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言霊よもやま話 Vol.17 〈独楽〉 其の三

原典:『世界維新への進発』(小笠原孝次 著)
編集:新谷 喜輪子 / 監修:杉山 彰

世界の混乱は子音の混乱であって、 三千年にしてその混乱が今日極限に達した


世界の乱れはロゴスの独楽から見る時それは子音の運行の乱れであり、子音がその本然の軌道軌範を外れて彗星の様に勝手に彷徨(ほうこう)するからである。子音の乱れはその頃から今日迄三千年間続いている。生命の父と母の道を忘れた第二次的な乱れたままの子音の現れである感情や知性、主義や思想の上で乱れを整理しようとして如何ほど工夫努力しても、その子音が運行する根本の調和態に順応合致しない限り解決は得られない。乱れを以て乱れを整理する事は不可能である。その為には勝手に個々を主張する子音の妄動を超えて、その奥の次元に永劫の調和を以て今此処に整然と活動を続けている人類普遍の生命意志活動の究極の実体である種智言霊の独楽の廻転に歴史的に溯源し、これを形而上に再発見し、その自覚を復原して、これに連結、順応、調和しなければならない。

今日迄三千年間生命のロゴスの独楽は人類の自覚から忘却され隠没(おんぼつ)したまま人知れぬ廻転を続けていた。此の時代を天の岩屋隠れ、仏陀入涅槃、ティタン神族滅度の時代と云う。けれども生命の独楽はたとえ自覚されなくともその人自身の絶対絶命の生命の権威であるから、究極的には必ずその回転運行に順応しなければならぬから、これに調和しなければその個態は結局は自滅するより他はない。逆説すれば滅亡が生命ヘの順応である。これが栄枯盛衰、諸行無常の哀れな悲しい憂き世の姿であった。みずから順応すべき生命の独楽の回転が見えないから空しく右往左往を繰返していたのであった。

「なんぢ、北斗とその小星を導き得るや」(ヨブ記三十八章)。北斗とは母なるウアワオエヲヱの七言霊であり、子星は三十二個の子音である。世界の混乱は子音の混乱であって、三千年にしてその混乱が今日極限に達した。その混乱裡に或者は個人も国家も⺠族も猶おも自己の我儘勝手(わがままかって)を押通そうと狂奔(きょうほん)し、或者はそれを収拾しようと懸命に工夫摸索しつつある。此の三千年の間に人類は第二の文明である科学を創造し産業を興隆し、感覚に写る理論物理学の独楽の原理を発見した。今こそ想いを三千年の昔に返えし、自己内奥の生命の扉を開いて神代ながらの生命の言霊(ロゴス)の独楽の自覚に還える時である。

(つづく)

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【小笠原孝次(おがさわらこうじ)略歴】
1903年 東京都にて生誕。
1922年 東京商科大学(現在の一橋大学)にて、
吹田順助氏よりドイツ文学、ドイツ哲学を学ぶ。
1924年 一灯園の西田天香氏に師事し托鉢奉仕を学ぶ。
1932年 元海軍大佐、矢野祐太郎氏および矢野シン氏と共に
『神霊密書』(神霊正典)を編纂。
1933年 大本教の行者、西原敬昌氏の下、テレパシー、鎮魂の修業を行う。
1936年 陸軍少佐、山越明將氏が主催する秘密結社「明生会」の門下生となる。明治天皇、昭憲皇太后が宮中で研究していた「言霊学」について学ぶ。
1954年 「皇学研究所」を設立。
1961年 「日本開顕同盟」(発起人:葦津珍彦氏、岡本天明氏ほか)のメンバーとして活動。
1963年 「ヘブライ研究会」を設立。
1965年 「ヘブライ研究会」を「第三文明会」に発展。
1975年 「言霊学」の継承者となる七沢賢治(当時、大学院生)と出会う。
1981年 「布斗麻邇の法」を封印するため七沢賢治に「言霊神社」創設を命ずる。
七沢賢治との連盟で山梨県甲府市に「言霊神社」創設する。
1982年 79歳にて他界。

【著書】
『第三文明への通路』(第三文明会 1964年)
『無門関解義』(第三文明会 1967年)
『歎異抄講義』(第三文明会 1968年)
『言霊百神』(東洋館出版社 1969年)
『大祓祝詞講義』(第三文明会 1970年)
『世界維新への進発』(第三文明会 1975年)
『言霊精義』(第三文明会 1977年)
『言霊開眼』(第三文明会 1980年)

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