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石橋瞭 個展 『Beyond Fav.』 INTERVIEW by PARK GALLERY

パークギャラリーで 3月2日(水)から3月13日(日)まで、個展『Beyond Fav.』を開催している、イラストレーターの石橋瞭さんへのインタビューです。会場に来る前はもちろん、来た後にも、そして遠方の方にもぜひ、石橋瞭さんの正体に迫るインタビューをオンラインで楽しんでもらえたら嬉しいです。ここで感じた質問や意見、そのほか本人に伝えたい感想など、会期中は本人が返しますので。気軽に DM やコメントください。


——  絵を描き始めたきっかけや時期を教えてください。幼少期に絵を描いていたなどの思い出などもあれば聞かせてください。

石橋:小学一年生の時に「デジモンのパタモンを描いて。」と、クラスの女の子に言われたのがきっかけです。たまたまかもしれませんが、思いの外うまく描けてしまって、「あれ。自分ってもしかして絵を描くことが得意なのかな?」と気づきがあったのです。そこから絵を描くようになり、当時は漫画家を夢見てよく鳥山明さんの絵を模写していました。

そして芸大に入ることになるのですが、当時は浪人は避けたいと思っており、自分のレベルに合う大学ということで、『京都造形芸術大学』に入学しました。(現:京都芸術大学)

そんな大学生活のある日、図書館でイラストレーターの寺田克也さんの「ラクガキング」という本に出会うのです。

タイトル通り、寺田さんのラクガキをかき集めた本で、辞書のような分厚さがあるのですが、どれもラクガキとは到底思えないクオリティと、とてつもない量でして。それに衝撃を受けて、自分ももっと頑張って描こうとイラストレーターを志すようになりました。大学生活の半分はカフェにこもってペンで絵を描いていたような気がします。

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—— いまの絵のタッチにたどり着くには、だれかの影響やプロセスがありますか?

いまの絵だと、ぱっと思いつくのは絵本作家の荒井良二さんの影響を強く受けていると思います。2020年に『ギャラリーハウスマヤ』で絵本の原画展をされていたのですが、そこでみた作品に感動して泣いてしまいまして。そんなこと初めてで、自分も人の心を動かすような絵を描けるようになりたいと思いました。

あと印象派の影響はかなり受けています。モネや、ボナール、ルノワール、ゴッホなど。構図は浮世絵の影響もありますね。以前は前述の寺田さんに憧れて、線画を描いていたんですけどね。

ただ、『パレットクラブスクール』に通って色々な生徒さんの絵を見て、自分もアクリルガッシュを使った絵を描いてみようと思って画材の変更を試みたのです。そこで映画を全部描くという活動をして、アクリルガッシュを自分の身体に馴染ませていきましたね。その修行は今でも続いています(最近描けていないですけど…)。

この活動はグラフィックデザイナーの菊地敦己さんに頂いたアドバイスで始まりました。当時映画の1シーンを描いていて、それをお見せしたら、「1シーンだけでなく、全部描いちゃいなよ。」の一言がきっかけです。その機会がなければ今の自分はいないと思います。感謝しています。

映画の絵1

映画の絵2

ちなみに全部描いたあとに再びお見せしたら、「本当にやったのか。馬鹿じゃないのか?」と笑われました。でも喜んで頂けたので、やってよかったと思いましたね。

——  昔の作品も見てみたいです。

大学生時代のラクガキ。

大学時代のラクガキ2

大学時代のラクガキ1


——  描いててたのしいと思う時間や、描いていて時間を忘れてしまうくらいすきなモチーフはありますか?

どんなモチーフでもたのしいと思う瞬間はあるのですよね。逆にしんどいと思う面も然りで。制作の後半に差し掛かって形が見え始めたときや、こうした方がいいかもとアイデアが思いついたときがたのしいと思う時間だと思います。

序盤って、「この絵どうなっちゃうんだろう」とか、うまくいくのか不安な気持ちが心の奥底にあるのかもしれません。ただ共通して言えるのは、少なくともシンプルなモチーフより、ごちゃごちゃとした複雑さがあるモチーフの方が描いていて楽しいです。退屈せずに忙しく手を動かしていたいのだと思います。

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—— 今回の展示のテーマの軸でもある、石橋さんにとっての『お気に入り』は一番に最初になにが頭に浮かびましたか?

『オムライス』ですね。
なぜかはわかりません。そんなに頻繁に食べているわけではないのですけどね。「好きなもの」といえば、「食べ物」という公式みたいなものが頭にあるのかもしれません。

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物でなければ野球が最初に思いつきました。別に部活など入っていたわけではないのですが、子供の頃に友達と遊ぶ程度にはやっていて好きなんですよね。今はやる機会はないですが、観る方はずっと好きで続いています。両親が熱心に観ているのでその影響もあると思います。


—— ご自身の絵の特徴はどこにあると思いますか?

力強さですかね。
Instagram で、自分以外の作家の方を見た後なんかに、自分のアカウントの画面に戻ってくると、「うわ、濃いなぁ」と思います(笑)。色の使い方や、筆使いからくる強さなんでしょうけど。

以前はもう少し落ち着いた画面に憧れていたのですけど、最近はもう開き直ってこれが自分の絵なんだと思うようになりました。その方が素でいられるので気持ちは楽ですね。

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—— 今後どうしていきたい、どうなりたいなどの夢や野望はありますか?

絵でもっと稼げるようになりたいです。
今はデザインの仕事と並行して生活しているので、イラストレーション一本に絞りたいですね。いい絵を描けるようになりたいとかもありますが、それらも含めて稼げるようになりたいということですね。自分はアーティストではなくイラストレーターですし。

具体的な仕事でいうと、一番は広告の仕事に携わってみたいです。特に、ブランディングに自分のイラストレーションが貢献することができたら感動ですね。媒体としてもサイズ的に大きな出力になるかと思いますし。


—— 最後に見にきてくれる人たちにメッセージをお願いします。

「あなたの好きなモノは何ですか?」

いくつ選んでも構いませんと聞かれたら、あなたは何と答えますか?

今回の個展に向け、僕は自分でこのテーマを決めておいて、少し苦労しました(笑)。でも「自分は何が好きなのか」アンテナを張りながら生活するのは悪くないものです。むしろ心豊かになるというか、今は(自分探しの)旅に出たあとのような気分でいます。僕たちの内に秘められているものは、それぞれ好きなモノや場所、人との対話や経験が「記憶」として蓄積されて形成されていると思います。「好き」を探ることは、自分の内側やルーツを探ることにもつながるのではないでしょうか。

みなさんもこの展示をきっかけに、それぞれの「好き」を探る旅に出かけてもらえると嬉しいです。そして心を温めましょう。ひとつひとつの「好き」という感情を、大切にしていきましょう。


作家名:石橋瞭
1992年北海道生まれ、埼玉県在住。
パレットクラブ イラストコース/卒業生コース修了。
2021年よりフリーのイラストレーターとして活動開始。
雑誌やWebメディアなどのイラストレーションを担当。
https://salon.io/sk-ktn2
https://www.instagram.com/ryo__ishibashi

石橋瞭 個展『Beyond Fav.』をオンラインからも。


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