何かを作る、表現するということ。
今日、ある仕事の案件で、
パリ7区にあるパティスリーを訪ねた。
そこは、ここ数年で大人気となった店だ。
シェフもパティシエ達も全て日本人だが、
あえて柚子や抹茶などを使わず、
ザ・フランスなケーキのみで勝負している。
以前は知る人ぞ知るパティスリーだったが、
数年前に、人気テレビ番組で
優勝したのがきっかけで
今や長蛇の列ができる人気店。
その番組は、人気パティシエであり
スターシェフでもある
シリル・リニャックが司会をし、
ピエール・エルメや
フィリップ・コンティチーニなど
錚々たるパティシエが審査員なのも
人気の理由だと思う。
与えられたテーマに沿って、
限られた時間の番組中に
ケーキを実際に作り、
パティシエたちが競い合うという
昔の「料理の達人」的な番組だ。
毎週テレビの前で
(正確に言うとテレビがないのでMacの前で)
その日本のパティシエ達のチームワーク、
仕事の正確さや繊細さに
私は釘付けだった。
難題のテーマも次々と突破し、
決勝戦では、審査員達全員が
心打たれる言葉で絶賛した。
涙しながらガッツポーズをしたのは、
きっと、私だけでないと思う。
同じ日本人として、誇らしい瞬間だった。
話は戻るが、今日の打ち合わせで
やはり、あの番組で見た
何かを“作っていく”シェフの真摯さを
あらためて感じて、嬉しくなった。
例えば、ケーキの箱について。
買ったお客様がそれを冷蔵庫に入れる、
その瞬間のこともイメージしているし、
箱を入れる紙袋も、
それを持って歩く時の気持ちまで考えていた。
たしかに、ちょっと贅沢なケーキを買って、
その紙袋が素敵だったら、
さらに気分があがる。
私も、例えば
ポスターをデザインする時、
それが誰かの目に止まったところを
イメージしながら作る。
本の装丁や、パッケージだったら
CDで言う「ジャケ買い」してしまうような
ワクワク感を取り入れたいと思っている。
紙の質感までかなりこだわるシェフは、
ケーキはもちろん、それに付随する
全てのものがブランディングだという。
それは「ウチの店はこうです」と
視覚的に表現し、その結果、
手にしたお客様が満たされる・・・
それは、素敵なエネルギー。
ものを作るって
こういうことかもしれない。
歌ったり、書いたり、話したり・・・。
表現すること全て、生きていることだって
自分をクリエイトしているのだ。
私は、すこぶる美味しいケーキが入った
金色の紙袋を持って、
パリの空を見ながら思った。
こんな人と仕事が出来て、私は幸せだ。
全ての出会いにありがとう!
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