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研究者は戦争を止められないのか

ロシア研究者の廣瀬陽子氏による文章を読んだ。
今回のロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、その直前までそんなことは起こらないと思っていたこと、長年にわたる研究は戦争を防げなかったことに非常に重く受け止めていた。

「紛争勃発前夜まで、私は「侵攻はない」と自信を持って主張していたのだ。しかし、侵攻は起きてしまった。その時、「私が知っている」ロシアは消滅し、私が構築してきた議論も崩壊した。自分の長年の研究は何だったのだろうか、そして人間は戦争を防げないのか、という絶望的な気持ちに苛まれた。」

ここで、だから学者には現実がわかっていないなどというつもりは毛頭ない。
今回のロシアの軍事侵攻を正確に予想していたのは、主にウクライナやポーランドなど当事国になる国だけだった。この点について、欧米や日本は完全に予測を誤ってしまった。ロシアに対する見方が甘かったと言えるだろう。

ここにきて、占領していた地域からロシア軍は撤退しているが、その地での惨状が明らかになるにつれ、世界中が愕然としている。
個人的に思うことは、ロシアという国はおよそ信用するに値しない国であり、できれば関わらずに済ませたい。
ただ、日本の隣国に北朝鮮のような国があり、引っ越して逃げ出すわけにはいかないのと同じように、ウクライナにとってロシアは逃れられない隣国だし、ましてや地続きなのだ。
このたび明らかになった住民の惨殺は、占領の比較的早い時期に行われているようで、仮装のための装置まで持ち込まれた地域もあったということから、証拠隠滅を図り、占領し続けることを想定していたのではないかと思う。

民間人には手を出さないとあれだけハッキリ言っていた国だが、まるで信用はできない。今後も国際社会からは糾弾を受け続けることになるだろう。
国連の常任理事国を務めるような国が、21世紀になってよもやこのような事態は引き起こすまいと世界の大多数が思っていたことを、あっさり裏切る国ロシア。
停戦交渉にはまだまだ時間がかかりそうであり、どれだけ犠牲が増えるのかと考えると胸が張り裂けそうになるが、一刻も早くこの侵攻が止まり、ウクライナの人々に平穏が訪れることを願う。
その日が来るまでは、決して忘れず応援し続けることとしたい。

余談というにはあまりに重苦しいのだが、あるSNSでなぜだかロシアに関する陰謀論に丸め込まれている(としか思えない)フォロワーさんがいた。
オリバー・ストーンがYouTubeで発表した動画や、ウクライナの惨劇は自作自演もしくはアゾフという親ナチの仕業であるという説を信じ込んでいる様子。ゼレンスキー大統領を敵視している。
メディアの報道を鵜呑みにせず、違う方向から検証するのは大切なことだとは思うが、あまりにも荒唐無稽であり、唖然とするしかなかった。
ちなみに反ワクチン主義のひとや、イベルメクチンでの治療を主張するひとに同様の共通点が見られる。
そのひとが何を主張してももちろん自由なのだが、残念な思いを抱きつつフォローを外した。

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