『わたしのつれづれ読書録』 by 秋光つぐみ | #17 『徹子さんの美になる言葉』 黒柳徹子
#17
2023年2月8日の1冊
「徹子さんの美になる言葉」黒柳徹子 著
(光文社知恵の森文庫)
昨日、ラジオ耕耕に「本のひと」としてゲスト出演させて頂き、黒柳徹子さんの代表的著書である 『窓ぎわのトットちゃん』 について語り尽くしました。いえ、語り尽くすには時間が足りず、収録後も加藤さんやソラくん、カネコさんと話し続けて止まらない程でした。
皆さま、聴いて頂けましたでしょうか?
この回では、関連書籍として同じく徹子さんの著書
『徹子さんの美になる言葉』
という本をピックアップしました。今回の「今日の1冊」ではこちらをもう少し深掘りしていきたいと思います。
2008年5月、ニューヨークのヤンキースタジアムで、イチロー選手の試合を観戦した話から始まります。そのときのイチロー選手のプレーを見て、そのときどきで瞬時に対応していくことができる柔軟な身体や精神力を持つことが重要なのだと、その「対応力」に感銘したことが綴られています。
「人生は思い通りにはいかない。それでも人生に絶望することなく、人を疑わず、毎日イキイキと暮らしてほしい。」
若い人たちに対してそんな思いを抱きながら、日々テレビを通して言葉を発信している徹子さん。本書では、そんな徹子さんの確固たる信念をつくりあげた言葉たちが、短編エッセイとして綴られています。
この中から、私自身が反応させられた言葉をご紹介します。
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私がここでハッとしたのは最後の一文。エステやジムなど、美容には無頓着らしい徹子さん。日々のスクワットと、ヘア&メイクアップアーティストの田中宥久子さんから教わった造顔マッサージを欠かさないようにはしているものの、それだけ。それでいて御歳90歳で美しく、あのお元気な姿。超人っぷりを思わずにいられないのですが‥。
つまり外見でなく、「知性を備えていること」を、徹子さん自身は「美しい」と思っている。そのメッセージに気がついたときに、ギュッと心を掴まれました。
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『マスター・カラス』という舞台で徹子さんが演じたマリア・カラス。翻訳劇への出演や実在する人物を演じることが多く、その度に徹底的にその人物について勉強する徹子さん。もともとマリア・カラスの大ファンで、手に入れられる本はすべて読んだ。そんななかで出会ったであろう言葉です。
こうしてお仕事そのものの中から、生きていく糧を得て、そしてまた鍛え上げた人間力をお仕事へ還元していく。なんて理想的な生き方だろうと思います。でもそれは、私にとっても、皆さんにとっても同じで、そうなれる可能性はどなたにでもある。そんな希望を添えてくれる言葉です。
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私がラジオでチラッとお話しした「NK(ナチュラルキラー)細胞」の章で語られた言葉です。「自由」というものがどういうものなのかを、本当に知っている人の言葉だと思います。自分の気持ちに、人生に嘘をつくことはできない。もし違和感を抱えてしまったとして、それを放置しながら騙し騙し進んでしまっては、それは自分を傷つけることになる。
「魂」。心の中で自分をふるわすもの、自分の内側から湧き上がってくるもの。そんなものの存在に気がついたら、その魂をどうするか。
「魂が自由であること」。傲慢であること、感謝の気持ちを忘れてしまうこと、他者を顧みずに奔放に振る舞うこととは、きっと違います。その本当の意味がわかるとき、それは自分のことを大切にすることにつながるのかもしれないなと思います。
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本書で、私が最も心に響いた言葉たちを挙げました。まだまだ「美になる言葉」はたくさん書かれています。そして、いま自分に響く言葉というものは、そのときどきの自分の心の状態にもよるのだと思いました。また数ヶ月、数年後にこの本を手に取ってページを開いたとき、そのときの自分の心が受け取る言葉は違うかもしれない。『徹子さんの美になる言葉』は、そういうふうに「いまの自分を知る」きっかけを与えてくれる本です。
PARK GALLERY 木曜スタッフ・秋光つぐみ
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