あ・かるい貧乏のススメ その3
執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰
ビンボーは儲かることがある。だけど、ビンボーは儲かることがない
これも聞いた話しなんで、定かではないんですが、ま、思いきって言ってしまいます。税金の話しなんですが、この人は、かつて、あかるいビンボーをやっていた人なんです。今は、年収4千万円くらいの半生反省リッチーですが、住民税を毎月3万円ぐらいしか、払いたくても払えないシクミにはまってしまったんですって。なんでも、この話しは、その人から直接、聞いた話しではないんで、私は知りませんよ。はっきり言っておきますが。なんでも、これも10年ぐらい前の話しらしいですが、バブルが弾けて1千万円ほどの住民税とかを延滞してしまったらしいんです。どうやっても払うことができないんで、税務署の窓口まで相談にいったんですって。ここからは、その相談の一部始終を書いてみますが。これは私のことではありませんからよろしく。
では、始めます。場所は、ある納税相談所らしいんです。何でも税務相談にのってもらった税務署の人は55才ぐらいのノンキャリアの人だったらしいんです。とてもいい人で、それからこのノンキャリアの人とは親戚づきあいをやるようになり、いまでは、その人の会社の税金担当役員として引き抜かれたらしいんですが、私は、その辺のところはよく知りませんが。こんなことは上のほうではよくあるらしいんですよ。企業との癒着とかいって、いい大学を出た人ほど、この、いってこいの裏技を使うらしいんですよ・・・。税務相談をしてあげたことを縁にして、定年後に相談先の会社に天下っていくという裏技というか、表技というか・・・。
では、始めます。その、かつて、あかるいビンボーをやっていた人が税務相談所での話しのやりとりです。念のために。
「私は、長年、まっとうな市民をやってきました。たまたま、今回は、ご承知のようにバブルが弾けてしまい、ほとほと困り抜いています。税金は市民の義務として、ちゃんとお支払いしたいのです。ココロの底から思っています。借金してでもお支払いしたいんですが、銀行にもごたぶんにもれず、借金が3千万円ほどあって、どうしても融資してくれないのです。
もちろん、当然なんですが、元金どころか、利子さえ延滞しているしだいです、ハイ。でも、私は言ったんです。シャレじゃありませんよ。気持ちを火にかざすようにして炒ったんです。つまり、気持ちを湿らせないようにしたんです。今、私に6千万円ほど、この場で、新規に6千万円ほど融資していただければ、3千万円は、すぐにでも延滞している借金の返済にあててチャラにします、と。しかも残りの3千万円で、延滞してご迷惑をおかけしているいる税金もすぐにお支払いできて、国民としての義務も全うでき、そのうえ、お互いにいやな督促のやりとりや、延滞の心苦しさがなくなって、めでたしめでたしになって、私はもちろん、皆さんもあかるくなると、それこそ、口が酸っぱくなるほど、ハイ、お願い申し上げたんです。
でも、おかしなことにダメでした。こんなまっとうなことをお願いした私がカバ、いやバカだったんでしょうか。なんだかとても悲しくなりまして、ハイ。で、ご相談にお伺いしたんです・・・」
ここから税務相談所の人とのやりとりです。
「エッ、そうですか。私のまっとうな気持ちがお分かりいただけるんですか、ありがとうございます」
「エッ、それはいけません。女将じゃなかった、お神でもなかった、お上にご迷惑がかかります」
「ハイ、そうですか。分割払いでよろしいんですか。エエ、利子が14%ほどかかる。ハイ、ハイよく承知しております」
「エッ、100回払いでもいい。それはいけません。国民の義務が・・・」
「そうですか。規則なんですか。ハイ。わかりました。そうさせていただきます。でも、利子が14%というのは・・・。あ・こ・ぎ、じゃない、めっそうもない。とんでもいない。サラ金と変わらないなんて、失礼しました」
「エッ、そんなことを言う人が、近ごろ多い。いやはや、世も末ですね」
「そうですか、そうですよね。大変ですよね。ご苦労が多いんでしょう。こういうお仕事は、イヤハヤ、なんでしたら相談にのりましょうか。じつは、私、こんな相談にのるのがうまいんですよ、ハイ。聞き流していればいい、じゃない、お聞きすればいいの委員ですから」
「バカなことを言うんじゃない、ですか。ハハッ、ごもっともです。私が相談にきているんでした。すっかり忘れてしまいました。で、100回払いなんですが、均等払いということになると、毎月のお支払が、また、大変でして・・・」
「エッ、均等払いでなくてもいいんですか。そんなことは規則に書いてない、ですか。本当ですか。で、毎月のお支払をいかほどに」
「コソコソブツブツモゾモゾ」
「エ、エ、エ、エーッ、いくらにするかも書いていない。ほんとですか」
「それじゃ」
・・・ヒソヒソ・・・ヒソヒソ・・・
「・・・でもいいんでしょうか。いやいや、そんなことがあってはいけないですよね」
「エエエエエエエエエッ、の、エッ、エッの1」
「毎月千円でもいい」
「エエエエエエエエエッ、の、エッ、エッの2」
「99回目まで千円でいい。それで、100回目に残りを全額払うと言えばいい」
「でも利子がついて元金が大変な額になるんでは・・・」
「エエエエエエエエエッ、の、エッ、エッの3」
「99回目の税金の分割支払いが終わったら、また、事前に相談に行って、残りの税金を、また、100回の分割払いにしてもらえばいいですって。
でも、利子がかさんでかさんで、とんでとんでとんでって、こんどこそ首が回らなくなりませんか?」
「エエエエエエエエエッ、の、エッ、エッの4」
「税金を永久に払わなくてもいいかもしれないですって。なぜですか?」
「延滞している税金を払い終わらないうちは、課税しようにも、課税する原資の存在がない」
「ハッ、ハッ、ハッ、の、ハ、ハ、ハ、の、ハッ」。
とういうわけで、かつてあかるいビンボーをやっていた人は、いまは、年収が4千万円ほどあるらしいんですが、税金を払いたくても払えないらしいんです。ほとほと困り抜いているようでして、はた目にみても新郎じゃなかった、心労で、辛労で痩せ細ってしまったとか。私は、聞いただけですから、詳しくは知りませんがね。でも、安心してください。ビンボーしているのに、こんなに儲かる話しなんてあるはずがありません。ビンボーは儲かるはずがないのですから。(つづく)
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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】
◎立命館大学 産業社会学部卒
1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
1990年、株式会社 JCN研究所を設立
1993年、株式会社CSK関連会社
日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
マーケティング顧問契約を締結
※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。
◎〈作成論文&レポート〉
・「マトリックス・マネージメント」
・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
・「コンピュータの中の日本語」
・「新・遺伝的アルゴリズム論」
・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
・「人間と夢」 等
◎〈開発システム〉
・コンピュータにおける日本語処理機能としての
カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
・TAO時計装置
◎〈出願特許〉
・「カナ漢字自動置換システム」
・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
計測表示できるTAO時計装置」
・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等
◎〈取得特許〉
「TAO時計装置」(米国特許)、
「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等
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