6年前の中国3大問題の「今」を考える

2014年3月、「中国三大問題」と題して、中国の3つの問題を取り上げた番組がありました。その3つの問題とは、①猛毒食品 ②PM2.5   ③就職氷河期の3つです。これの問題の「今」について、考えてみます。

まずは当時の問題についてまとめてみます。

6年前の中国に起こった3つの問題とは

1:猛毒食品「漂白もやし」
中華料理に欠かせない「もやし」に発ガン性物質が見つかったことが問題視されていました。芽がなくて白いもやしが好む中国人のため、漂白剤でもやしの色素をとり、芽をなくす薬品を入れて見た目が綺麗なもやしを作って売っていました。しかし、それはガンにも通ずる猛毒のもやしとなっていました。

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2:大気汚染PM2.5
数年前まで日本でも多数報じられていたPM2.5問題。当時、河北省を訪れるとPM2.5の値は日本の10数倍を超えており、呼吸器系の病気を患う子供達が急増していました。政府もこの状況を問題視して対策を立てると公表しましたが、現在はどうなっているのでしょうか。

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3:就職氷河期問題
6年前の中国は長く続いた経済成長が鈍化しており、史上空前の就職難の時代となっていました。一人っ子政策で手厚く育てられた子供達は親孝行をするために有名企業を受けるが結果が伴いません。そんな事情もあり、企業受けの良い見た目を手にするために整形する若者が増加したり、就職希望者と有名企業の人事担当者が面接を行うテレビ番組が人気になったりしていました。また、経済的な理由から地下暮らしをする若者が急増して「モグラ族」と呼ばれていました。

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これらの問題が浮上していた2013年から約6年経過した今、これらの問題はどうなっているのでしょうか。

1:猛毒食品「漂白もやし」

2013年6月、中国公安部は「6300箇所以上の闇工場・作業場を撲滅。4500件以上の事件を解決した。」と発表しました。その中には、偽羊肉、病死肉、毒唐辛子、劣悪粉ミルクなどが含まれています。問題は減少傾向にあるようです。また、中国人自身が食品の安全性に強く意識を持つようになりました。一時期日本の粉ミルクが中国で人気が出たのもその一端です。良くも悪くも食品の安全を証明することが中国で食品を売るための1つのキーワードになっているようです。

日本へ輸出している食品はどうなのでしょうか?

厚生労働省が毎年発表している「輸入食品の届出・検査・違反状況」を見てみましょう。これは日本が諸外国から食品を輸入する際にその食品に問題が起こった確率を統計的にまとめたものです。

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輸入相手国1の中国の違反率は0.25%です。100回検査をして0.25回の違反率であり、フランスや韓国と並んで比較的低い水準にあることが分かります。日本に入ってくる中国食品については大きな問題はなさそうなことが分かります。

この問題は終わりつつあるようです。

2:大気汚染「PM2.5」

中国政府は2014年以降、汚染物質を排出する工場の閉鎖や移転、石炭利用の削減など、大気汚染対策を強化しています。IQAir(スイス拠点)によると、中国の首都北京市は今年、世界で最も大気汚染が深刻な200都市のリストから外れる見通しです。

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上図は国際環境経済研究所が発表している図です。中国のPM2.5は右肩下がりに減少しつつあると言えるでしょう。その結果日本での影響も少なくなりつつあるようです。

ただし、どうしてここまで大気汚染問題が減ったのか考えなければいけません。
キーワードは“原発”です。

2019年、日本原子力産業協会が発表している「世界の原子力発電開発の動向」で「中国が運転中の原発数で初めて世界3位になったと報じられました。つまり、中国は大気汚染問題を解決するために、原発の稼働数を拡大しているのです。

さらに言えば、中国は世界に向けて安価な原発を輸出するビジネスを行っています。実は世界で建設中の原発の4割を占めているのが中国です。2050年には原発への依存度を2%から25%まで拡大しようとする計画も立てています。

中国の大気汚染問題の解決は別の問題に移り変わっているように思えてきます。

3:就職氷河期問題

2019年7月、中国国家統計局が15日に発表した統計によると、今年上半期、中国の就業者数は年間計画の67%に当たる737万人増えました。

実際に統計グラフの推移を見て確認しようと思います。下のグラフは中国の失業率の推移を示したグラフです。青が中国、黒が日本です。

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これをみると、中国の失業率は2016年ごろから大きく弧を描くように低くなっていることが分かります。今、中国失業率とGoogle検索すると、ネガティヴな情報ばかりヒットしますが、こうした統計を持って考えると、中国の失業率問題は改善されつつあることが分かります。

ただし、忘れてはいけないのが中国経済の現状はどうなのかということ。GDP年間成長率を見ていく。先ほどと同様に青は中国、黒が日本です。

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青はゆっくりと着実に下降していることが分かります。中国の経済停滞が話題になっていた2013年ごろから統計にも表れているようです。


以上、6年前の中国の話題について、今どうなのか調べてみました。過去の話題には意識しないとアクセスできません。たまには昔のニュースの「今」を振り返ってみて、当時の未来予測と答え合わせするのもいいかもしれません。

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