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3−6:われわれの事業は何になるか

「われわれの事業は何か」を常に問い続けることが重要であるというが、未来を見越してどう考えれば良いのでしょうか。ドラッカー先生は3つのポイントを与えてくれています。

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「われわれの事業は何か」との問いに対する答えのうち大きな成功をもたらしたものさえ、やがて陳腐化する。

世の中は常に変化し続けています。
そんな中で、企業だけが同じスタンスでいては、やがて取り残されてしまいます。生き残る企業こそ時代に先んじて変革しようします。

例えば、トヨタは2018年1月にこんなビジョンを打ち出しました。

「私はトヨタを、クルマ会社を超え、人々の様々な移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革することを決意しました。私たちができること、その可能性は無限だと考えています」

「トヨタ=車の会社」から「トヨタ=移動を助ける会社」への変化です。

企業に関わる定義のうち、五十年どころか三十年でさえ有効なものはない。せいぜい十年が限度である。

長くても10年ごとの変革が必要です。
もしあなたの勤める会社が10年間以上も何も変わろうとしていなければ、時代の流れからズレている危険があります。

したがってマネジメントたるものは、「われわれの事業は何か」を問うとき、「われわれの事業は何になるか。われわれの事業のもつ性格、使命、目的に影響を与えるおそれのある環境の変化は認められるか」「それらの予測を、事業についてのわれわれの定義、すなわち事業の目的、戦略、仕事のなかに、現時点でいかに組み込むか」を考えなければならない。

「われわれの事業は何か」を問うときには2つのポイントがあります。
①環境がどのように変化しているのか?
②変化に対して現時点でどのような対策が考えられるか?

要するに、外部環境の変化を捉えなくてはいけません。

トヨタの場合だと以下のイメージです。
①車の自動運転化、若者の車離れに伴って、自分の車を持つ人は益々減少する変化が予想できる。
②この変化に対して、現時点でトヨタ自身が「車」ではなく、「移動」をサポートする会社になるという対策を立てる。

この場合も、市場が出発点となる。

もちろん、このときも市場に注目する必要があります。市場がどう変わっているのかということですね。

ドラッカー先生は3つのポイントを挙げています。

①市場動向のうち、もっとも重要なのが人口構造の変化である。

人口構造は予測可能な指標です。

日本の人口は減少していく、インドやインドネシアの人口は増加していく、これらは紛れもない事実です。事実だからこそどんな企業でもしっかりと対策を講じることができます。

実際、中国の経済成長に伴って多くの日本企業が中国進出を果たしたり、イスラム教徒の増加に伴ってハラルフードに対応した食品が数多く開発されました。

②経済構造、流行と意識、競争状況の変化によってもたらされる市場構造の変化も重要である。

市場構造は常に変化しています。

例えば、経済が落ち込みデフレ状態になれば、人は外食を控えたり、高級品から離れますよね。少しでも安いものという意識が働けば、外食チェーン市場は価格競争にさらされてしまいます。

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また、世界の旅行先として日本がブームになりましたよね。その状況では、外国人ウケするものがより好まれたりするものです。

市場構造の変化に気を配ることで、顧客の嗜好も見えてくるのです。

③最後に、消費者の欲求のうち、「今日の財やサービスで満たされていない欲求は何か」を問わなければならない。

今、顧客が満たされていない欲求は何か問うことが重要です。

タピオカドリンクはブームだが、顧客は現状に満足しているのか?
回転寿司は安くて美味しいが一皿100円の商品に満足しているのか?

現状の不満に気づき、その問いに対して正しく答える能力を持つことが必要です。これが波に乗れる企業と波と共の消えゆく企業との差になります。

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市場は常に変化する。その変化の中でも特に注目すべきポイントは3つあります。

①人口構造はどう変化するのか?
②市場構造はどう変化するのか?
③満たされていない顧客の欲求は何か?

漠然と考えるよりも注目すべきポイントを押さえておくと、より考えやすくなります。





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