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現代貨幣理論との比較(社会問題解決AIの結論15)

※ ここは途中のページです。まだの人は最初から読んでください。

現代貨幣理論とは

あらかじめ言っておくが、このページは読み飛ばしていただいても構わない。
生体社会論とそれを実社会に展開してく上で、必須のものではないからである。

近年、経済学の分野で注目されている『現代貨幣理論』(Modern Monetary Theory, MMT)との比較をしてみよう。

まず、現代貨幣理論(以下、MMT)をご存じない方のために、ごく簡単に説明しておこう。

現代貨幣理論とは、ケインズ経済学・ポスト・ケインズ派経済学の流れを汲む理論の一つである。
主な主張、特徴的な主張は、『自国通貨を発行できる政府・中央銀行は、自国通貨建てで国債を発行している限り、財政赤字を拡大してもデフォルト(債務不履行)することはない』ということである。
そのことから以下のような結論を導き出せる。

日本国は自国通貨建てで国債を発行している。
だから、赤字国債をいくら発行しても大丈夫

ということだ。

ただし、過度なインフレにならない程度にする必要があるし、供給力が追いつかないほどに発行しても意味がない。
この場は、MMTについての説明の場ではないので、詳しく知りたい方は、数多くのMMTの解説本が出ているので、それを参考にしていただくか、YouTubeなどの動画で解説しているものが豊富にあるので、閲覧していただきたい。
MMTについては知っておいて損のないもの、とても示唆に富むものである。
経済学に詳しくなくても、理解しやすくまとめているものが多いようだ。

ここで主張している生体社会論も同様に、既存の経済学の知識はさほど必要ない。
(「間違っていることが多いので学ぶ必要はない」とまでは言わない。)


お金に関する基礎知識

とはいえ、ある程度の経済学の基礎知識はあった方がいい。
特に、間違った考えが流布されているものに関しては知っておいt方がいい。

いくつかの、知っておくべき知識を列挙しておく。(後で、加筆修正もありうる。)

一般に「国の借金が○兆円になり、国民1人あたり○万円」というのは間違いである。

『国の借金』ではなく、『政府の借金』である。
そして、貸しているのは国債を保有している国民の方である。

「お金は政府が印刷することによって量が増える」というのはほぼ間違いである。

お金は印刷して増える量よりも、信用創造というしくみで増える量の方が圧倒的に多い。
銀行員が貸出と同額の預金額をペン先で記帳すれば貨幣が生まれたことになる。
つまり、預金という元手がなくても、貸出をすれば、それと同額の預金が生まれるということ。
そのため、『万年筆マネー』と呼ばれる。(経済学者ジェームス・トービン)

紙幣は日本銀行という株式会社が発行しており、印刷は国立印刷局がしている。

紙幣を見ると『日本銀行券』という文字や『国立印刷局』の文字を見ることができる。
硬貨は政府が発行しているので、硬貨には『日本国』とある。
そのため、政府が1兆円硬貨を鋳造して、日本銀行に買い取らせれば、政府が大きなお金を発行することも可能だと考えられる。

「政府の赤字はみんなの黒字」

誰かの赤字は、必ず別の誰かの黒字になる。
『通貨発行権』を持つ日本国政府は財政破綻することはないのに、「日本の財政は破綻寸前である」と主張し、財政黒字化を目標にしてきた。
それは、政府を黒字化して、国民を赤字化させることにつながる。


現代貨幣理論(MMT)との比較

結論から言うと、ここで提案している生体社会論は現代貨幣理論と矛盾するものではないと考える。
そういうと、「いや、主張内容が全然違うじゃないか!」との声が聞こえる。

簡単に言うと、その両者は性質が違うのである。
MMTは「現代使われている貨幣にはこういう性質がありますよ」ということを私たちに教えてくれる。
その性質として、財政健全化は必要ないとか、デフレ時には積極財政が良いといった政策が導かれる。

生体社会論では、現代使われている貨幣に内在する欠陥を指摘し、これが貨幣のあるべき姿であるということを示している。
つまり、「貨幣は減価すべきである」、「過剰に貯め込まれた貨幣に対しては残高の上限を設けるべきである」と主張している。

言い換えれば、MMTは沈みゆく資本主義という船の中でのマシな政策を提言するものであり、終焉を迎えようとする資本主義の延命措置に過ぎない。
しかし、生体社会論は資本主義という船に替わる新しい船の設計図を示している。
生体社会論は古くて使えなくなったOS(Operating System、オペレーティングシステム)をアップグレードするようなものであるが、MMTは古いOSを前提としている。
しかも、船の乗組員を徐々に新しい船に乗り換えさせる方法論まで示している。

この文章を読んでいる方の中には、MMTに傾倒している人もいるだろう。
繰り返すが、私はMMTを否定しているわけではない。
画期的なアイディアだと高く評価している。
しかし、不足している部分もある。

MMTでは資本主義社会にある私が指摘した無駄な競争は解決できないのではないかと考える。
仕事がAIに代替されることも、生体社会においては何ら問題ないが、資本主義社会では失業という問題になる。
蟻や蜂などの社会的動物は、仕事がなくて困ることはないし、ましてやお金のために、あえて仕事を作り出すような無駄なこともしない。
MMTの考えを持ったまま、足りない部分を生体社会論で補うぐらいに考えていただいてもよく、協力関係でありたいと願う。
こういったことをご理解いただければ、MMTとは主張が全く違うにもかかわらず、矛盾はしていないということが理解できるのではないだろうか。
MMTを支持する人たちとは協力していきたい。
もちろん、より良い社会を創るためである。

