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アート合宿は、感性を生きるトレーニング。やがて絵は魂に転写され、未来となる。

アート合宿は、絵を描いて過ごす宿泊プログラムです。これまでの3年間(2023年9月現在)で、日帰りから最長4泊5日のコースまで開催。延べ大人250名、子ども100名にご参加いただきました。

▲ アート合宿からの1コマ

最初に言っておきますが、これは「絵がうまくなるプログラム」でもなければ、「絵描き養成講座」でもありません。結果絵描きになる人が生まれてはいるけど、参加者の9割が「学校を卒業して以来、絵なんて描くのは初めて」という方ばかり。

ちなみにこれが、これまでの募集文案なのですが、ここでは読まなくてOK。
 
アート合宿deep募集文案

読んだら分かるのですが、何をするかについて、何も書いてないんですね。なんなら「絵を描くこと」さえ明示していない。「前日に次の日にやることを決める。という即興スタイルでの運営」なので、純粋に書けない。というのもあるのですが、これまでは募集文案の「分かりにくさ」を重視してきました。「なんだか分からないけど、ピンと来たから参加する」と飛び込んできた人と場をつくりたい。という立ち上げフェーズだったからです。
 
開催目的を端的に言えば「個性の解放と発露」ゆえ、そのテーマは普遍的。しかし、絵画未経験の大人が10人も20人も集まって5日間もただ絵を描き続ける。というプログラムは、控えめに言っても大変ニッチ。きっと日本で唯一なプログラムだからこそ、逆に参加ハードルを高く設けてきました。おかげさまでいい感じに変わったユニークな方多めで、ここまで続いています。

その方針を変更する気はあまりない(笑)のですが、これまで十数回開催してきた中で、我々の中で大事にしていることや、開催する社会的な意義、変化が起こる仕組みへの理解が深まってきました。この段階でアート合宿の解体新書をつくるべく筆をとったのが、今回の記事です。

アート合宿って何?ただ絵を描く場所じゃないの?なんで参加した人たちはあんなに変化したり熱狂しているんだろう?と疑問に思ってくださっている方は、ぜひ読み進めてみてください。


結論:アート合宿とは

さて、すっかり前置きが長くなりましたが、アート合宿とはなんなのか、について最初に結論を述べさせてください。
 
アート合宿とは、

『 どうしようもなくあふれる個性に身をゆだね、感性に生きる旅がはじまる場所 』

だと思っています。

これからの時代、仕事も人生も私たちは大きな意味で「表現」していくのだと思います。だからアート合宿で得る感性(=表現)への信頼が、本当は行きたかった人生への幕を開けてくれる。そんな観点から、以下解説していきますね。

正解がない、という自由な時代

ちょっと当たり前のことを言っちゃうのですが、アートに正解はありません。学校の授業で評価されたことで、素直に感じられない人がいらっしゃるかもですが、少なくともアート合宿において正解はない。そして残念ながらほぼ技術も教えません。何にも教わってない状態で、開始早々から絵を描きます。
 
何かの基準から、うまい絵や下手な絵はあるかもしれないですが、ここでは驚くほど重要視されません。仮に何か基準があるとすれば「心や魂を震わせらるか」。それとてどんな絵に心震えるかも人それぞれで、正解はない(一方で真摯な絵はもれなく人の心を打ってしまうという事実はある)
 
ただただ自分の感覚だけを頼りにすごす時間。
今は赤が乗せたい、今は青を乗せたい、全部塗りつぶしたい、とにかく丸を描いてしまう、など本当にこれ以上の自由はない。っていうくらいに自由。
 「なんにもしない」という自由すら最大限尊重されているけど、誰一人あなたの代わりに絵を描くことはできません。
 
これって、何かと似ていませんか?そう、人生そのものです。

人生って正解はないし、何をやってもいいし、そして誰もあなたの代わりに生きてはくれない。そこにあるのはあなたの意思や指針や行動のみ。
 
だけど昔は人生にも「正解らしい正解」があったのかもしれない。いい学校、いい会社、マイホームに可愛い子どもたち。実際にそんな人生が送れる人は少数だったとしても、大衆による願いのスタンダードがありました。

だけど今はどうでしょう。先行きの不安定で不確定な時代ですが、それは同時に大きな自由を内包しています。価値観も興味も多様化し、ますます正解がない時代。自分の人生のプロデューサーは自分として生きる時代になりました。

好き嫌いで、わがままに生きる

そこで大事になってくるのは、正解不正解でも常識非常識でもなく、ただひとえにあなたの感覚や感性。もっと平たく言えば「好き嫌いの時代」が到来したと思っています。「感性」なんて言葉もまだカッコつけで、単純に好きか嫌いか、やりたいかやりたくないか。わがままいっぱいで生きることが賞賛される時代になりました。

