もしも全寮制高校に通っている女子高生が妊娠したとき、どうすればいいか。想像しかできない立場で考えてみた

「妊娠・・・あのリョウさんが」
「はい」
「相手は・・・」
「えっと、確か前電話で話したところによると、飢えて草を食べているところを介抱されて」
「そのままインターネットカフェにお持ち帰りされて同意もなく飢えた狼に押し倒・・・」
「いや、喜多さん。そういうことはされないで、持っていたスーパーの袋の中身をベンチで気絶しているリョウさんの前にいくらか置いて、彼女と言葉を交わしながら食べ、その日は帰ったらしいですよ。その人」
「大学生?」
「いえ・・・」
「ひょっとして、まさか、中学生・・・とか?まさか、同じベーシストとかじゃ、ない、わよね」
「(喜多さんの中で、ベーシスト、中学生以下なんだ)」
 いやいまどきはもっと下もありえおぼぼぼぼとなった喜多さんを見て、後藤は力強く言った。
「喜多さん、そこに関しては、大丈夫!!年上。一次情報」
「良かった・・・これで、最低、慰謝料くらいは請求できる。これで高校中退になっても・・・」
「いやいや、喜多さん!」  後藤は自分と並んで歩く喜多にやや強い口調で声を出すと、彼女はしどろもどろになって手を顔の前に出し、おろおろし始めた。
「いや、あの、ごめんなさい・・・そうね、まだ相手が100%加害者だと決まったわけじゃ、ないもの。早合点しちゃったわ。ダメね私」
 後藤は喜多に行った。
「その・・・相手の男性は、リョウさんを今までずっと献身的にサポートしているって、先輩の両親が話してました。だから、大丈夫ですよ。喜多さん」  ファリンジャルボイスが喜多の口から洩れ、彼女は頭を下げ、歩くペースが遅くなった。
「・・・・そ、そ、そうよね。相手を、日常の鬱憤を現役JKの身体で解消しようとする、性欲デストロイアのパリピだと、勝手に思い込んでた。いっそ反省して、丸坊主をインスタに・・・」
「やめて!バンドイメージが色物になるからやめて!」
 そういえば、と喜多は思い至った。私達は今、三人で、下北沢駅から徒歩5分以内にある、先輩の親の家に向かっていて、今カフェの前を通り過ぎたところなんだけど、後藤さんが何か問題発言をした気がするわ。あっ!!
「後藤さん」
「は、はい、なんでしょう喜多さん」
「私達の名前はすべて!仮名で、バンド!なんて!やってない・・・・でしょ」
「え?」
「あのバンドの歌は私達とは無関係・・・でしょ」
「アッハイ」

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