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日本ではあまり知られていないフランスの学生都市・リールLille②(イメージと違った・弱点編)

Salut, ぱれすぅ〜です。
今回はフランスの地方都市リールに関する、意外性(人によっては残念な点)について書いていこうと思います。

前回の記事↓



リールの弱点(?)

1. Weather 北仏ならではの気候


皆さん、フランスのコメディー映画「シュティへようこそ Bienvenue chez les Ch'tis」をご存知でしょうか。
南仏からNord県(リールが県庁所在地のようなもの)へ異動することになった主人公とNord県民、つまりシュティたちとのわちゃわちゃを題材とした映画なのですが、高速道路で移動中一気に雨が降る描写があります。
あくまでもコメディーなのでだいぶ脚色もされていますが、曇りや雨が比較的多く、結構ガチな降り方をすることもw
パリも曇りが多いことで有名ですが、パリジャンたちは例え雨が降ろうとも傘をささない人が多いです。リールでもそういった人たちは見かけますが、着飾ったマダムたちを中心に折り畳み傘をさす光景も見られます。

ぱれすぅ〜は降水量日本一の県出身のため、
「雨が多いなら保湿忘れても安心!」だとか、
「地元に近い気候で親近感が湧く」、
「雨上がりの石畳の街、萌え💓」,etc.
みたいな感じで捉えているのでこの気候が大好きなのですが、晴天率が高いところで育った人は若干病むそうです(パリシンドローム論や周囲の交換留学生からの話より)。

また、緯度が日本よりも高いので、日照時間の違いもすごく感じます。
つまり、夏は日中がものすごく長く冬はその逆で、体内時計や体温調節の習慣を身につけることが難しいと感じています。
ぱれすぅ〜による、夏冬に関する感想がこちら↓

・夏:
夜が短い。4月にはサマータイムが始まり、5月時点で22時くらいまで明るいので、体内時計が狂いガチに。また、朝もすぐ明るくなるので睡眠が浅くなる。ナマケモノからすると、睡眠命w
春は短く、5月下旬には夏服の装いになる人が増えるが、気温は最高気温20度、最低気温10度。Tシャツに革ジャンなんてありえないと思っていたが、朝と昼の寒暖差がすごいのを考慮すると、この格好が正解だと理解した。
夏は基本20度台後半が最高気温で、6〜7月がピーク。8月はだんだん涼しくなっていく。冷房はないので、Caniculle(異常気象でめっちゃ暑い時の言い方。昨年は40度近くになった地域もあった)が来たときは地獄。
・冬:
暗い時間が長すぎる。朝は9時まで暗い。夕方もすぐ終わる。逆に朝起きるのが辛くなるため、学校に行くのが辛い。
リールでは雪が降らないため、風が冷たいのが冬の到来を感じさせる。日中が短い上に曇りや雨が多いので、病む人増えているような…w 寒さはパリとほぼ変わらず、0から10度を彷徨っている感じ。夏と同様、朝昼夜の寒暖差が激しめだが、外では防寒対策をちゃんとしていれば問題なし。中では、セントラルヒーティングのため、とても暖かい。
※かつて大学の暖房が壊れた時は、即閉校になったことがありました。寒さ対策に関してはなぜか敏感w

2. Language 寒い地域だからか、喋りが若干速い人が多い

これは完全に私の主観なのですが、NORD圏の人たちのフランス語は抑揚があまりなく、次々に言葉が発せられていく印象があります。
私がかつてフランスの数都市を短期間で回った時の話になりますが、マルセイユからリールに移動した時のこと。マルセイユのフランス語もまた南仏特有のアクセント強めのフランス語であるため聞き取りが難しい場面がありましたが、リールのバス運転手のおっちゃんが喋ったフランス語があまりにも速くてびっくりしたことを覚えています。
私のフランス語の入りはパリジャンたちの喋る生きたフランス語で、マルセイユと比べたら若干パリ寄りのアクセントで標準的なフランス語であると感じますが、スピードが若干速くなるのと方言ならではの言葉が混ざることがあるといった点から見ると最初は大変かもしれません。

3. Image 日本人の考えるフランスのイメージとは異なる点も

ぱれすぅ〜はリールに住み始めてからというものの、日本人の思うフランス像との違いを感じる日々を送っています。

そもそもフランスという異国に対してステレオタイプが混入するのは仕方がないとは思うのですが、「フランス」と日本語で検索して出てくる情報はフランス全土ではなく「パリの独特な文化や人たち」が大半であるなぁと感じるのです。

※フランス国内でよく言われていることとして、パリジャンは他のフランスの地方都市の人たちとは性格が違うということです。例えば、日本国内でいえば関西人と関東人のキャラクターが異なるように、パリジャンとマルセイエーズ(マルセイユ出身の人)、リロワー(リール出身の人)はキャラクター、食の好み、考え方などが全く異なるのです。

美食の国のイメージについてフォーカスすると、リールの名物はフリッツ(フライドポテト)やビールといったベルギーの食文化に近く、ジャンキーなお店が多い印象(そのためか、平均身長がフランス平均より高いかも)。確かにチーズやワインといったフランスの代名詞的なものも食しますが、パリ生活と比べると「パン屋でクロワッサン片手に散歩」とか、「カフェでエスプレッソ」といったヘルシー志向のスタイリッシュな生活のイメージとは離れた食文化の存在も色濃く出ています。私がリールに来て最初に驚いたことは、フランス料理を提供するレストランでどのメニューを頼んでもフリッツがついてきたことです(もちろん苦手な人は頼めば他に変更できます)。