だからといって、これまでのパラダイムや癖が一気になくなる訳ではない。むしろシフトしたい!と心から願いながら、両足にこびりついた足かせにげんなりする。今の10代20代ならいざ知らず、30代以上の方でその変換に苦しんでいる人は多いのではないでしょうか。
だけど、その変換をどうやって起こせばいいのか。感性で生きるにはどうしたらいいのか、そのやり方を誰も教えてはくれません。

まだ誰も知らないシフトを自らの力で起こして体感&会得し、実社会で反映する状態まで持っていく。

それが、アート合宿です。

参加したみなさんは口々に

絵は最高の内省ツール

だとおっしゃります。

もちろん、宗教含めて人生をひらく素晴らしい教えは山のようにあります。しかし人類で初めて到来したと言える自由で多様な感性の時代へのフィット度で、絵に勝るものはない、と私は思っています。それは絵の持つ自由度と評価のなさ、心や感覚を駆使しないと向き合えないその特性ゆえ。ここから先は実際に体感してみないと分からないと思いますが、思考を使った内省では絶対に辿り着けない領域に踏み入れることができます。そしてそれは、長年求めてきたものだったりする。
ずっと心のどこかに居たけどアクセスできなくなってた自分に触れ、「やっと出会えたね」と涙する。アート合宿ではよくそんな場面に出会います。

なぜアート合宿に参加すると人生が変わるのか、そのメカニズムを、主催のしゅんちゃん(中村)が語っています。未経験の方が見てどこまで伝わるかは分かりませんが、体験したみなさんは、首がもげそうなほど共感するそう。7分半ほどの動画ですので、お時間あるときにご覧ください。


ここまで読んでみて、アート合宿のコアな意義、感性の時代になぜアート合宿なのか。について、ご理解を深めていただけたのではないかと思います。この時点でピンと来たとか、もはやここに行くしかない!!と感じた方は、アート合宿へのご参加を大いにお勧めします。きっと「あそこがターニングポイントだった」と思える場所に、なるはず。
続く項目では、「アートを使う」ことと同じくらいの大切な「みんなで描く」についてご説明します。

絵を「共に」描く意義とその威力

個人的には、絵に本気で向き合うだけで変わる感覚は多大にあると思います。それに加えて「一緒に描く、互いに個性を認め合う」ということが、想像以上に力を発揮していることが分かってきました。
私たちは「参加して終わり」で、次なるカンフル剤を必要とするようなプログラムに興味がありません。願わくば1回で変容して二度と帰ってこないでほしい。(とはいえ最近、リピートの意義も理解し始めはしましたが)
そのために、他者が重要な役割を果たしてくれていて、そのために意識していることをお伝えします。

個性に降参するということ

またまた当たり前な話になりますが、個性を感じるためには、何が必要だと思いますか?
それは他者であり、比較対象です。自分以外だーーーーれもいない状態で、「私の個性はこれだ!私は個性的だ!」と感じるには無理があると思います。(井の中の蛙ならいざ知らず)
アート合宿では、絵を教えないと書きましたが。特に前半は、正直びっくりするくらい教えません。さぁ、描いてみよう!の連続(笑)だけど、もれなくみんな描けちゃうんです。たとえ点を一点しか打たなかったとしても、それ自体がその人の選択であり、意思の表れ。教えないからこそ、出てくる絵は個性の大開放となり、もはや個性ジャングル。あらわれるものが本当にぜーーーーーんぜん、違うんですね。例えば直近のアート合宿だとこんな感じ。


それで、否が応でも気づくわけです。うまい下手はあるかもしれないけど、自分の絵は明らかに他と違って、同じになりようがない。という真実に。
私は常々「個性はつくるものではなく、在るもの」と思っているのですが、絵を描けば一目瞭然です。だって全然違う!し、それは紛れもなく自分から出たものだから。
この経験を重ね、自分のみならず全然違うみんなの絵を見続ける中で、自己の個性へのsurrender(降参)が起こります。「私には個性が無い」なんて言うのが恥ずかしくなっちゃうくらいに、歴然としたものをつきつけられる。

もちろん、もっとこんな風にしたい、◯◯さんみたいに描けたらいいのに。が出てくることもあるけど、そう思えることもすごく良い。感性って「好き嫌い」。そうやって自分の絵にうーん。。。となったり、誰かの絵を良いと思ったとき、そこにはあなたの好き嫌い、もっと言うと自分の美学や美意識があらわれる。
人生ってその集積でできていくと思うんです。その選択基準の積み重ね。だけど現代人は、その感覚で選ぶことを怠けてきた。

