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宝塚大劇場に足を踏み入れた日 ー劇場の周りをうろちょろ編ー

10月9日の土曜、とうとうやってきた宝塚大劇場

食聖で初観劇してから実に2年、ずっと日比谷の東京宝塚劇場に通い続けてきたが、当たるわけないと期待せず申し込んだおだちんのバウがまさかの当選。これはおだちんが呼んでいるにちがいないと初遠征を決めた。

完璧なスケジュール

初の遠征ということで大阪に前泊して余念がない。旅先ではチェックアウトぎりぎりまでゴロゴロしてしまうホテルも早々にチェックアウト。阪急電車に揺られ、いざ、めざすは宝塚。

今回の遠征は土曜の一日のみで、マチネとソワレ両方を見た後、東京へ直帰するというハードな予定で、マチソワ観劇自体も初体験ときている。しかも見る演目はどちらも予備知識なしの初回観劇。私の体力とアドレナリンは大丈夫なのか。

そんな不安でいっぱいの私に愛をこめて、友人が任せておけと、初心者対応のスケジュールを組んでくれた。

やさし~・・・・・

・・・いや ハーーーーード!!!!

いやハーーーーーーーーーーーーードだね!!!


遠征って大変なんだね。務まるかしら。

しかもよく見てみるとマチネの幕間には何か食するし、ソワレの幕間にはつぶやく予定まで入れてくれる優しさ。ツイ廃のことよくわかっていらっしゃる。

そして実際どうだったかといえば、結局マチネの幕間もソワレの幕間も終始つぶやいていたんだけれどもそれはもう習性だからしかたない。

ルマンで予約

早朝から阪急電車に揺られ、いよいよ宝塚駅に着いた。

友人の指示によると、なにはともあれ宝塚に着いたらまずは帰りの新幹線で食べるサンドイッチ・ルマンの予約・・・ってこれはこれでいいのでしょうか(汗)

宝塚観劇しに来てるのに早朝から食い意地が張っていてちょっとおかしい気もするけれど、ヅカオタにとってはノーマルスケジュールなのかもしれない。だって売り切れちゃうらしいからね、ルマン。

ルマンって、2階にあるんですね。お店というよりは地中海の住居のような建物内の2階、花のみちセルカ店で帰りのサンドを予約。お店は17時に閉店するけれど予約しておけば18:30まで受け渡ししくれるらしい。

ルマンもやさし~


着いてショーウィンドーをしばし覗いた後、しずしずと店員さんに「あの、たまごとかフルーツとか入ってるやつありますか?」とお伺い。

時間もないしたくさん種類もあってわからない、けど王道を食べたいのだ。

かわいい店員さんが「組み合わせフルーツサンドですね」と教えてくれる。

本当はよくわからなかったけれど「そ、それです!まさに!」とちょっと思い出せなかっただけ風を装って乗り切る。

875円。やすっ!旅先で買う高くなりがちなお弁当と比べてやすっ すでに夢がある



殿堂に向かう

友人のスケジュールによると、次は殿堂に向かうべしとのこと。

ただいまの時刻9:20。殿堂は9:30からオープンだからピッタリじゃーんと、まだ門の閉まった大劇場前にできた開場待ち列の最後尾に並ぶ。

・・・30秒後、列を離脱。

・・・・え⁉

いやいや、だって、だって、まだ朝ごはん食べてなかったの。

9:30に殿堂に行ったとして、11時のマチネ見るから朝ごはん食べられなくない⁉おなか空いたまま観劇なんていやだよ・・・いやだよーーー!!

なぜホテルで食べてきてないのだ

ええい、ままよ 腹が減っては戦はできん。事前にお勧めしてもらったカフェへ行ってみようと列を離れて大劇場を横目に歩き出す。

・・・しばらくすると、わたしの3歩ほど前を歩いていた人が突然横に捌け、隣の人から荷物を受け取りだした。

何も考えず歩きながらなんとなく目を向けていると、不意に視線が合ったその人は、小さく美しく端正なお顔、すらっとした長身の佇まいから漂う洗練されたオーラ・・・・

いやどうみてもジェンヌさんやーーー!!!!!

ギャ――――!!!バクバクバクバク


まさにこの瞬間、あ、ここって宝塚だったんだと身をもって体感。と同時に押し寄せる反省と自己嫌悪の波。

まさかそんな唐突に街にいると思わないじゃないですか

いや、いるって聞きますよ?ききますけどそういうのはどこか別の国のお話として聞いていたんですね。まさか数歩先をジェンヌ様があるいているなんて想定していなかったんですよ。しかも朝ですし。私さっき起きたとこですし。

そして知らなかったとはいえ見つめてしまって申し訳ありません おのぼりですおのぼりです、ほんと知らなかったんです!!!!

脳内でとんでもない早口で言い訳をまくしたて、ジェンヌ様だと気づいた瞬間に大きく見開いた小さな目をぎゅっとつぶって足早に立ち去る。

突然の緊張空間をギコギコと脱し、背中に冷や汗をかきながら、こわばって必要以上に伸びた背筋を固まらせ、なんとか目当てのカフェへ歩みを進める。

と、今度は視線の先に可憐でほっそりとした亜麻色の髪の、はい、どう見ても娘役さんがこちらへ歩いてくる。

ぎゃーーー宝塚おそろしやーーーーー 

友人のスケジュールに載っていない遭遇オプションにまた全身をこわばらせ、今度は早々に”ただ散歩してるだけです”という体を装い明後日の方角に視線を投げだして娘役さんとすれ違う。

歩いているだけでHP削られる街、宝塚。

・・・いや、HP削られるどころかものすごくドキン‼と沸騰する街宝塚。

本拠地大劇場って、こういうことかと。

タカラジェンヌ、舞台の上だけじゃなくて現実世界に存在しているんだ、という事実を身をもって体感。ほんとうに・・いる・・いるんだ・・

と同時に、そうであれば日本中の警察と交番と刑事とアルゾックとSPとCIAをかき集めて、どうか宝塚の街を安全極まりなく守ってほしい‼と強く思った。

ものすごくかっこよくてキレイで、素敵なタカラジェンヌさんたちも、劇場を出れば無防備なのだ。ゴリゴリの男役さんだって女性なんだ。一部、本物のメンズも混じってるけど(宙組とか)、タカラジェンヌさんっだってその中身は所作の麗しい、麗しすぎるレディたちなのだ。

だからどうか、日本一治安のいい街、宝塚市、であり続けてくれ。

でないと安心できない 安心できないよ・・・

庶民の歩くアスファルトと同じアスファルトを歩いているのだぞ、かのタカラジェンヌさまが!!!

今は宝塚歌劇団名物、スターの入出待ちも禁止になっているのだが、門の前で堂々と入りをしている人を見かけた。タカラジェンヌさんからすると、ルールを守る気のない自称ファンも十分脅威の対象だろうなぁ、と静かに思うなどした。

タカラジェンヌの行きかう宝塚大劇場近くのカフェでそんなことを考えながら、おいしいはずのたまごの味も上の空のまま朝食を済ませる。

今回は私の宝塚大劇場への向き合い方が未熟だったためにすっかり出し抜かれてしまったけれど、次にまたこの街に来るときには、突然の遭遇にも動揺せず、研2の町人Aとして宝塚市に溶け込めるよう精進するぞ、と固く誓うのだった。

次回、♪生まれてはじめて~大劇場の中へ~♪ につづく・・・(予定)


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