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企業が成功例から学ばない理由


成功例に学ぶ企業は成功に近づく

これはあらゆる企業に共通する事実です。でも多くの企業は成功例から学ぼうとしません。業績に伸び悩み、組織に所属する人を上手くコントロールできず、最終的には倒産してしまうことも少なくありません。でも、それならなぜ?

成功例から学ぼうとしないのでしょうか?

このnoteでは、企業が成功例を学ばない原因を明らかにします。

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▼企業が誤解している2つのこと

企業は大きく2つの誤解をしています。

それぞれ詳しく見ていきますね。


・誤解① 「権限」はあっても「権力」はない

そもそもですが、「権限」と「権力」の意味はどう違うのでしょうか。

一言で言えば、
「権限」が個人の権利のことを示すのに対して、
「権力」は人の行動を強制する力のことを言います。

多くの企業が誤解しているのですが、マネジメントはそもそも「権力」を持ちません。つまりマネジメントは人の行動を強制する力を持たないんです。冷静に考えれば分かることですが、マネジメントがとある仕事を人に強制しても、人はそこから抜け出すことができますし、嫌なら断ることもできます。人はマネジメントに強制労働させられているわけではないんです。個人とマネジメントは対等な契約関係でしかないんです。

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・誤解② 労働者は「権限」を求めていない

強い企業は一人一人が責任を持って主体的に取り組む組織です。だから、良い企業は個人に対してどんどん責任を与えようとします。

しかし悪い企業は(より多くの報酬と役割が手に入る)責任をトップが独占しようとします。そんな悪い企業の中でも、働きがいを感じる労働者はより大きな責任と役割を企業に対して求めます。でもね、悪い企業はこれを勘違いしてしまいます。

労働者「企業さん、もっと「責任」と役割をくださいな」
企業「あ、こいつ俺の「責任=権限(権力)」を奪いにきたな!俺に「責任=権限(権力)」を放棄しろと言うのか?」

悪い企業の上層部は「責任=権限(権力)」だと勘違いしています。だから「責任」を奪われると自分の立場がなくなるのではないかと警戒してしまうのです。そもそも企業に権力なんてないのに、本当は個人個人に対してどんどん責任移譲しないといけないのに、それができないんです。

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▼2つの誤解を解いて分権化すれば、企業は強くなる

上記2つの誤解を解消すれば企業は強くなります。

自分たちには「権限」しかない、「権力」を持って労働者を縛ることもできない、労働者にはどんどん責任を与えるべき、だと正しく認識できたなら、企業は分権化を推し進めます。そして分権化はトップマネジメントを強くします。

日本企業もツァイス社も、働く者に主体的に成果を上げさせることによって、マネジメントの権限を強化できることを知っていました。なぜならマネジメントは、部下に成果を上げさせることで、自らの仕事に専念できるからです。マネジメントの仕事ではない活動、マネジメントでは貧弱な成果しか上げられない活動、時間ばかり取られる活動から解放されるんです。

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▼分権化に対する企業の恐れ

分権化することでトップマネジメントは強くなりますが、企業は分権化を恐れています。理由を説明します。

分権化によって労働者は責任を持って仕事を取り組みます。そして、成果を出せば出すほど、上層部の行動や役割に対して疑問を持つようになります。そして、彼は企業に対して要求を行うようになります。「トップは自分よりもより多くの報酬をもらっているんだから、それにふさわしい働きをしてほしい」と、企業はこれを恐れています。だから、企業は分権化を推し進めようとしないんです。例えそれが企業の成長にとってはマイナスだと分かっていたとしても。

これ私も思い当たることがあります。
社会人4年目ともなると先輩がどれくらいの仕事をこなしているのかが何となくわかってきます。そうすると、「どうしてこんな仕事にここまで時間がかかるんだ」「何でこんなところにこだわるんだ」と粗探しをするような感情が湧いてくることがあるんですね。それはまさに自分より多くの給料をもらっているからこそ生まれる要求というわけです。国会議員に対して、高い給料もらっているんだからちゃんと仕事しろよーと思う気持ちに近いですね。

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▼まとめます

成功例に学ぼうとしない組織は2つの誤解をしています。
①「権限」と「権力」を混同しているという誤解
②責任を求める労働者は「権限」を求めているという誤解

この2つの誤解を解くことで、企業は分権化を行うことができます。分権化を行い、一人一人に責任移譲することで、企業は全体として強くなります。

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▼補足 マネジメントは人の強みを発揮するためのもの

マネジメントは人の強みを発揮するためのものです。だからこそ分権化によって人に責任を与えて成果を上げてもらわないといけない。

ドラッカーはこう言います。

 人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。
 しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

あなたの組織ではどうでしょうか。
あなたは強みは組織の中で発揮できていますでしょうか。

仕事ができなくて怒られたり、叱られたりするために雇われているわけではありません。もしもそんなことがまかり通っているなら、それはあなたのせいではなく、組織が間違っています。組織の目的は人の強みを理解して、それを生産に結びつけることだからです。人の弱みを責める組織は明確に間違っています。

そもそも人は誰しも弱みを持っています。私なんか顕著です。記憶力は悪いし、適当に物事を判断してしまうし、失敗すると落ち込むし、他人の意見に合わせて自分の意見を抑えてしまうし、弱みなんていくらでもあります。

でも人が仕事をするのは自分の強みを発揮するためです。
私が仕事をするのは私の強みを発揮するためです。

そして組織はそのために存在しています。


弱みなんて気にしてたらどんな仕事もできない。
考えるべきは弱みを受け入れてどう対処するのか、そして強みをどう活かすのか。ただそれだけです。組織は本来そのためにあります。

どうかそのことを忘れないでください。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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