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起業家が影響を受けたドラッカーの言葉①

テレビ東京の「モーニングサテライト」の人気コーナー「リーダーの栞」。日本の社長から一冊の本を紹介してもらう企画です。この企画で過去に10回以上も選ばれてきた著者がいます。それは現代経営学の父と呼ばれるP.F.ドラッカーです。

ドラッカーはユニクロの柳井社長、経営者コンサルタントの大前研一さんの愛読書として知られています。ドラッカーの書籍には、現代企業経営の本質的な部分が書かれています。世の中にあるビジネス書の源流と呼べる本を生み出したのもドラッカーです。でも世の中の起業家はドラッカーのどこに心を打たれていたのでしょうか。

①三越伊勢丹HD 大西元社長

・きっかけ
マレーシアのクアラルンプールの経営を担当する35歳の時に出会ったのが、ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」です。

・ドラッカーの教え
イノベーションといえば技術革新というイメージがあるが、本当は社会的な革新や新しい経済価値を見出すということが大切である。イノベーションを産むものの原点には顧客が存在している。顧客が何を考えて、何を望んで、潜在的に何を思っているのかを知ることがスタートである。

・マネジメントの実践
伊勢丹新宿本店をリニューアルして伊勢丹メンズ館を生み出しました。客のニーズを調べるために改装計画の事前時間の7割を費やし、顧客がリラックスして買い物を楽しめる環境を構築しています。現在は苦戦しているようですが、当時は商品数を減らしたにも関わらず、前年比10%の売り上げを記録しました。

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・まとめ
言葉では理解できていても実行するのが難しいのが徹底的な顧客目線です。だからこそ経営者の永遠の課題であり、時間をかけてしっかり考える必要があります。

②楽天証券 楠社長

・きっかけ
20代後半からドラッカーについて書籍を読むようになる。特に「イノベーションと企業家精神」の中にある「産業と市場の構造変化はイノベーションの機会である」という言葉が楽天証券立ち上げに大きく影響している。

・ドラッカーの教え
楽天証券立ち上げは1999年。まさにインターネットの普及と株式売買委託手数料の自由化が進んでいた時代です。その中で取引チャネルも対面からネットにシフトし、手数料競争が起こりました。起業家競争により、証券会社のコストや収益構造が変化するようになりました。すなわち産業構造の変化です。

・マネジメントの実践
楽天証券は自社を立ち上げするにあたり、「どういうサービスやどういう会社を作れば良いのかということをゼロベースで考えた。そして産業構造の変化は今でも意識している。NISAなど新制度が導入された時にも長期の資産形成をしたい顧客のニーズを満たそうとした。楽天証券に社長室はない。楠社長が会社の雰囲気から世の中の変化を感じとるためである。

・まとめ
従来の価値観に囚われた発想から脱却して新しい発想が必要である。一度大きな成功体験を収めた企業が弱いのはこのためであるように思う。

③ソースネクスト 松田社長

・きっかけ
明石家さんまさんを起用した「ポケトーク」でお馴染みのソースネクスト。1996年の創業移行、ヒット商品を次々に生み出すことで上場にも成功します。しかし2008年のリーマンショックで売り上げが低迷していました。その時期に松田社長が手に取ったのがドラッカーの「マネジメント」です。

・ドラッカーの教え
松田社長は「利益とは、マーケティングとイノベーションから生まれる」という言葉に感銘を受けました。技術力は差別化にならない。技術力よりもアイデアが重要であると気づきました。

・マネジメントの実践
会社内にMI(マーケティングとイノベーション)制度を設けました。日々思いついたアイデアを社長宛にメールで連絡するようにして、社員一人ひとりのアイデア力を高めることを実践しました。そうして採用されたのが「ポケトークにオリジナルデザインを刻印できる」というアイデアです。

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・まとめ
技術力には競合がいくらでもいる。だから大切なのはその技術をどう活用するのかというアイデア。同じ素材でも調理方法によってどんな料理にもなります。

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