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猫背で小声 season2 by 近藤学

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猫背で小声がちょうどいい、会社員・近藤学による人気エッセイのシーズン2。人生の半分を『自分磨き』(ひきこもり)に費やした青年が、社会の窓を開いて外に出るまでの小さな物語をシーズン…
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#過去のぼく編

猫背で小声 season2 | 第20話 | 紆余職職

働く人 働かない人 働きたくても働けない人 働くことに対して無な人 いろんな人がいるだろう。 ご存知の通り20年間引きこもってきたぼくだけれど、最初に「働く」という経験をしたのは、地元の郵便局の年賀状の仕分けのバイトだった。はっきりとした時期は覚えていないが、たしか成人式を迎え「社会に出てやる」と思ったその年末のバイトだったと思う。 このバイトの業務は年末から年始までで、毎日てのひらから溢れ出てしまうほどの年賀状を箱から取り、ひたすら住所の書いてある BOX に入れていく

猫背で小声 season2 | 第17話 | 俗に言う続続

最近も具合が悪い。 今にはじまったことではないが、さらに具合が悪くなっている。なにが原因かは言えないが、言えないくらいがこの社会に生きる大人っぽくて、なんか誇らしい。 最近は引きこもりから脱した今現在の姿を語りすぎのような気もしてきたので原点回帰。 “病み” に暮らした経験を語ることで、“闇” を抱えているひとに寄り添えたらという、この連載の当初の目標。胸に手を当てても当てなくても当たり前のように出てくる答え。 「やっぱり “やみ” で困っている人を助けたい」というの

猫背で小声 season2 | 第5話 | オコるヒト

いつの日かこんなことがあった。 姪っ子2人がまだ幼稚園の頃。 ぼくは精神的に具合が悪かった。 そして気持ちの面で苛立っていた。 そんな中、いつものように姪っ子はウチに来て、ギャーギャーと、まわりを気にせず自分たちの世界で騒ぎ出した。 ぼくは精神的に具合が悪いと、その内容に関わらず人の「声」すら気になり、過敏になってしまう。そんなわけで、騒いでいる姪っ子たちに対し、ぼくは怒鳴ってしまった。 姪っ子たちは酷く驚いていた。 ぼくの名前は「まなぶ」というので、姪っ子から「ぶ

猫背で小声 season2 | 第3話 | 死んじゃだめ。

いつの時代も苦しいことはある。 ひきこもり時代のぼくは毎日なにかに悩んでいて、生きた心地がしない毎日を過ごしていた。希望の持てない中学時代や、みんなが普通に過ごした高校時代も、毎日病んで苦しかった。本来なら「思春期」という病に罹るはずだったが、ぼくはあかりさえ灯らない将来に悩んでいた。 まず「統合失調症」という病気。 薬を飲んで休養する、ということを繰り返していたけれど、ベッドに横になっている時も気持ちが悪く、こんな状態がいつまで続くんだろうと、狭い部屋の中で現実と未来