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オープンマインド・ヒューマンネットワーク論 その9

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

知識とは、いったい何のことだろうか?

知識の定義については、チャールズ・M・サベージが、著書『第5世代のマネージメント』 の中で次のように述べている。知識の定義については以前、<知識論>大事なものは、 すべて身の内にある その2にて、触れさせていただいたので、この機会にぜひ、改めてご参照いただけたらと思う。何事もそうであるように、まずは前提となる定義を明確にすることで、その後の理解の助けになるからである。

さて、<知識論>大事なものは、 すべて身の内にある その2にて、一通り知識の定義について触れているものの、ここではさらに端的に、説明を加えてみたいと思う。

知識とは、日々の業務のすべてを詳細に、正確に記述し、蓄積し、整理し、定量化し、価値基準値を明確にし、いつでも検索できるカタチにし、しかも、どんなカタチにでも瞬時に加工できるようにすることを、生きている限り続けた成果である。さらに言うならば、やったこと、考えたこと、感じたこと、覚えたこと、経験したこと、そして最後に、それらをいつ、どれくらい体験したかをすべて記述する。それを積み重ねた総量が、その人の知識であるといえる。したがって、こちらでいう知識は経験知と言い換えることもでき、さらには事実の記述ともいえる。

しかし、人間の頭脳はどうしてこうも、便利にも不便にもできているのだろうか? その代表格が、コンピュータの世界でいうところの<削除>コマンドが存在しないことである。なぜ、<削除>コマンドが存在しないのだろうか。それは、繰り返しお伝えしているように、人間は寿命をまっとうするまでに必要な知識のすべてが、生まれたときに用意されている、データベース化されて用意されているフシがあるからである。ただし、断言はできない。そしてさらに、その知識のデータベースにはコンピュータの世界でいうところの<番地>が存在していないようだ。したがって、ある知識が格納されているのはx座標軸の3番地と、y座標軸の9番地であるといった類の検索機能も、格納機能も備わってはいないようだ。

しかし、人間は、誰もが経験しているはずだが、ウンウン唸って思い出すことができるし、ある日突然、ポンと思い出すこともできるし、永久に思い出せないこともある。どうやっているのだろうか? 時間を一つの系にして、その系に一つ一つの知識をぶら下げているのではないだろうか?

もちろん、以上の論は筆者の独断と偏見による仮説にしか過ぎない。また、どうも知識の<入力>コマンドにあたるものも存在しないフシがある。知識のすべてがあらかじめデータベース化されているのだから、知識の入力という行為は、本来、不要なはずである。その代わりといっては何であるが、データベース化された知識を探って、その知識があることを確認したという、<一時確認>コマンドがあるのではないだろうか。一時確認だから、確認した記憶はあっても、入力したという記録は無いらしい。もちろん、この話は事実に基づく話ではない。筆者の経験と、どうしてもそう考えないと説明がつかない、私自身のイラダチからの推察である。仮説である。(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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