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issue 39 「高円寺の隠れた名店。行ったら必ず虜になる、病みつきの味 !?」 by ivy

嫌いな人を見たことがない食べ物、ラーメンは間違いなくその一つだと思う。だからほら、どの街にもラーメン屋はある。PARK の面々と畑仕事をした後、周辺に飲食店も殆どないような場所だから、腹ペコ状態でランチに悩むけれど、ラーメンだけは安定の選択肢にラインナップされている。さて、この『ivy look』でもたびたび登場するカルチャーの街、高円寺にも、案の定ラーメン屋が多数店を構えている。とはいっても、周りにあまりに飲食店が多いせいか、あまりラーメンがフォーカスされることって少ないんだけど。さて、今日は高円寺に来たらぜひとも食べて欲しい、知る人ぞ知るラーメンの老舗について。

音楽関係、古着屋関係、飲食関係、住んでいる人 ... 高円寺には、色々なかかわり方でご縁をもった友人知人がいる。不思議なもので、物理的な距離が近い割にはそのあたりのコミュニティが一つにならず、それぞれと話していて、同じ町のこととは思えないくらい話題が被らない。「そんなお店あったっけ」となることがほとんど。ただ、例外的にバラバラなコミュニティから「高円寺に来て飯ならここでしょ」と断言される店があるんだ。今回の主役、南口商店街にある町中華「天王」だ。あくまで町中華だから、メニューもそれなりにバリエーションがあり、経験の範囲ではどれも間違いなく旨いんだけど、やはりここまで熱烈な支持を得ているのは、他の追随を許さないラーメンの存在が大きい。

幾多の飲食店が群雄割拠する高円寺駅前においてここまで名前が挙がるのも納得。何度も行きたくなる旨さ。

正直なところ、「天王」のラーメンに派手さはない。味はどこまでも、「普通の」中華そば。昭和の香りがする昔ながらのラーメンは、こってり系やおしゃれ系のようなキャラ立ち、目新しさとは無縁だ。内装なんて装飾が一切ない。ほとんどスケルトン。調理場と客席の殺風景具合に差がない店はなかなか珍しい。

「天王」のラーメンは、この古めかしさ、殺風景さこそが魅力。家庭料理的な温かみのある味わいと、深みがあるショウガ醤油スープ、これに尽きるんだ。「普通の」中華そばでありながら、病みつきになる旨さの正体。それは、決して強烈な主張をするわけではないが、身体の内側から温めてくれるようなショウガの香りと旨み。醤油の均整がとれたスープに切れとアクセントをもたらしてくれる。食後にニンニク臭さや胃もたれかが気になることはまずない。むしろ爽やかですらある食後感。嫌いな人がいないラーメンの誰もが「ああ、これを食べたかったのよ」を叶える盤石の一杯。高円寺で古着を見ていたり、呑んでいたり、そんな隙間にふと思い出したら行って欲しい、隠れた名店だ。

イラスト:あんずひつじ

ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside

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