また恋愛に関しても、誤解があることは確か。Netflix のEmily in Parisのような恋愛観はリロワーは持ち合わせていないと思います。
今まで会ってきたリロワーは全体的にもっと真面目で誠実な印象です。

最後に、私が最初の印象で感じたこと。それは街並みです。
パリはオスマンの政策で中心部は統一された石の建築物が立ち並びます。
リールはそもそもレンガ建て!外壁はレンガの色つまり赤茶色か、あるいは白とか黄色とかでペイントされていて窓枠はとてもカラフルで、一つ一つの建物に家主の個性が反映されます。また、建物一つ一つが低く、2階立てから4階建てのものが多い印象。空は広いです。
街並みに関しては、フランス各地で全く異なりますが、リールはとりわけベルギーっぽさがあり、ブリュッセルを訪ねた時も風景が少し似ていて驚きました。

4. Food 大都市に比べて本物の日本食やアジアンスーパーのラインナップが少ない

これは地方あるあるだと思いますが、日本人の人口が少ないのに比例してなんちゃって日本食レストラン率が高まります。
日本食ブームは今でも健在でスーパーでも寿司やおにぎりが置いてあったり、SUSHI SHOPというチェーン店まで見かけますが、あくまでヨーロッパの人のための日本食で「和食」とは言い難いものも存在します。例えば、若いフランス人は寿司にみたらし団子並に甘くどろっとした醤油をドボドボつけて食べていたり、寿司の上になぜか七味唐辛子やオニオンフライを散りばめていたり。食育が育んできた日本人の舌はやはり特殊なんだろうなぁと思う日々…。
パリに行くと値段は張るものの日本の本場クオリティーのラーメンやどんぶり、とんかつ、おにぎり、お好み焼きなどを食べられますが、地方都市では本場よりも「フランス人の舌にあった日本食」へのこだわりが見られます。

また、アジアンスーパーも中国からの製品が多く、日本の製品はお高め。製品の選択肢もパリのスーパーと比べてしまうとやはり少ないと思います。

5. 日本での知名度があまりない

本記事の題名から察する通り、リールLilleは日本ではあまり知られていません。
ぱれすぅ〜は日本人の交換留学生と会うたびに「なぜリールにしたのか」をよく聞くのですが、大半の答えは「パリやベルギー、イギリスが近いから」とか「交換留学の選択肢の中で競争率が高くなさそうだから」とかでした。

ちょっと待った!

ぱれすぅ〜は自らこの都市を選びました。その当時の体験談を以下に残します。


【体験談】両親にリールへ行くと行った時

日本の大学を卒業しフランスの大学への入学を検討していた際、ぱれすぅ〜は以下の3つの大学に志望動機書を提出しました。

  • リール大学

  • リヨン・ルミエール大学

  • トゥールーズ大学

この3校のうち、リヨンとリールが比較的早くに入学許可証を送ってくれたわけですが、両親はリヨンをゴリ押しでした。

理由は簡単。

リヨンの方が都市的に知名度があり、ある程度都会なのがわかるから。

だがしかし!

ぱれすぅ〜は実は大学2年の夏に情報収集を兼ねてリールを訪ねたことがありました。その当時、他にマルセイユやトゥールーズ、ボルドー、そしてパリも廻ったわけですが、その中で最も落ち着いて住める都市だと思いました。
ぱれすぅ〜は東京で大学生をしていましたが、実際は田舎出身。
都会と田舎の両方での生活の楽しさを知っていて。
リールは程よく都会で程よく田舎だなぁと思ったのが第一印象。
例えば、交通網は程よく整備されていて仕事で移動する人が多い一方で、街を歩く人たちは若干まったりしていてパリで感じる緊張感や警戒心の糸が若干緩い感じで(街の中心でのデニム率が高いと感じるのは私だけかしら…。服装を見ると背伸びをしたコーデをしている人は少ないように思います)。街の中心でも地元民が住んでいて、高そうな店が立ち並ぶ場所があったかと思えば、ちょっと路地裏を覗くとテレビや人々の会話が聞こえたりと生活感があり…etc。

と、このようにリールでの肌感を知っていたぱれすぅ〜は引き下がることなく、説得に臨みました。

両親からすれば知り合いもいない名の知れていない都市に娘を送ることにはだいぶ不安があったのでしょう。それもわかります。両親はフランス通でも海外経験が豊富というわけでもなく、それでも留学を応援してくれました。だいぶ恵まれています。
普段なら両親が勧めた方を選んでしまうぱれすぅ〜ですが、この時ばかりはリールをゴリ押しして無事リールに決まりました。その後、幸運にも知り合いがちょうどリールに引っ越したこともあり、治安や勉強のことで相談できたのでそれも大きな決め手となりました。

ただ、この話は留学前の序盤に過ぎませんでした。この後の地獄の手続きの数々。エージェントを通さず個人で全部しましたが、本当に大変でした。

まとめ

今回はリールのちょっとした弱点について書きました。
といってもリールを愛してしまっているぱれすぅ〜の私見や私情が多いと思いますが…。少しでもフランス・リールに興味を持ってもらえたら幸い!
それでは!Salut!


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