「一人っ子の国」から政治と広告の恐怖を考察してみる
先日たまたま観た「一人っ子の国」から、人がいかに洗脳されやすいのかと思い知らされたので、書き留めておこうと思います。
「一人っ子の国」とは、中国の一人っ子政策を取り上げたドキュメンタリーです。一人っ子政策の中で生まれた少女が故郷の人々に対して、この政策について聞いてまわります。当時の様子をまとめると以下の通りです。
・反対したものは家が取り壊された。
・妊娠した女性の家に押し入って無理矢理中絶させた。女性は泣き叫んでいた。
・働ける男が好まれた。女が生まれたら、隠して捨てられた。
・ゴミ捨て場には医療廃棄物と書かれた袋に赤ちゃんが入れられて、捨てられていた。
・捨てられた赤ちゃんを養子として売り出すビジネスがあった。
・一人っ子政策を推進する広告が国中で盛んだった。女性は彼女自身の意思と関係なく踊らされた。
・田舎では例外的に2人育てることも認められたが、兄弟がいる子供は兄弟がいても隠していた。
・少年と親が写る家族写真はあるが、少女と親の家族写真はない。
うん、結構えぐいですよね。ドキュメンタリーでは、ゴミ捨て場に赤ん坊がいる写真や、当時のプロパガンダの様子を見ることができ、当時の様子をひしひしと感じることができます。
そして、観ていると途中から、心がモヤモヤする、気分の悪さを感じました。なんでだろう、後になってその気分の悪さの原因が分かりました。それは…
国民がこの政策に対して批判を全くせず、〝仕方がなかった〟と諦めに近い表情で語っているからです。
登場する人皆、諦め口調で当時の様子を語ります。被害を受けたはずのご老人も嫌々中絶手術をした女性も、この政策は受け入れるしかなかったと語ります。
でも、本来は国に対して怒るべきなのです。
一人っ子政策は国策の失敗が原因です。
①1958年から始まった「大躍進」(積極的に経済成長を図る政策)の失敗
②誤った生産報告による過剰な食糧の取り立て
③中ソ対立に伴うソ連の全面撤退に対する債務返済のための無理な農産物輸送
これら3つの悪循環が重なったことが原因です。明らかな人災なのです。
でも、国民はそんなこと知る筈もありません。
他国から責められこと、自然災害があったこと、などが原因であり、国はそのために尽力してくれている。
そう思い込んでいるんです。
取材をする30代の女性は一人っ子政策の渦中に中国で生まれ、他国で暮らした経験から言います。
「当時は国のおかげで窮地を脱することができた。国を信頼していた。しかし今はその感情が自分のものであったのか、それとも作られたのか分からない。」
様々な情報源から様々な情報を得ることができれば、人は考えて判断ができます。でも、情報源が1つであれば、人はそれを信じることしかできません。
一人っ子政策は中国の偉大な政策として、中国人の脳裏に焼き付いています。失策の大躍進も同様です。
でも、これって中国人だけではないよね。
第二次世界大戦で日本が窮地の時に、日本人は勝利は目前だと信じていました。ドイツでユダヤ人虐殺が行なわれていても、国民はヒトラーを支持していました。
自分で考えている思想は自分以外の何かによって少なからず影響を受けています。もしかしたらそれは何かの目的のために、作られたものかもしれません。
アメリカの自己啓発作家アールナイチンゲールはこんな言葉を残しています。
「大衆は、常に間違っている」
もしドキュメンタリーを観たいからがいれば、下から飛べると思います!
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