オーダーで絵を描くなんて、もうやらない。って思ったんだけど・・・
こんにちは、いきなり画家になって11ヶ月くらいの大野です。
ありがたいことにオーダーいただいて絵を描かせていただくことがあります。
普段は、自分で好き勝手に絵を描く→気に入った方にお買い求めいただく
という流れですが、オーダーはスタートが違って、
依頼いただきヒアリングなどさせていただく→描く→ご提案してOKだったら納品
という感じ。
前者が「アートワーク」ならば後者は「クライアントワーク」なんて分け方ができるかもしれません。
私は元々「理念をつくる」という言葉の仕事をしていて、ゆうなればこれはガリガリの「クライアントワーク」です。どれだけ私が素晴らしいものをつくったと思っても、クライアントさんからのOKが出なければ、つくったものの評価はゼロ、という代物。
個人的には、絵の仕事か言葉の仕事かという分け方よりも、自分スタートか、クライアントスタートかという違いの方が大きいと感じていた。(一般的には、絵と言葉の方が隔たりが大きく感じるかもしれないけどね)
てな訳で、オーダーを受けるとやや憂鬱な気持ちになる。
「これってクライアントワークじゃん。そうじゃない世界を今は体験しているはずなのに、おかしいなぁ。でもま、新しい挑戦はいつも好きだからさ。」
みたいに言い聞かせつつ、ヒアリングをして描き始める。
で、当然壁にぶつかったりする。
これでいいのかな?
違うかな?
こうかな?
うーん、なんだこの「これじゃない」感は!?・・・
そして私は思う。
やっぱり、やっぱりクライアントワークだからうまくいかないんだ!
だってこういうのは一回封印してもいんじゃん?って思ってアートしてんのよ、私。何ほいほい受けちゃってるのよっ!!
もう、これを最後に、当分オーダーなんて受けないんだから!!
ここ最近、3件オーダーで絵を描くことが重なり、私のオーダーで絵を描くという気持ちはささくれていた。。。
で、絵はまだまだ「これじゃない」感満載なんだけど(クライアントワークの経験値が高いおかげで、クライアントさんが気にいるかどうかは、すごく高い精度で判断できる)
でも万が一これを気に入ってくれたらそれはそれでラッキーだしー♪
みたいな甘い幻想もいだきながら、クライアントさん(オーダー主)に絵の画像を送る。
ちょっと、ここら辺違うかもしれないんですけどね〜みたいな言い訳を忍ばせつつ。。。
依頼主さんから返ってくる返信。
うん、甘くはなかった。
けど、やっぱり依頼主さんって素敵な人ばかり。
現状の絵の良い点をしっかりと承認してくれつつ、そんな中で、もっとこういう風な絵を望んでるの。と教えてくださる。
そこで気づく私。
あぁ、確かに!!
私、本当はここでもっと深く潜って絵を描けたはずなのに、どこか潜るのを恐れて、絵の深さが足りていなかった。
イメージとしては、もっと深くもぐらないといけないのに、すぐに海面に顔を出して息を吸ってしまう感じ。。。
反省しました。
オーダーだからって、
自分起点で描く絵だからって、
本当はやることは何も変わらない。
きっと「良い絵」を生み出すために必要なことは何も変わらないんだ。
ついつい、人の評価があるから違うんだ。
なんて言って、逃げようとしていただけだった。
むしろオーダーを受け、真摯なフィードバックをくださる依頼主さんのおかげでハッと気づかされる。
そしてそれは同時に、自分の絵の持つ力や魅了を認識させてもらえる機会にもなる。
オーダー、侮れないじゃん!!
これまでは「アートワーク」と「クライアントワーク」みたいなくくりで言い訳をつけようとしていたけど、実際はなんにも変わらなかった。
絵と言葉というくくりだってない。「良い仕事」に求められることに、なんら違いなんてなかったんだ。とまで感じた。
ということで、むしろクライアントワークだからこそ行ける領域や気づきがあると思い、向き合い方がかなり変わった次第(それでも、クライアントワークなりの緊張感ってあるけれども)
ちなみに、この下の絵の左側が最初にクライアントさんに送った絵で、右がフィードバックを受けて最終的に描いた絵。
好みの問題もあるかもしれないけど、やっぱり右の絵の方が力があるような気がしませんか?
ちなみに、このオーダーの過程で、オーダー主の方からいただいた言葉はこちら。文字情報だけど、興奮が伝わってきて、頑張ってよかったと思いました😊
ゆっこちゃんの初めの絵から「息吹」「呼吸」「舞い上がる生命観」に感動していたんです。
そして更に出来上がったこの絵…。
沸き立つように舞い上がる、その見えないものの存在の大きさを感じずにはいられません。
なんだか私自身が舞い上がっています😂。
オーダーの絵。
好みに合わせていただける、というより、ゆっこちゃんが感じて表現してくれたものの中に、自分の「すき!」「そう、これ❣️」「大切なものかも…」という言葉にならないものを形で伝えてくれたのです。
そして「この部分、大切にしたい」と伝えたことにより、その大切な何かは更にキャンバスの中で沢山の問いかけをしてくれるもの、癒し、エネルギーとなって私の元に届けられた。
こんなオーダー、最高すぎます❣️
そして、もう一つオーダーで絵を描いて気づいたことがある。
依頼主さんの数だけ、作風も七変化できるかもしれない。
自慢じゃないけど、私は「憑依能力」が高い。
いや、誰かに取り付くんじゃなくって、まるでその人かのように感性を自分にインストールできるという特殊能力がある。
もちろんある程度の範囲には止まるけれど、依頼主さんの雰囲気で作品も変わる。もう一枚同時で描いてた絵はこちら。
最初に挙げた1枚目の絵とは、だいぶん雰囲気が異なるのではないでしょうか?
こんな風に、オーダーしてくださった方の雰囲気で幅が広がったり、新しい作風に取り組めるのも面白いな、と。
ちょっと前まで「もうオーダーはやめてやるー😂」って半ベソかいていたけど、現金にもすっかりオーダーの価値に目覚めてしまった。
実はもう一枚オーダーが入っていて、それは自分の身長を超えるような大きなサイズなのだけど。。。
また違ったチャレンジもありそう。
何事も経験、何事も挑戦、何事も冒険。
みたいな感じで突き進んでいこうと思います。
以上、オーダーのアートにまつわるエトセトラでした。
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