COLLECTIVE レビュー #53 dayoung cho 『ㅂㅗㅁ,ㅇㅕㄹㅡㅁ,ㄱㅏㅇㅡㄹ ,ㄱㅕㅇㅜㄹ』(東京都)
20年サイクルで生み出されると言われるファッションの流行の波。確かに少し前まで20代の子たちのあいだで、GAP や POLO を代表する90年代のミドルスクール的なストリートファッションが流行していたように思う。コロナ禍になるとそういったフィジカルなファッションの子が減り、わりとシックでタイトなモードとルーズな古着をミックスさせたようなカッティングエッジなファッションが目立つようになる。音楽活動をはじめた2000年のはじめころ、そういう仲間がたくさんいたように思う。
振り返ってみるといつの時も流行には程遠いところにいた。服の方向性は高校生の時からあまり変わらないし、アクセサリーはつけない。流行りの音楽も聞かない。気づいたら40歳になっていて、サウナや町中華が流行って、「居場所がない」とうんざりしてる。
ZINE だってそう。こんなに流行る予定ではなかった。
「流行り」というものはいつだってスピードが早くて、居心地の悪いものだと思っていた。
COLLECTIVE ZINE REVIEW #53
dayoung cho「ㅂㅗㅁ,ㅇㅕㄹㅡㅁ,ㄱㅏㅇㅡㄹ ,ㄱㅕㅇㅜㄹ」
カリフォルニアから日本にやってきたコリアンアメリカンのイラストレーターのdayoung cho(ダヨンさん)の ZINE「ㅂㅗㅁ,ㅇㅕㄹㅡㅁ,ㄱㅏㅇㅡㄹ ,ㄱㅕㅇㅜㄹ」。ハングルで書かれたタイトルの意味は「春夏秋冬」。季節を巡るファッショニスタのコーディネートや植物が鉛筆で描かれたイラストレーションで楽しめる1冊だ。
流行を追い、その最先端でファッションを思い切り楽しむ。そんな女の子たちのことをダヨンさんは「POPPI GIRLS」と呼び、ライフワークのように日々、描き続けている。本人もファッションが好きで、その憧れと、自分の好きなアイテムをただとにかくひたすら描いているようで、本人自身が楽しんでいそうな様子が作品から伝わってくる。ファッションカタログのようにポーズを取って明るく楽しそうにしてる彼女たちを見ていると、ファッションは居心地の悪い窮屈なものなんかではなく、「好きに楽しめばいいもの」だということを改めて気づかせてくれる(あたりまえのことなのになかなかそうはいかない)。
海外という視野から日本や世界のファッションを見ているからだろう、そのバリエーションはまさに多様性とも言える。
好きこそものの上手なれ、という言葉もあるように、流行のファッションを描くダヨンさんの絵のクオリティは日に日にあがってきているようにも思える。
というのも、実はダヨンさんは PARK GALLERY のオンラインマガジンで「POPPI GIRL」という連載を手掛けている。毎週ダヨンさんが気になっているファッションを身にまとった女の子たちが登場する(ダヨンさんのポイントの紹介や、ファッションメモも必見)という企画で1年近く続いている。
もしこの ZINE を見て、少しでも彼女の世界観が気になったのであればぜひInstagramや、連載「POPPI GIRLS」も読んでみてほしい。
そして、みんなももっともっとファッションを「自分らしく」たのしんで。POPPI OJISAN ことぼくは、うーん、まずはダイエットかな …。がんばります。
レビュー by 加藤 淳也
---- 以下 ZINE の詳細とそれぞれの街のこと ----
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