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サブスク型ビジネスモデルで大切な「CAC」

経営を行う上で大事なことを知ることが増えてきました。自分の頭を整理するためにも、noteに書いていこうと思います。

サブスク型のビジネスモデルで大切な「CAC」とは?

ここ最近、ユーザーの月額課金によって成り立つビジネスが増えてきました。アマゾンプライムとかNetflixなどがそうです。ユーザーは会員登録をして、毎月課金をしてコンテンツを楽しみます。こういったサブスク型ビジネスモデルにとって大事な考え方の1つに「CAC」という指標があります。

CACとは、Customer Acquisition Costの略。顧客1人を獲得するためにいくら費用がかかったのかを表すものです。

これだけではなかなかわかりづらいと思うので例を挙げます。ある会社が顧客1人を獲得するために以下のような施策を打ったとします。そしてその結果、1,000人の新規ユーザー登録を獲得できたとします。

【顧客獲得施策】
・Google広告:100万円
・テレビCM:400万円
・営業活動:500万円
→合計:1,000万円

【結果】
・新規ユーザー:1,000人

つまり、1,000万円をかけて1,000人の新規ユーザーを獲得できたということになります。この場合、新規ユーザーを1人獲得するためのコストは1万円となります。この1万円というのがCACになります。

CAC=顧客獲得コスト ÷ 顧客数

サブスク型のサービスを提供している企業は、このCACをすごく意識しています。

CACの適正な値はどうやって知るの?

CACは、顧客1人を獲得するためにいくら費用がかかったのかを表すものだと説明しました。でも、無尽蔵にCACが高くなってはいけません。リターンを計算しないままにマーケティング施策に走ってしまうと、収益が追いつかなくなってしまうからです。

では、このCACはどれぐらいの金額が適切なのでしょうか?

CACの適正値を考える上で大切なのは「LTV」です。

LTVとは、Life Time Valueの略、1人あたりの顧客生涯価値のことです。簡単に言えば、1人の顧客が生涯でどれぐらいのお金を投じてくれるかということです。LTVはいろんな計算式で考えることができます。ただちょっとややこしくなるので、今回は以下のような計算式で計算します。

【LTVの計算式】
LTV=月間顧客単価×平均継続月数

たとえば、1ヶ月あたりの平均単価が2000円のサービスを平均24ヶ月継続したとします。この場合のLTVは48,000円となります。

【LTVの計算式】
LTV=2,000円(平均継続月数)×24ヶ月(月間顧客単価)

LTVの説明がしたところで話をCACに戻します。
そもそも、なぜCACを考える上でLTVが大切なのか?

結論から言うと、一般的に「LTVがCACの3倍以上」であることが望ましいとされているからです。

例えば、「LTV:48,000円」に対して、「CAC:10,000円」だったとします。この場合、CACの3倍は3万円で、LTVより低いので、その事業は安全であるとなります。しかし、「LTV:48,000円」に対して、「CAC:20,000円」だったとしましょう。すると、CACの3倍は6万円となり、LTVを超えてしまいます。そうなると、投資に見合うだけの利益が手に入っていないという判断になります。

【LTVはCACの3倍以上】
・「LTV:48,000円」に対して「CAC:10,000円」
→CACの3倍は「30,000円」、「48,000円」以下なのでOK
・「LTV:48,000円」に対して「CAC:20,000円」
→CACの3倍は「60,000円」、「48,000円」以上なので危険

もちろん、この3倍というのは目安なのでときには無視しても構いません。しかしながら、CACがLTVを超えてしまう場合はかなり危険です。

例えば、CACが5万円でLTVが4万8千円の場合、1人が支払ってくれるお金よりも1人を獲得することに費やすお金の方が高いことを意味します。つまり、新しいユーザーを獲得すればするほど赤字になっていることと同義です。

現状のCACを知ることで大胆なアクションを選択できる!

冒頭で、サブスク企業はCACを重視していると説明しました。CACが企業の安定性を図る上で重要であることはもちろんですが、それ以外にも理由があります。それは、CACを知ることで大胆なアクションを選択できる!ということです。

例えば、とあるサブスク型企業がより多くのユーザーを獲得したいと考えていたとします。当然、担当者はいろんな施策を見て最も効果が現れる施策を選択しようとします。「100万円で100人の新規獲得が見込めるならこの施策はあり」といった具合です。

これはこれで正しく論理的な判断です。
しかし、そこには1つ大きな問題があります。

それは、目の前の費用対効果では、大胆な施策を打つことがという点です。

例えば、テレビCMに1,000万円の費用がかかり、見込める新規ユーザーは200人だったとします。すると、1人あたりの獲得単価は5万円になります。「1人あたり獲得単価1万円の施策」と比較してテレビCMが採用されることはありません。だけどその会社の状況では、テレビCMを打つことによる認知度向上と権威獲得の方が重要だったかもしれません。

目先の利益だけを考えるとコスパの良い施策を選択してしまいがちなんです。しかし、「CAC」を知ることで、大胆な施策を実行することができます

先ほど「LTVがCACの3倍以上」であることが望ましいという話をしました。言い換えると、CACの3倍がLTVを超えなければ良いとも言えます

例えば、「LTV:48,000円」に対して「CAC:10,000円」の企業があったとします。CACの3倍は「30,000円」なので、「48,000円」になるまでに「18,000円(CAC:6,000円)」の乖離があります。つまり、1人あたりの獲得単価を「現状:10,000円」から「16,000円」まで伸ばしても問題ないという判断ができます。

仮に、テレビCMに1,000万円かけることによって、獲得単価が14,000円に上がってしまったします。それでも、会社としては健全であるという判断につながるのです。

いかがでしょうか。数字がたくさん並んで難しいですが、CACの大事さが伝わっていれば幸いです。

最後に、特に大事なポイントだけまとめます!

長々と書いてしまいましたが、重要なポイントは3つです。

①現状のCAC(1人あたりの顧客獲得単価)を知る
②現状のLTV(顧客生涯価値)を知る
③「LTVの3分の1」と「CAC」の乖離を知る

この3つが分かれば、自分の会社の営業施策を論理的に分析できます。

論理的に分析することで、目の前の売上を上げるだけの施策だけでなく、もっと大きな施策に舵を取ることだってできるのです。この理論、いきなり理解するのは難しいですが、もしサブスク型サービスを提供する企業に勤めるなら知っておいた方が良いかもです。少なくとも僕はこの理論を知ったことで、視野が一気に広くなりました。



ほい、今日はめちゃくちゃ久しぶりに3000文字近く書いてしまいました。たまにはこんな真面目なnoteも気持ち良いですな。何かのお役に立てば幸いです。

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