参拝でそれをするのは何か違う気がして、砂はいただきませんでした。

宿に帰ると、待ちに待った夕食です♪
あまり飲めない私も、地元のお酒を少し…と思い、李白酒造の『やまたのおろち』をグラスでいただきました。
地元の食材を使ったお料理はどれも美味しくて、なかでもメインの島根和牛を使ったお料理は目の前で『瞬間燻製』するという演出がありました。燻製に使う木も黒文字など地元のものだそう。そのほか、出西生姜など島根のものがたくさん使われていました。

ゆっくり食事を楽しんで、宿のお部屋にもどったらリラックスタイム。
この宿にはテレビがありません。なので、語らうもよし、音楽を聴くもよし、旅の余韻を味わうことができます。
夕食のときに、一人旅らしき女性を見かけましたが、この宿から美味しい食事と素敵な空間を気兼ねなく堪能できそうです。
泊まる前までは、ここが温泉だったら良かったのになぁと思っていたのですが、広いバスタブにお湯を張ってリラックスすれば全然気にならず、すっかり癒されました。
寝る前にはハーブティをいただき、ゆっくり眠りにつきました。

【3日目】
朝、少し早めに起きてコーヒーを淹れたら、出雲大社へ朝詣りへ出かけます。
澄んだ空気、静謐で広々とした空間、まだひともまばらでゆったりと参拝できます。
勢溜の鳥居から、二の鳥居をくぐり、本殿へお参りします。ここから神楽殿へ直接行く人も多いようなのですが、ぐるっと周り、一般人は入ることのできない八つ足門にも外からご挨拶の拝礼を。
そして、パワースポットと言われている素鵞社にも拝礼しました。件の砂の置き場もありましたが、これはいつかまたあらためてお参りしていただこうと思い、見るだけに留めました。
(数人のひとはいましたが、誰も砂を交換はしていなかったようです)


そして、出雲大社といえば誰もが思い浮かべる神楽殿の大きなしめ縄にやっと辿り着きました。
この空間!やっとたどり着きました。
ここに来たかった、この空間を味わいたかった。ちょっと不謹慎ながら『神在月万歳』みたいな気持ち。
五感でこの空気を味わえる歓びというのか…。来てよかったと心から思えた瞬間でした。

そして、これまで単なるスタンプラリーでしょとまったく興味がなかった御朱印。それを是非ここでいただきたい!と思い、出雲大社の御朱印帳を求めて参拝の記念にしました。
あとは、甥達に学業御守などをいただいて、境内に点在するうさぎさん達を愛でつつ、宿へ。

宿の食事の時間が8時半と決まっていたので、1時間ほどかかると逆算して朝詣りにしましたが、大正解でした。

朝食もビュッフェではなく、コース仕立て。メインは温かいブランケットというクリームシチューのようなお料理で、そば粉のガレットやヨーグルトはシリアルのほか出西生姜のジャムが添えられているなどメニュー構成がよく考えられていました。
朝ご飯をしっかりいただいて、お部屋へ戻ってパッキングしてチェックアウト。車を預けたままで朝早くでは閉まっていた参道のお店を少し見に行きました。10時過ぎともなると、修学旅行生や観光客などがたくさん出てきてやはり朝詣りにしてよかったと実感。
出雲ならではの「神在」(じんざい)がなまったとされるおぜんざいをいただいてみたかったのですが、おなかいっぱいで諦めました。

出雲大社は大国主命が祀られているわけですが、そのお父さんの須佐之男命が祀られているその名も須佐神社へ向かいます。
これまた出雲出身の元同僚が勧めてくれました。神社ばっかりですねと笑っていましたが、そこは神話の国ならでは。
須佐神社は、ガイドブックやウェブサイトで調べても行ってみたい!と思ったので、車で自由に移動できる今回がチャンスだと思いました。30分ちょっとで到着。ここは、簡素な社殿は美保神社に似ているのですが、本殿の奥に大きな杉があります。樹齢1300年とも言われるそうで、文字通り見上げんばかりの大木でした。
そして、お向かいには須佐之男命のお姉様、天照大御神を祀った天照社もありました。
これで、神社めぐりは終わり。

続く

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