見出し画像

3−5:いつ問うべきか

企業が顧客の欲求を満たすためには、企業の事業とは何かについて考えなければいけません。ではいつこの問いかけをすべきなのでしょうか。

結論から言います。常に問い続けてください

◆◆◆

ほとんどのマネジメントが、苦境に陥ったときにしか「われわれの事業は何か」を問わない。

たいていの企業は、自社の事業を見直すタイミングが遅すぎます。業績に思い悩んだ時になってようやく重い腰を上げて考え始めるのです。

ドラッカー先生はこの姿勢を痛烈に非難します。

しかし苦境に立つまで待っていたのでは、ロシア式ルーレットに身をまかせるも同然である。それは、マネジメントとしてあまりに無責任である。

苦境に立たされて考え始めるのは、ロシア式ルーレットに身を任せるようなもの、つまり運に任せるようなものですね。そもそも夏休みの宿題が終わらない学生のような心構えではいけないのです。

この問いは常に行わなければならない。「われわれの事業は何か」を真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである。

常に自社の事業を見直し続けなければいけません。
特に、成功して余裕が生まれた時こそ取り組むべきなのです。

成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。新しい現実をつくりだす。新しい問題をつくりだす。「そうして幸せに暮らしました」で終わるのは、おとぎ話だけである。

何かに成功することは、その成功を当たり前のものにしてしまうのです。
例えば、「いきなりステーキ」です。

「いきなりステーキ」は2013年に銀座店をオープンしてから、破竹の勢いで急拡大していきました。全国200店舗に店を広げ、アメリカにも進出。まさに時代の潮流に乗ったという感じです。しかし、2019年秋頃から状況は一変します。アメリカでの事業撤退を皮切りに国内の店舗を次々と閉鎖していきました。なぜか。

理由の一つはライバル店の出現です。

沖縄発祥の「やっぱりステーキ」、一人焼肉の「焼肉ライク」などなど。顧客からすればどこの焼肉でも良いわけです。さらにこれらのライバル店は「いきなりステーキ」より安くステーキ肉を提供しています。そうなるといよいよ顧客は「いきなりステーキ」に行く意味がなくなります。

一つ何かに成功したからといって、その状況がずっと続くことはありえません。
そんなものはおとぎ話だけです。現実はもっと厳しい。

もちろん、成功しつつある企業のマネジメントにとって、「われわれの事業は何か」を問うことは容易ではない。誰もがそのような問いの答えは明白であり、議論の余地はないとする。成功にけちをつけることを好まないし、ボートを揺することも好まない。

誰だって、自分が成功しているときには、問題が起こるなんて予想だにしませんよね。成功者ほど楽観的に未来を捉えてしまうのですね。

◆◆◆

自分の事業は何であるかを常に問い続けること。マネジメントを一度始めてしまった人は、その問いから逃れることはできないのですね。

サポート頂いた方にはコメントを返させていただきます。サポート頂けますと幸いです✌️