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日本という、このすばらしい国 その10

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

我が国への漢字の伝来が意味するもの

漢字が我が国に伝来したのは、古事記の応神記に記述されている文言を根拠とするならば、西暦283年とされています。また、西暦57年に倭奴国が後漢の光武帝に朝賀したときに、倭奴国の使者が、光武帝に上表文を口上しています。上表文を口上した倭奴国の使者が漢字の読み書きが出来ないとは、とうてい思えません。我が国にあまねく漢字が普及した頃は、通説どおりの西暦4世紀から5世紀かもしれませんが、漢字伝来は、はるかそれ以前の、中国大陸から渡来した難民たちによってもたらされたと推測しても何の不思議もないのではないでしょうか。

中国大陸では、我が国の古墳時代以前、さらには縄文時代の頃から漢字によって多くの歴史書が書かれていたことは、明らかな事実です。弥生時代に、中国大陸から大量の難民が渡来してきたという事実を前提とするなら、その難民の誰もが漢字を知らなかった(読み書きできなかった)と言うことはあり得ないはずです。また、漢字で書かれた様々な書物も数知れず、我が国に運ばれてきた、と考える方が自然ではないでしょうか。弥生時代の中国大陸は、周(西周/東周)秦、漢(前漢/後漢)の時代で、紀元前1100年~紀元後220年の間です。

秦の始皇帝は、秦の時代以前の、特定の思想や学問を焼き払う焚書を行っています。そして漢字の統一(我々日本人が現在使っている隷書や楷書は、この後の時代に完成されている)を行い、国家の仕組み、政治の仕組み、軍事の仕組みをはじめ、仏教経典や、農業技術や、工業冶金技術や、漢方薬調合技術などの様々な知識を、統一された漢字で編纂し直しています。弥生時代に、中国大陸から渡来してきた難民たちの中には、それらの書物の一部を携えてきた人たちも数多くいたはずです。

漢字の読み書きが、我が国で普遍化したのは、通説どおりの西暦4世紀から5世紀かもしれませんが、少なくとも弥生時代の中期(紀元前1世紀~)の頃には、漢字で書かれた書物を携え、漢字の読み書きが出来ることを特技として日本列島に根付いた人たちがいたはずです。彼らはそれらの特技を閉じた社会、つまり血縁社会でのみ継承することにより、知識権力基盤として温存し続けたとしても不思議はないはずです。

このようなことは明治の時代でも顕著にあった事実です。直近では、IT社会と言われる現在においても、米国大陸でIT技術をいち早く習得して帰国した人たち、そしてIT技術書をいち早く翻訳した人たちが重宝されてきたのです。また、習得、もしくは翻訳した本人自らが事業を興して、ファンド(資金)を募って成功した例は数知れずあります。知識とは本来そのように利用し、利用されてきたものなのです。(つづく)

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→その11に続く

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等


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