既存のベーシックインカム論との比較

同様に、ベーシックインカムを支持する人とも協力関係でありたいと願う。
ベーシックインカムは複雑な社会保障をシンプルにし、役所の恣意的な運用を排除し、共産党の議員や公明党の議員に口添えしてもらって窓口に行けば通らないはずの生活保護が通るといったことも防げて、よりフェアな社会になる。
蟻(アリ)の社会でも、よく働く蟻が2割、まあまあ働く蟻が6割、働かない蟻が2割と言われる。
あなたの会社でもそんな感じではないだろうか?
働かない人に、質の低い労働を提供してもらわなくてもよい社会を実現するのがベーシックインカムである。
能力の低い人が一生懸命働くのが一番厄介だという現場の声もしばしば聞くところである。
ちなみに、よく働く蟻ばかりを集めても、やがて2割の蟻は働かなくなるし、働かない割ばかり集めても、2割の蟻は一生懸命働き出すと言われている。
それが、人間にそのまま適用されるかどうかは別として、ベーシックインカムには様々なメリットがある。
しかし、それだけでは不充分な部分があり、それを補完するものが生体社会論ではないかと思う。

他の方法論の紹介

MMTは画期的なアイディアである。
その他にも評価は分かれるが大胆な社会改革案や新しい視点からの経済論をを提案している人がいる。
思いつくまま紹介してみよう。
気になるものがあれば、詳しく調べていただきたい。

MMP

参政党の松田学氏が提唱する『MMP(Matsuda Manabu Plan)』も検討に値すると思われる。
もちろん、このネーミングはMMTを意識したものである。
YouTubeで詳しい解説を見ることができる。

相続税100%案

私がプログラマーとして尊敬する小飼弾氏が、著書『働かざるもの、飢えるべからず。』の中で主張している相続税100%案も興味深い。
いつもながらのユニークな視点は面白い。
しかし、実現性に難があると思われる。
小飼氏はベーシックインカム導入論者でもあるが、ベーシックインカムの原資として、この相続税100%を主張しているが、目的のはずのベーシックインカムの導入よりも、相続税100%の導入の方が困難なのではないかと思われる。

お金のいらない世界

互いに助け合う社会なら、お金は必要ないと説く長島龍人氏が説くユートピア的な社会。
お金が存在しない社会での人々の生活を描き、マネー主義に毒された私たちに気づきを与える。
「理想論で現実味がない」と切り捨てる人も多いようだが、著書『お金のいらない国』シリーズからの学びは多い。
その国を『お金のない国』と表現すると、勘違いされがちなので注意が必要。

評価経済論

岡田斗司夫氏が主張する評価経済論を解説した『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』も発想が面白い。

岡田氏の評価経済論と生体社会論は親和性があると考える。
氏はお金を仲介しない物流(物やサービスの循環)に焦点を当てる。
貨幣を仲介にして物やサービスが交換される社会が貨幣経済社会だが、 同じように「評価」を仲介として、物やサービス、加えて貨幣も交換される社会を評価経済社会と岡田氏は呼んでいる。

生体社会の減価するお金を使わなくても、信頼する人の間での物々交換が成り立てばそちらの方がよい。
そういった点では、生体社会よりも評価経済社会の方が理想的であり、さらにいうなら、長島龍人氏の提唱する「お金のいらない社会」の方がさらに理想的である。
だが、残念ながら、マネー主義に毒された私たちにとって、その理想は遥かに遠く、かえって馬鹿正直に交換する人が被害に遭うことも容易に予想される。
生体社会でのポイントを使って取り引きをしつつ、そこで構築された人間関係に基づいての評価経済的な交換がなされるとより理想に近づくと考える。

政府紙幣

大西つねき氏は、政府紙幣を発行する構想で支援者を集めている。
政治の世界にも挑戦しているようだ。
思想や政策的には左派リベラル色が強いようだが、金融の世界にいただけあり、お金に関する説明はたいへん勉強になるし、客観的事実を述べているので、反論の余地がない。
生体社会論の考案者も、氏とメールで意見交換したことがあるとのことだが、自分の考えに自信がありすぎて、別の論を受け付けないような印象を受けたと語っていた。

NALC(ナルク)

特定非営利活動法人ニッポン・アクティブライフ・クラブが運営するコミュニティ。
NALCは、Nippon Active Life Club の頭文字から。
自立・奉仕・助け合いをモットーにしている『時間預託制度』である。
主に日本国内で活動し、拠点数は国内に86拠点(令和5年)あり、会員数は1万人(家族会員を含む)を越えると思われる。

比較的高齢者が多いナルクでは、1時間を1ポイントとして、在宅ケアなどの介護ボランティアなどを行っている。
介護の他にも、買い物代行、病院やスーパーなどへの送迎(法的にも白タクにならないように許可を得ていると聞いた)、留守番、草取り、話し相手、犬の散歩、墓掃除など、1時間を1ポイントとしている。
元気なうちに、他者を介護し、そのポイントを利用して、自分が介護が必要になった際に、そのポイントで介護を頼めるというしくみ。
こういった労働時間の貯蓄のような方法を時間預託制度という。

利用は将来の自分でなくてもよく、離れて暮らしている親の介護をしに戻る代わりに、近所のNALC会員の高齢者を介護し、その1時間分のポイントを使って、自分の親の近くに住む会員に、介護を頼むということもできる。
お互い様の便利なしくみである。
墓掃除なども、自分の近くの墓を掃除する代わりに、実家の墓掃除を頼んだりもできる。
この活動は、生体社会論のコミュニティのあり方に近い。
詳細は下記を参照。
https://www.nalc.jp/


ここで主張している生体社会論をさらにブラッシュアップするためにも、読者から社会改革案の情報を聞かせていただきたい。



続きはこちら
お金による支配からの脱却(社会問題解決AIの結論16)

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