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企業から届く郵便物で自分がどんな顧客かが分かる

みなさんの家にも企業からチラシやDM届きますよね。実はそんな郵便物から、自分が企業からどう思われているのか推察することができます。私は印刷会社に3年勤めていることもあり、普通の人よりも企業が作成する印刷物には詳しいです。業界問わず色んなDMを見たり、1からDMを作ることもあります。

この記事では、そんな多くの印刷物を見てきた経験から、印刷物から読み取れる企業戦略の裏側を語りたいと思います。

これを読んでから家に届く印刷物を見てみると送り手の戦略がわかるかもしれません…


まずは、二つの印刷物を見比べてみて下さい。

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上が大衆向けのチラシ、下が富裕層向けの招待状です。ちょっと極端な例ですが、同じアパレルブランドでも企業戦略がよく現れていると思います。

大衆向けチラシは、いわゆるユニクロのチラシです。所狭しと商品が並んでおり、ごちゃごちゃ感があります。値段を前面に押し出して商品が隠れるほどです。より多くの商品数と安い価格をアピールをすることで少しでも多くの関心を集めたいのであろうことが予想されます。また、紙がペラペラで恐らくコート紙40キロほど(紙の薄さを表す指標)を使っています。当然ですが紙は厚ければ丈夫に、薄ければ破れやすくなります。このチラシは薄くて破れやすいため、顧客に一定期間見てもらう消費的な広告をしていることがわかります。

一方の富裕層向けチラシは某ハイブランドの招待状です。見ての通り余白がほとんどで、文字も筆記体の英語で書いてあるだけです。自社製品をアピールしてもいません。商品をアピールせずに何を売っているのか?答えはブランドイメージです。彼らがあるブランドの品質や良さは店に訪れて初めて実感できるものです。だから、彼らの目的は店に来てもらうこと。そのための招待状なのです。招待状なので厚い紙を使って、顧客に保管させたくなるようなものにしています。


別の印刷物を比べてみましょう。

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同じ住宅メーカー向けのチラシです。上が富裕層向け、下が大衆向けです。こちらもまた、文字量がまるで異なります。富裕層向けは見たものが興味を引くように感覚的な紹介をしています。一方で、大衆向けは説明的に多くの文字が書かれています。

アパレルと住宅メーカーの印刷物を見てきましたがどうしてこうも異なるのでしょうか。それは、顧客が求めるものが異なるからです。

大衆向けチラシがターゲットとする顧客が求めるものは、金額、機能、コスパの良さです。だから商品の説明をより多くして彼らにその価値を理解をしてもらわなければなりません。必然的に文字量が増えてしまいます。

富裕層向けチラシがターゲットとする顧客が求めるのは、ステータス、価値です。その家に住むこと、その服を着ること、価格はもちろん重要ですが、それよりもどんな価値を提供してくれるのかが彼らにとっては重要です。

事業は顧客から想像される。

ドラッカーの言葉です。世の中のあらゆるサービスは顧客が求めるものを満たすために生まれてきました。チラシもまた顧客が求めるものでなければならない。顧客が価格・機能・コスパを求めるならそれを全面に打ち出したチラシをつくります。しかし、顧客がブランド価値やステータスを求めるなら、それが伝わるセンスを持ったチラシをつくります。

さて、あなたの家に届く印刷物はどんなものが多いですか?もし高級そうな封筒に入ったものがあれば、企業はあなたをそういう顧客だと見ている証かもしれません。

私の本業である印刷関係の話をしましたがいかがでしょうか。印刷には語りきれないほど色々と裏話があります。興味がある人が多ければまた語りたいと思います。

では!

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