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サントス先生の幸福学とWOOPのADHDコーチングへの応用

日本語にはピッタリな訳語はないのだけど、フランス語のbien-êtreという単語がいい言葉だなと前から思っていて、そういえば英語ではwell-being、こっちはある程度メジャーと気付き、なんの気なしにcourseraを漁っていたら、The Science of Well-Beingという講座に出会った。

最初は気づいていなかったのだけど、このイエール大学のサントス先生の講座は世界中でめちゃくちゃ人気らしい。そして、確かにめちゃくちゃ面白い!ステキな仕事もお金も愛も美貌も人を幸福にしないということの心理学実験の証拠がバンバンだされ、人の認知は間違うのだ!そう、理解していても、そんな風に人は感じない。この2つの○は同じ大きさだとわかっていても同じに見えないだろう!とゆさぶってくる。比べると小さいでしょ、左が。だから、人間も周りのすごい人と自分を比べると自分が小さく、劣等感を感じるのだ。そう、比べると間違うのよ!!!

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かっこよすぎる!このコース以前に受講した日本人の方がちょっと日本語字幕をつけてくれているのでとっつきやすいが、途中からは英語でハードルが高い。しかし、音声スピードを75%にして字幕はフランス語、要約文書は、前にADHDの勉強のときに使用したDeepL翻訳で英語のままコピペ、テストもコピペして問題を解くという私にとっての王道パターンですでに6週間続けた。(まあ、一週間分は半日あれば余裕でこなせるからたいした量ではない。)

そして、6週め幸福になる方法を習慣づけるために「WOOP」という方法が紹介され、提唱者のエッティンゲン博士にサントス先生がインタビューを行う。このエッティンゲン先生の英語がとてもわかりやすかったので、真面目に見ていて気づいた。この方法、100% ADHD持ちの目標達成に使えると。

今、私はコーチングの勉強も平行してしているのだけど、通常のコーチングはポジティブな自分を具体的に描き、その時の感情などもリアルに思い描き目標達成の推進力とする。しかし、WOOP(Wish, Outcome, Obstacles, Plan)では、途中にObstacles(障害)を思い描き、その障害がもし起こったら…という(if/then)プランを立てておくという特徴がある。個人的には、そりゃあダメだってこと想定するなんて普通でしょうと思うのだけど、それは横に置いておいて、通常のポジティブシンキングとWOOPを用いた実践では、後者の方が目標達成率が高いということが講座の中で示された。(小学5年制にWOOPのやり方を教えると、GPAや出席率が優位(約2倍)に上がり、しかもそれが実験終了後の10週間まで持続された。中年女性のスポーツの持続率も10週間モチベーション持続。)

ADHDの特性があると、目標達成に関する失敗の確率は、それこそない人と比べてかなり高いと想定される。(現在うちの息子で、ポジティブシンキングによる早起きの実験中であるが、二度寝が最大の障害でなかなかうまくいっていない。)ということで、これ使って実験しようと今思っています。

ちなみにWOOPは、博士が作ったアプリが日本語でも使えるし、講座のビデオで「何でも質問してね!」と言っていたので調べてみたら、HPが本当に質問Welcome状態(自動だろうけどちゃんと日本語もある)だった。

そして、予感的中!HP内に、博士も実験に参加した、ADHD持ちの小学生が宿題をラクにできるようになったという論文リンクがはられていた。ステキすぎる!

「Self-regulation is an important prerequisite for successful academic achievement, particularly for children who are at risk for Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD). We taught Mental Contrasting with Implementation Intentions (MCII), a technique that is known to facilitate the self-regulation of goal pursuit, to schoolchildren (sixth- and seventh-graders) both at risk and not at risk for ADHD. Parents rated their children’s level of self-regulation 2 weeks after the intervention. Children at risk and not at risk benefited from MCII more than from a learning style intervention only and the benefits of MCII were particularly strong for children at risk for ADHD. The results have implications with respect to supporting children’s self-regulation in their everyday school lives.」

(自己調節は、特に注意欠陥多動性障害(ADHD)のリスクがある子どもたちにとって、学業達成を成功させるための重要な前提条件である。我々は、ADHDのリスクがある子どもとない子どもの両方の学童(小学6年生と7年生)に、目標追求の自己調節を促進することが知られている技法である実施意向とメンタル・コントラスト(MCII)を教えました。保護者は、介入の2週間後に彼らの子供の自己調節のレベルを評価しました。リスクのある子どもとリスクのない子どもは、学習スタイル介入のみよりもMCIIの恩恵を受けており、MCIIの恩恵はADHDのリスクのある子どものために特に強かった。この結果は、日常の学校生活における子どもの自己調節を支援するという点で意味合いがある。「DeepL翻訳」)

ちなみにメンタル・コントラストとはWOOPと同じように「障害」を想定すること。Mental contrasting = a visualization technique involving first thinking of a positive future outcome followed by thinking ob obstacles (ポジティブな未来の結果を最初に考えることに続いて、障害物を考えることを含む視覚化のテクニック「DeepL翻訳」:サントス先生の授業内解説)

※あと日本語書籍も調べてみたら、博士の本はすでに在庫がなく中古市場では10000円を超える高値で取引きされていたので、参考までに追記しておきます。(講談社さん、サントス先生幸福学の人気に便乗して今こそ再販の時期と思われます。)



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