今、企業は「地球」への貢献が求められる
昨日の記事では、1960年代初頭までの「社会的責任の意味」について紹介させていただきました。詳細はコチラに書いているのため、簡単に説明しますが、当時の企業は以下3つのことができれば社会的責任を果たしていると認められていました。
①倫理的に正しい行いをすること
②従業員の権利を正しく守ること
③地域社会に貢献すること
この3つさえできれば社会的責任を果たしていたのです。
しかし、1960年代以降〜現代にかけて事情は変わりました。企業に求められる社会的責任はよりシビアになります。倫理を守ることは当たり前、従業員の権利を守らないと罰せられ、地域社会よりももっと広く、国境を超えて地球に貢献することが求められるようになりました。
▼SDGsが示す現代企業が果たすべき社会的責任
「SDGs」という言葉があります。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」を意味しています。こう書くと一見難しそうですが、内容はとてもシンプル。貧困をなくそう、飢餓を0にしよう、全ての人に健康と福祉を・・・など要するに、地球とそこに生きる人々がもっと幸せになる未来のために行動しようと言っているのです。
▼SDGsに参加表明する企業
外務省のHPを見ると参加企業が一覧になって確認することができます。それを見ると企業の活動事例も併せて確認することができます。(企業ごとに表現方法が大きく異なっており、企業の個性がよく出ています。)
例えば、アート引越しセンターは、ゴミの出ない引越をめざしています。紙資源を使わないエコ楽ボックスシリーズを開発したり、ダンボールの再利用を進めています。パナソニックは貧困や飢えに苦しむ人に向けて、ソーラーランタンを10万代寄付するプロジェクトを行なっています。それぞれの企業がそれぞれの強みを活かして様々な取り組みをしています。
吉本興業では、こんな一風変わった動画も・・・。
SDGsに取り組んでいる企業の活動を見ると、今の企業が社会的責任を果たそうと具体的に行動しているのが伺えます。普段テレビのニュース番組や新聞ではあまり大きく報じられないことが少し残念だったりします。
▼社会的責任を果たすもの全てが良い訳ではない
社会的責任を果たすと言っても全てがうまくいくとは限りません。社会的責任の意味を正しく認識して行動しなければ失敗することもあります。
1960年代末、スウェーデンでは「アフリカの大規模電力プロジェクト」が動き出しました。目的は、アフリカ極貧地域の生活水準向上です。このプロジェクトには多くの後押しがありました。国連の支援、世界の融資、スウェーデン社会党政権の保証など、まさに世界の後押しを受けてプロジェクトは発足されました。そしてスウェーデンの電機メーカーASEA社を始めとするいくつかの大企業もまた、プロジェクトへの参加を表明しました。
「アフリカの貧困のために行動する」
まさに社会的責任を果たすお手本のようなプロジェクトです。しかしながら、参加した企業は痛烈な批判を受けることとなりました。
なぜか?
批判の原因は参加企業と民意の認識のズレです。
参加企業は重大な事実を無視していました。該当地域がポルトガルに植民地支配されていたという事実です。仮にプロジェクトが上手くいき、生活水準が向上したとしても、それは植民地支配を支援していることにつながります。それではいくら良いプロジェクトだからと言って社会的責任を果たしているとはなりません。
社会的責任について、正しい認識をしなくてはいけない。環境に配慮することが企業が果たすべき役割なのか?そこには何も悪影響はないのか?しっかり見極めてこそ企業は存在を許されるのです。
▼補足 ネットの無料情報から価値ある情報を探すことは難しい
今回、社会的責任を果たすことに失敗した事例として「アフリカ大規模電力プロジェクト」を紹介させていただきました。
これをネットで調べようとしたのですが、全くヒットしない。
ASEA社についても同様です。Wikipediaで調べても出てくる情報は「スウェーデンの企業、電気メーカー」ぐらい。そこで英語で検索して色々と調べてみました。う〜ん、それでもプロジェクトに関する話題は出てこない・・・。仕方なく、「マネジメント」に書かれている内容を分かりやすく整理しました。
世の中にはネットの情報があれば十分という人がいますが、全然そんなことないと思います。本当に価値ある情報は無料公開されている情報には見つからなかったりします。本物の情報が欲しいなら、書籍、有料コンテンツにこそ隠れているのだと常々思います。
ちなみに、大学のレポートをネット情報だけまとめて提出する人が多いですが、それでは絶対にバレます。だってネットの無料情報なんてほとんどどれも一緒ですから。
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