トルコの観光戦略
世界観光ランキングという統計があります。世界観光協会により、世界各国の地域民による海外旅行を対象としています。これを見ると、日本が訪日観光客を伸ばしていることが見て取れますが、それ以上に目立つのがトルコ共和国の躍進です。
濃い青が日本、薄い青がトルコです。
日本は毎年400万人前後の伸び率なのに対し、トルコは毎年700万人前後の伸び率を記録しています。トルコ、すごいですね。何がそこまで魅力的なのか、調べてみました。
2023年に向けたトルコの観光戦略
トルコ共和国は1923年に建国されました。その100周年となる2023年に向けてトルコは観光産業の更なる躍進に向けてその戦略を発表しました。
参考にしたのはこちらの記事です。
①プロモーション活動での持続可能なアプローチ
トルコは業界における観光プロモーションに積極的に参加しています。トルコの文化観光省のプロモーションにかける予算は18年 1,800万ドル、19年 7,200万ドル、20年 1億800万ドルへと年々増加しています。
その背景には国同士で加熱している旅行客の取り合い事情があります。トルコと同様に他国でも観光分野での調査研究に多額のプロモーション予算を投じています。日本でもそれは同じで2020年度の観光庁予算は8.4%増加の771億円にも及びます。
②プロモーションチャンネルの多様化
プロモーション活動(テレビ、屋外、雑誌、編集記事、デジタル、ソーシャルメディア等)の多様化を進めています。観光客の期待に応えるためにターゲットとする市場で調査を行い、この調査に従ってプロモーション戦略を多様化することで、あらゆるチャンネルに進出しています。
また、海外からの観光客だけでなく、国内での観光需要についても改善するべく検討を行っています。現在開拓中の観光地での現地調査や商品開発を集中的に行いつつ、エアーや宿泊施設における供給の安定性を確保して、パッケージツアーの比率を15%から60%に引き上げることを目指しています。
(文字化けしていますが)下のトルコ文化ポータルサイトへの2019年第1四半期アクセス数は、2018年第1四半期に比べて9割も増加したそうです。
つまりトルコは国内の新しい観光スポットを探りつつ、国内の旅行需要も高めようとしています。
③多様なターゲットグループの設定と商品造成
観光客の購買支出を増加させるために、様々なターゲットに対する旅行商品を生み出しています。以下はターゲットとするカテゴリです。
・グルメ
・教育
・スポーツ
・宗教
・3世代旅行(親子3代で旅をすること)
・MICE(会議、招待旅行、大会、展示会)
・フェスティバル、イベント
・クルーズ、ヨット
高い消費額を見込める観光客増加を目的とした新商品を開発するために、グルメツアーのプロモーション、「トルコグルメマップ」を作成してグルメルートを開発、ヘルスツーリズムを改善等、観光客の購買支出を増加させるための措置を講じています。
また、トルコ全土で新しい博物館や美術館を開館したり、ユネスコ世界遺産リストの掲載数増加や、文化的デスティネーションへの新たな自転車旅行ルートを開発し、「自転車に優しいホテル」の数を増加しています。宗教ツーリズムについては、トルコのデジタル宗教マップ&ポータルを導入するそうです。
トルコを訪れる人々が求めるものを適切に提供する環境を整えることで、旅行者は満足してお金を払います。トルコ政府はそれを分かっているからこそ、カテゴリごとに抜かりない戦略を実行しているのでしょう。
④新たなターゲット国
プロモーションの取り組みは、世界の観光産業が加速している新興の太平洋市場に重点を置いています。特に中国、インド、韓国、日本です。
極東と太平洋諸国からの観光客増加を狙い、輸送、収容能力、直行便を整備しています。2018年から2023年にかけてアジア太平洋地域からの観光客数は平均して30%以上の増加を予測しているそうです。
事実、アジアからのトルコ観光客数は順調に伸びています。中国は17年比で59%増の39万人、韓国は32%増の16万人、日本は66%増の8万人です。日本ではまだまだトルコは旅行先として名前が挙がることは少ない印象ですが、これからの5年ほどでそれも変わるかもしれません。サッカー界で、香川真司選手や長友佑都選手がトルコリーグに参戦したという宣伝効果も影響ありそうです。
⑤観光エクスペリエンスの多様性を訴求する動画
したの動画は2015年に公開されたものですが、見るとトルコ政府の本気度が感じられます。20年は西欧市場向け、アジア市場向け、極東市場向けと3つのバージョンがあるそう。こんなの見せられたらトルコ行きたくなってしまうわ〜。
あ、日本もまけてないですよ!
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