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ボウタイブラウス

ここ数シーズン、ボウタイブラウスが気になって、何着か買っている。ただ、試着しても買うまでにいたらないものの方がずいぶんと多い。サイズの問題でも色柄の問題でもなく、ボウタイとボタンの関係性の問題で。

基本はブラウスなので、正面中央にボタンがあるのは構造上しかたない。ただし、ボウタイがボタンを自然にきっちり隠してくれるならば。

ボウタイの幅が細すぎたり寸足らずだったりで思うように結べず、ボタンが隠れるどころか却って目立ってしまう、なんて論外だ。見せたくないボタン(しかもなぜか無駄に大きめで白白としている)の存在感を底上げしてどうするんだ、と密かに心中で毒づいている。ボウタイという立派な「留め具」があるにもかかわらず、ボタンという留め具がダメ押しのように加えられている点が気に食わないのかもしれない。そんなにめちゃくちゃ頑丈に留めたいのか、と。

偶然に見つけたオークションの一品に、Yves Saint Laurentのシルク地ボウタイブラウスがあった。1970年代の終盤のものだろう。

模様はタータンチェック風...最も選ばない柄だな(あんまり似合わないのよ)と思いつつ、商品画像に惹かれる自分に気づく。チェックがバイアス方向で軽やかだから?それともシルエットが良いのかな?

運良く競り落とし、商品が到着。さっそく着てみて理由がわかった。
このブラウスにはボタンがないからだ。

深めVネックの被るタイプ(=着脱時にちょっと肩を脱臼しそうになる系)で、ボウタイをどう結ぼうともボタンは現れない。当たり前だ、ボタンが存在しないのだから。

このブラウスには欠点がない。私にとって無駄な要素がひとつもない。柄と色とボウタイの流線とシルクの波打つ軽やかさだけを身に纏える、理想的な衣類である。

さて、問題は下に何を合わせるかだ。あまりに理想的な服を手に入れると、相棒の選択が非常に悩ましい。ペンシルスカートの他は、スムースレザーのワイドパンツか、うっすいシルクの儚いパンツとかかな...

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