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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑧ TARP 『TARP』(東京都)

COLLECTIVE まであと5日。あっという間ですね。この調子でいけば初日には30タイトルくらいの ZINE が壁一杯にならぶと思われます。今から楽しみです。毎年、開催後に申し込みが増える傾向にあるので、さらにたくさんの出会いを期待したいと思います。一昨日も COLLECTIVE がきっかけで知り合った写真家さんと会ってて、展示の話などを。出して売って終わりじゃなく、ずっと続いていくような関係性になればいいなと思っています。

まわりに ZINE を作ってるひといたらぜひお声がけください。ほかのイベントに出しちゃってるひとでももちろん構いません。点と点が合わさらないときっかけにはならないので、接点は少しでも多い方がいいと考えます。受け入れ態勢は例年になくバッチリです。どうぞよろしく。

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風通しのよさの正体を探す

今日紹介するのは、5人の絵描きによるモノクロのドローイングを8Pずつまとめた作品集的な1冊。

東京からのエントリーではあるけれど、佐賀在住の絵描きでパークでも展示経験のある中村美和子さんが参加してることでその存在を知り、声がけさせてもらった。誰か一人の接点のおかげで、知らなかった新しい絵描きに出会える。グループ展や、こうした複数人が参加してるオムニバスの作品集の魅力はそこにあると思う(レコード然り)すばらしい。

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潔さの正体を探す

同時に、あまり多くが語られていない潔い ZINE だなと思った。なぜこの ZINE が作られたのかというステートメント的なものも特に本誌にはなく、SNS をチェックしてもそれっぽいことは書いていない。どの作家がどの絵なのかは最後にならないとわからない(ゆえに少なくとも2度3度とめくってしまうのだけれどそれが作戦だったらすばらしい)。明確な作家の境界線がなく、グラデーションでいつのまにかうっかり次の作家の世界観に飛び込んでいたりする、境界線を確認するためにまた行ったり来たりする。何度も何度も噛みしめられる仕組みになってる。これはもし作家名 → 作品と、構成されてたら一回目を通しただけでわかった気になってしまっていたと思う。カタログじゃないんだから、この作りがいい。エントリーの際の ZINE の説明文には、

風通しのいいドローイング ZINE をめざしています。

とだけ一言。この潔さが、この本の魅力の正体か。

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みんなきっとうまくいく

めくればめくるほど、ひたすら気持ちのいい空間に作家性と絵だけが空気中(正しくは脳内)に漂ってる『バーチャルギャラリー』といった感じ。『タープ』が意味するのはこの空間性か。パーソナルな思いを詰め込む小さな入れ物 ZINE に TARP というアルファベット4文字を添えて、A5サイズのすばらしいギャラリーをてのひらに生み出してるこの1冊。雨よけの大きな傘みたいなイメージは、まるで「みんなきっとうまくいくよ」と言ってくれているようでなんだかやさしい。


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


参加者(掲載順):
Louiszona @louiszona_
春日井さゆり @sayuri122
半袖 @hansodet
中村美和子 @WMTTTTNS
海老沢竜 @ebisawa_ryo

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作家名:TARP(東京)
5人の絵描きのモノクロドローイング ZINE "TARP"
風通しのいいドローイングZINEをめざして作りました。
https://twitter.com/tarp_2020
【 地域のオススメ 】
西荻窪・天狗湯 ... 店内に猫がいて、いろいろなお風呂がある。
http://blog.livedoor.jp/sirakababbq/archives/cat_10034230.html





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