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ivy の IVY LOOK | issue 64 | 趣味、バーの店番

一度でいいから、やってみたかったことがある。それは、バーのカウンターで「向こう側」に立つこと。

「バーテンダー」なんて名乗るのはおこがましい。あくまで店番だ。学生時代、飲食のバイトはしていたけれど、カフェ店員とバーの店番は意味が変わってくる。何が違うのかって明確な定義はないけれど、なんとなく店番の方があっている気がしていた。

今月から主に土曜日、本郷三丁目にあるカフェ『珈琲 FARO』の夜営業で店番をしている。念願叶って、バーの「向こう側」へ。

文化財に登録されている、ヴィンテージビルの2階にあって、入り口は狭いのに、店内は広々としている。打ちっぱなしの壁とウッドの床や家具が見た目にも素敵で、店に立つ側としても客としても居心地がいいことこの上ない。仕事ではあるけれど、趣味のニュアンスがかなり強い。

もちろん、せっかくだからお酒の勉強はしたい。お客さんだってたくさん来てほしい。売上もある方がいい。友だちや店の周りに住む人がリピートしてくれたら嬉しいし、何より楽しい。

ただ、好きな音楽をかけて暗くなった街を窓から見下ろしながら最初のお客さんを待っている19時前が一番気持ちいい。バイトなら店の始まる前とか、クローズ作業とか、かったるい以外の何物でもなかったけれど、バーの店番では不思議と全く苦にならない。誰もいないガランとした店内を見ながらかける曲はどんなのがいいんだろう … とか考えながらあたりを見回す。

書くことを仕事にするようになってから、完全な息抜き、プラスアルファのサードプレイス的な要素が私の中になくなってきたこの頃。このバーに立っている間は、少なくとも会社員でも編集者でもない頭の使い方をするので、第3の自分でいられる場所だ。遊びに来てくれた人にもそういう場所であってほしい。Instagram でも告知するので、よかったら遊びに来てね。

イラスト:あんずひつじ

ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside



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