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4人の主治医

今月は通院が3回ある。さぞ、色んな病気を抱えているのか?と思われそうだけど、幸い病気はひとつです。
ところで、私には4人主治医がいる。もう一度言いますが、病気はひとつです。

これまでの経過。
2015年の3月に病気が見つかり、約1年かけた集中的な治療をして完全奏功。その後は再発予防の薬の服用をしながら経過を観察していた。薬の服用の予定は5年。治療終了後2年目は、3か月毎の定期的なチェックの4回だけで通院が済んだ。このまま逃げ切る満々だった私。
ただ、その翌年。残念なことに秋に局所再発が見つかった。そのときの心境については今ここでは書かない。(いつか書くかもしれない)

そこで主治医X先生から提示された治療の選択肢。それは、先生の良く知る優秀な形成外科医Z先生がいる病院でのオペだった。主治医の手を離れて、紹介していただく執刀医Y先生と形成外科Z先生の合同オペになる。主治医の執刀を念頭に最初に私が考えていた以上の治療内容を強く勧めていただき、考え抜いた挙句にその方法を取った。

元の病院では、X先生と放射線科主治医A先生に診てもらっていた。オペを他の病院で行うにあたり、その後の治療を完全に転院してそちらで行うか、戻ってくるかとA先生に聞かれて私は迷わず、できることなら戻ってきたいと希望した。
ひとつは、最初からお世話になってデータもすべて揃っていること。臨床試験として受けた治療のその後の記録を残すことも必要ではないかと考えたこと。そして何より、最初から診ていただいている放射線科主治医のA先生をはじめ、ケモ室でお世話になった看護師さん、医療スタッフさんなどが素晴らしく、私にとって最高の治療環境であることから戻ってきたかった。
ふたつめに、X先生の外来はいつも土曜日で仕事の都合がつけやすかったこともあった。オペを受ける病院はとにかく混んでいて、最低でも1時間半~2時間以上待つことはザラ、先生方はともかく診察受付の対応があまり良くなく、仕事の合間を縫ってオペ前の検査や診察に通う際も対応の良くないのがストレスで、そこへ長くお世話になる気持ちにもなれなかった。形成のcatch-upだけ通えばいいと思っていた。
今振り返ると、やはり私自身再発したという事実に心がささくれていたと思う。とにかくそのときはただ、早くオペを終えて元の病院へ戻りたい。それだけだった。
同病の友人にそんなことできるの?となかば呆れたように言われたが、一般的には転院になるのだろうけれど先生がそうしてもいいと言っているからとキレ気味に応えたことを覚えている。

さて、対応が良くないと思っていた病院は、実は入院してみるととても快適だった。選んだ2人部屋は広くて綺麗だし、病棟の看護師さん達はみな適度にフレンドリーで感じが良く、情報の連携も取れている。(外来のあのグダグダはなんだったのだろう?)がんの再発+形成で8~10時間という長時間のオペに臨む私に、不安を抱かせないように看護師さん達は最大限の心配りをしてくれた。
そして執刀してくださるY先生と形成主治医のZ先生。(看護師さんからはダンディコンビですね♪と言われたイケメン、笑)両先生とも入院した日のオペ前の説明で私の些細な質問にもきちんと答えてくださった。
オペ日の朝の最終チェックにもお二人とも揃って顔を出してくださり、とても和やかな雰囲気だったので緊張していた私も「このオペはうまくいく」という気持ちになれた。

オペは無事成功。入院している間、Y先生もZ先生も必ず1日1回は顔を見に来てくださった。少し予定より入院が長引いたこともあり、このときの密なコミュニケーションが主治医への信頼が高まる要因のひとつになったのだと思う。とにかく、対応の良さ、きめ細やかさが強く印象に残った。

退院後、当初の予定通りその後の治療をもとの病院メインですることを選択し、3か月に一度の診察と薬の処方はX先生にお願いしているが、A先生のアドバイスもあり執刀医のY先生にもしばらくは診てもらった方がいいということで、二つの病院で同じ科にかかっている状態が実は今も続いている。
Y先生の診察は半年に1回のペース、X先生とも旧知の間柄なので「僕の方はキャンセルしてもらってもいいよ」と遠慮して仰るが、今のところ継続している。
もちろん、すっぱりやめてもいいのかも知れない。オペ後1年は経ったし、先生も忙しいだろうし。ただ、診察してくださるときにX先生はなんて言ってる?今どんな治療をしてる?と聞いてくださったり、とにかく語り口がソフトで優しいのでセカンドオピニオン的な感じで話がしやすい。
骨シンチの検査を一度した方がよいと、退院直後に勧めてくださったのもY先生。そこで骨粗鬆症の懸念が見つかった。オペをした病院にしか骨シンチの検査機械がないこともあり、その検査も含めてお願いしている。もちろん、X先生もそれを了解済み。

実はX先生、Y先生は以前の病院で元同僚、形成のZ先生も親しいと知っているのでコミュニケーションは取りやすい。なので、先生方も診察のときに「この前、〇〇先生と会ったよ」など時々仰る。
形成のZ先生には、とにかく再建に関して最善を尽くしていただき、出来上がりの満足度も高い。紹介してくださったX先生がZ先生のオペの技術に全面的に信頼を寄せていて、この術式ならZ先生しかいない!と最初から太鼓判を押されていた。私自身、まったく違和感のない仕上がりになったし、診察のたびにX先生、Y先生に綺麗に再建できましたねと言ってもらえるので、更に安心感も高まるという仕組み。(まさかグルではないと思う、笑)

というわけで、4人の先生にお世話になっています。
コロナで医療体制が大変な中、感染リスクをできるだけ避けるために自主的に時差出勤して最大限の防御をしているという尊敬すべき先生方です。
この病を得て、なにが心強いって信頼できる先生方と巡り会えたこと。
幸せなことです。





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