小さい頃は、これがいい!これがいや!昨日は良かったけど今は違う!ってやっていたはずなんです。だけど大人になるにつれてお利口になって、比例するようにつまらなくなって、代替可能に見える自分を生きてしまう。そこに好き嫌いという感性がなければ、果たしてあなたは、あなたを生きる意味があるのでしょうか。誰かが生きられる人生は、他の誰かが生きればいい。
だけどそこを怠けてきた人たちはまず「そういう感覚が自分にもあったんだ。」と気づくところから始まります。

それに気づいた後からは、ひたすら自分が自分を認めてあげる、甘々(あまあま)モードになれば良いと思います。

そんなことが好きだったの?
そんなことがやりたかったの?
そんなことができたの?

まるで2歳の我が子を見守るような感覚で、自分に接してあげてください。話はそこから。

そして、自分を愛でてあげるために、他者の存在が力になります。アート合宿では定期的に、相手の絵を見て言葉を贈る時間をもうけています。うまいとか下手ではなく、その絵を通じてどんなあなたが立ち現れているのか、どんな願いがあるのか、あなたに伝えて欲しそうなことは何なのか。を渡してあげる。ほぼ全員がはじめまして、なメンバーだけど、みんな、「当たってる!合ってる!」と言って、そこらへんの占い師よりよくあたる発言が続出する。たぶんそれは不思議なことではなくって、人が真摯に描けばいろいろ乗ってしまうし、それを真剣に読み取ろうとすれば、読み取りのプロになれてしまう。その言葉をもらった人が結果的に何を感じるか。

伝わる、受け取ってもらえた、という事実から、自身の個性を認知すると同時に、それは社会に受け入れてもらえる。という安心を得る。

アート合宿は、個人と社会を感性でつなぐための揺籃(ゆりかご)にしたいという思いでやってきたのですが、ここにきて確実に歩みを進めていることを感じています。

もっかい、結論。

ここまでお読みくださりありがとうございました。話をまとめますとアート合宿は

これからの時代を感性で生きるトレーニングの場

であり、そのために

自分の個性を受け入れ、同時に社会に表現していく安心を得る

ことを意識しているプログラムです。

大人が絵を描く行為は想像以上に深い内省を促す行為であり、自分が触れたこともないような私の中に出会う可能性を秘めています。ゆえに最良のツールの一つとして、現在取り入れています。

もっと深く知りたい、という方はぜひこちらの動画もご覧になってみてください。


未来という版画を、魂に写し込む

最近気づいたんです。絵を描くことは最高の内省ツールであり、個性を感得するツールだけど、それだけなのか?って。先日みなさんの話を聞いていたなかで、ふっとあるイメージが降りてきました。

絵を描くことを通じて自己の未来を描き、それを認知することは、まるで自分の魂に未来図を転写するようだ、と。

アート合宿では深く潜るので、ある種の変性意識(トランス)状態になり、自分の潜在意識やまだ見ぬ未来に触れることがあります。それが無意識で絵に乗る。図らずもそれはお守りとなり、その方の未来をやさしく照らす。

アート合宿はそうやって、何重にも自分を包んでくれる、優しい衣をまとう場所だと思います。その衣を自分で仕立てることもあれば、誰かの優しさと共に、つむぐこともする。アート合宿は、全員で大きなセーフティーネットや拠り所を編む場所です。

今後の開催について

これからのアート合宿は、もっと広げるフェーズに入ったことを感じています。約2年ほど開催していなかった2泊のコースも、久しぶりに開催することにしました。(長い期間かける深さを知っているのでそちらへの比重が高かったのですが、まずは1人でも多くの方に体験をお渡ししたいな、と。また2泊でも経験として十分事足りる、という場所に立ってる方もいらっしゃるかと)

アート合宿 core(2泊)コース
アート合宿 deep (4泊)コース


加えて今年の9月に、アート合宿初となるグループ展を開催することになりました。展示のタイトルは「edge!!」です。アート合宿を経た人たちを「人生の先端を生きると決めた人たち」と位置付け、総勢20名を超えるアート合宿経験者が展示を行います。アート合宿を経て、生き様がスパークしている皆さんのエネルギーを、ぜひ感じに来てください。

ここまでお付き合いくださり、誠にありがとうございました。ピントきてくださった方と、最高最善のタイミングでお会いできるその日を、心から楽しみにしています。

どうしようもなくあふれる個性に身をゆだね、感性に生きる旅路へ

アート合宿主催
大野幸子


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また、今回の内容をHills Breakfastという朝活プレゼンイベントでお話させていただきました。7分というコンパクトな動画なので、もしよろしければこちらもご覧ください。



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大野幸子(挑戦者の翻訳者 × アーティスト)
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