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光害関連ニュースまとめ 2023年1月

2023年1月の光害関連ニュースです。今月もたくさんありました。

地上の光害に関するニュース

夜空に思う 光害抑え豊かな星空を

2023年1月11日、朝日新聞の社説に掲載された文章です。全国紙の社説に光害が取り上げられるというのは大変大きな意味があると思います。光害の基本的な事項がコンパクトに紹介されています。環境省の光害対策ガイドラインの内容など一部の取材にも協力させていただきました。

光環境類型 E1に準拠のスポーツ施設用投光器

2023年1月16日発表、街灯などを製造している岩崎電気のプレスリリースです。岩崎電気と言えば、星空保護区として認定された東京都神津島村にLED照明器具を納入しています。スポーツ施設は数は少ないですが照明は非常に明るいので、スポーツ施設からの光害抑制に効果のある照明器具は大切です。なお、「光環境類型 E1」とは、光害対策ガイドラインで「自然公園や里地等で、屋外照明設備等の設置密度が低く、本質的に暗く保つべき地域」と定義されています。このガイドラインの中では最も暗くあるべきカテゴリです。

美しい星空も守るLED照明へ。美星町の思いに応える防犯灯

代わってこちらは、星空保護区に認定された岡山県井原市美星町に防犯灯を納入したパナソニックです。開発者のインタビューで、光害防止のための照明器具の開発の際のエピソードや、国際認証を取得する苦労、あるいは反響なども紹介されています。全国で光害を抑えるのは果てしない道のりですが、できる所からこうした照明に取り替えていけるのが理想です。

12年間の夜空の明るさ調査:年10%のペースで明るく!?

科学誌Science2023年1月19日号に掲載された論文。世界各地の観測者からの観測を取りまとめて、年9.6%のペースで夜空が明るくなっているという結論を出したという衝撃の内容です。これだと10年で明るさは2.5倍、つまり1等級明るくなることになります。人工衛星からの測定よりもずっと早いペースであり、これはLED照明と人工衛星のカメラの特性によるものであると論文に書かれてありますが、注意して読みたい論文です。たぶん、詳しく読んで改めてご紹介します。ギズモードにもこの論文を紹介する記事が出ていました。

都市の光害は海洋生態系に危険をもたらす

2023年1月5日にThe Conversationに掲載された研究紹介。大都市に近い海では人工光が月光の6倍も明るく、月の満ち欠けのサイクルと同期する多くの生き物に影響を与えているとのこと。サンゴ、動物プランクトン、カメなど大小様々な生き物への影響が考察されているようです。

光害と関係した衛星コンステレーションに関するニュース

スターリンク・トレインは未来の夜空を示すのか

https://www.washingtonpost.com/business/interactive/2023/starlink-satellite-train-spacex-visibility/

2023年1月6日、ワシントンポストに掲載された記事です。アラスカでオーロラガイドをする方のエピソードから始まり、スターリンクの概要や天文学への影響、影響の軽減策なども紹介されています。グラフィカルにスターリンク・トレインが見える仕組みを解説したりもしています。

人工衛星から夜空を守るよう呼び掛ける天文学者たち

2023年1月17日にBBC Sky at Night Magazineに掲載された記事。ASTスペースモバイルのBlueWalker 3の打ち上げとそれが1等級で見えたという話を枕に、スターリンクやAmazon Kuiper、OneWebなども紹介しています。

衛星の影響権限に向けたスペースXと全米科学財団の合意

スペースX社と米国立科学財団の間で、スターリンクが可視光赤外線天文学及び電波天文学に与える影響を軽減するための合意をしたとのこと。反射光を抑える、衛星の軌道情報を公開する、などが挙げられています。今後衛星数を増やしていくOneWebやAmazon Kupierなどともこうした合意を結んでいくのか、あるいはもっと包括的な取り決めを作るのか、問題解決への道のりはまだまだ長そうです。

通信障害の救世主「スマホ衛星通信」に落とし穴、夜空に「光害」も

2023年1月23日に日経クロステックに掲載された記者座談会の記事です。携帯電話業界でもスマホと直接通信できる通信衛星(BlueWalkerなど)は注目されていますが、その記事の中に光害が出てくるというのは少し驚きでした。利点も欠点も見たうえで今後の進め方を議論するという意味では重要な記事。

宇宙太陽光発電技術の基礎を試験する衛星の打ち上げ

2023年1月2日にカリフォルニア工科大学から出た記事。宇宙に巨大な太陽電池パネルを設置し、そこからマイクロ波で地球に電気を送る宇宙太陽光発電。再生可能エネルギーの一形態ですが、宇宙に置く太陽電池パネルは非常に大きくなくてはならず、マイクロ波送電の効率も上げていかなくてはなかなか実用にはたどり着かないようですが、さまざまな実験は行われています。この記事は、小型衛星の筐体内部でマイクロ波送電を実験する衛星の紹介をしています。この衛星は1月3日に無事打ち上げられました。

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