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今こそ荒魂を発動させるために〜2020年4月20日 はふりめく〜

講  話:一般社団法人 白川学館代表理事 七沢賢治
要約編集:Parole編集部 文責 大野靖志

【こちらの記事は全文を無料公開させていただいています】

Q.
今の世の中の動きを見ていると、国民は何の疑問もなく、政府の指示に従っているように見える。しかしそんな最中で中国企業が欧州企業の一部を買収しているといった動きも出てきており、コロナの影響によって経済危機に追い込まれていというだけでなく、国家存亡の危機が迫っているように見える。こうした状況のなかで、どのような心構えをもって生き抜いていけばよいのか、お伺いしたい。

A.
コロナ、コロナ、と世間では言われているが、今の状況はある種の戦争状態にあるといってもいい。事実、アメリカの第7艦隊がグアムに引き上げるほか、中国の武漢の船が太平洋に繰り出す、といった事態も目撃されている。

要するにこのウイルスを引き金に、病気(疫病)のみならず経済、軍事といった範囲まで、問題が広がり深刻化しているというのが現状であろう。

その中でこれ以上、軍事の問題が広がらないように、また戦争を引き起こさないようにするために一国一国のあり方が、とりわけ日本においては「国家の品格」というものが、今まさに問われている時であるように思う。

オリンピックも延期になり開催の見通しが立たなくなった今、日本は何をもって名誉を回復するのか。また何をもって国としての誇りを取り戻すのか、といったことが大きく問われているのである。

ではそれは何かというと、私は日本人としての民族の記憶や精神を取り戻すことであると思っている。それこそが、日本に真の誇りを取り戻す重要な鍵であると。

一人一人の固有の人格の集まりが社会、国家というものを形成するとすれば、個々の人格を形成する土台であり、人としての根幹といえる「精神」とそのありようを明確にしていくということが、これからの日本にとって非常に重要な役割になるといえるだろう。

こちらでいう精神とは、荒魂、和魂、幸魂、奇魂、精魂の「五魂」のことである。五魂には各々の特徴があるが、一つ一つの魂を研ぎ澄ませ、それらをしっかりと統合したかたちで誇りをもってお出しできるか、ということが、これから重要な部分になってくる。

たとえばアマテラスは、天岩戸にお隠れになるという奥ゆかしい面がある一方で、スサノオの剣を三つに割ってしまったという荒々しい一面ももっている。この場合、後者はまさに荒魂の働きによるものであって、これは人の精神(魂)にはさまざまな側面があるからこそ成り立つ、という事実を物語っている例だといえるだろう。

ここで声を大にして言いたいのは、今こそ私たちは荒魂に象徴される「強い精神」を発動させて、世界に向けて発信していく時であるということだ。

日本人はもともと「真面目、等身大、親切」という素晴らしいDNAをもっているが、それだけではこの苦難の時を乗り越えることはできない。

やはり精神にも強弱や緊張・緩和といったメリハリやバランスが非常に大切で、せっかく五魂が備わっているのだから、それらをその時々で使い分けるということも大切であろう。

要するに、「怒るべき時は怒る」ということだ。

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【七沢賢治プロフィール】
1947年 山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒業。大正大学大学院文学研究科博士課程修了。伝統医療研究、哲学研究、知識の模式化を土台とした情報処理システムの開発者、宗教学研究者。
言語エネルギーのデジタル化による次世代システムの開発に携わる一方、平安中期より幕末まで白川伯王家によって執り行われた宮中祭祀や神祇文化継承のための研究機関である一般社団法人白川学館を再建。現在、同学館代表理事、株式会社ラボラトリオ 代表取締役などを務めている。
『なぜ、日本人はうまくいくのか? 日本語と日本文化に内在された知識模式化技術』(文芸社)、『神道から観たヘブライ研究三部書』(小笠原孝次著/七沢賢治監修)、『龍宮の乙姫と浦島太郎』(小笠原孝次・七沢賢治共著)など、監修書・著書多数。

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