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【親子でほめ・強みポイント】子供の社交性大幅アップの秘訣 大公開

青春を犠牲にした子どもたち

ここ数年、コロナの影響により青春を犠牲にした学生たちの声を聞く機会が増えてきました。SNSなどで繋がることは出来ても、集団で何かを挑戦したり、有意義なキャンパスライフをほとんど過ごせないまま社会人になってしまった人はいるかと思います。そういう意味では元から社交性が高い子はとても辛い時期を過ごしているかも知れません。

一方で、そもそも社交性が低いことでコミュニケーションが取れない子供も一定数います。一人でいることを好み、コツコツと自分の好きなことに集中している様子をみていると、不安を覚える親も出てくるかも知れません。一体どうすればそんな不安を予防し、ハッピーな子供に育てられるのでしょうか?

社交性アップの奥義大公開

早速ですが、結論を三行にまとめます。

  1. 親子で褒めポイントを毎日3つ見つける

  2. 親子で強みポイントを定期的に確認する

  3. 弱点は乗り越えられることを伝える

上記三つを日々意識して声かけをすることで、子供の自尊心や自己評価がポジティブなものに変化する可能性はあり、結果として外向性の高い子に育つ、自信を持って他の友達と関われる子に育つ可能性があります。詳しい解説は以下のとおりです。

自分の子供の社交性は高いかどうかが不安

自分の子供が明るくて、コミュニケーションを問題なく取れる元気な子に育って欲しいと思っていませんか?例えばインスタグラムなどで華々しく刺激的なライフスタイルを送っている若者の写真をみて、どこか憧れのような気持ちを抱く人もいるかも知れません。

別に子供に芸能人になってほしい訳ではないけれど、仲間とツーリングに出かけたり、旅行先でちょっとしたトラブルを友達と一緒に乗り越えたり、部活の合宿で恋愛談義に花を咲かせるなど、青春と思い出がいっぱい作れるだけのコミュニケーションが取れる子に育って欲しいですよね。

そうすれば友達がいなくて困ったり、一緒に遊びに出かける人がいないと悲しむことはないだろうなと考えているかと思います。そこで今回は、子供の外向性や社交性を伸ばす方法について詳しく解説します。

社交性とはそもそも何?

社交性と一言にまとめましたが、実際はいろんな意味が考えられます。上下関係を守り集団で行動をすること、エネルギッシュに人前で堂々と立ち振る舞う事、ボランティア精神で社会貢献をして人から感謝されることなどいろんなイメージがあります。それぞれ順に、「伝統性」「外向性」「協調性」と分類できますが、今回は「外向性」に絞って話を進めていきます。

外向性とは一体なんでしょうか?
Perspectives on Personality: Classic Theories and Modern Researchによると、外向性とは次のような特徴があるとされています。

外向的な人は、エネルギッシュで熱狂的、支配的、社交的、おしゃべりな傾向がある。内向的な人は、内気な傾向があり、引っ込み思案で、従順で、物静か。

Perspectives on Personality: Classic Theories and Modern Research

どうやら外向性は元から持っている気質のようなものであり、親からの遺伝による影響は半分ほどあります。この気質を変えることは可能なのでしょうか?結論から言えば、全てを変えることはできませんが一部を変えることはできます。では、その変えられる部分は一体何なのかみてみましょう。

リーダーシップと自己評価を高めると
外向性が向上する

意外なことに、こちらの研究(1)のまとめによると、外向性と関連するスキルである「能力についての自己概念」と「自己効力感」は変化させやすく、「リーダーシップ」も成長する可能性のあるスキルの候補に上がっています。

「自己概念」と「自己効力感」はどちらも一言にまとめると、自己評価のようなものです。自己評価の高さは外向性の高さの一部なので、自己評価を高めることができれば部分的には外向性を高めていることになります。

さらに、リーダーシップの場合、人前に出て引率する訳ですから、これも外向性が高い人の能力の一つとなります。

では、それぞれのスキルの中身と、効果の高さ(2)をみていくと次の通りとなります。

これらが変化することで大胆に挑戦できるようになったり新しいことを始める自信がつく訳です。自分の能力に自信を持つことで、積極的に困難に立ち向かって乗り越えてやろうというエネルギーが湧いてくる訳ですね。

ここまでは、まだ内容とその効果の高さを説明しただけであって実際の方法についてはまだ触れていません。では一体どうすれば、高い自己評価が手に入るのでしょうか?


自己評価に関する研究と効果で分かっていること

自己評価が高い場合、ポジティブに物事に取り組み、物怖じしない性格になりやすい訳ですが、反対に自己評価が低いとどうなるのでしょうか。ここでは便宜上、分かりやすくするために活発でポジティブな状態とは正反対となる自己嫌悪の最終形態、「自殺念慮」を対極に考えてみます。

自殺念慮に対する治療効果の高さを検証しているこちらのメタ分析(3)では下記の治療方法から効果の有無を検証していました。これを知ることで、少なくとも「マイナスをプラマイゼロ近くに戻す」事が可能かどうかが分かります。「平均値に追いつく」ようなイメージですね。

上記全ての効果をプラシーボ群(効果がない偽治療方法)などと比較検証したところ、適切な介入をすることで効果があることが分かりました。その効果の平均値は次の通りです。

  • 効果

    • 治療直後:0.24 効果小

    • 3ヶ月後:0.36 効果小

これらのことから、効果は小さいとはいえ、治療を行った直後には効果が現れるだけでなく長期的に効果が持続するか高まっている事が分かります。

どれも治療方法としてもシンプルで、とにかく自分に対するイメージを言語化して、自己批判を減らし、褒めポイントを日々増やして文章化するという流れで良いと考えられます。

ちなみに、こちらの研究(4)によると、短期的であれば自己批判はポジティブな思い込みよりも生産性の向上につながりますが、長期的には悪影響となるので短期決戦の場合にのみ活用しましょう。

ネガティブ思考を減らし
ポジティブ思考を増やす

さて、「自己嫌悪」を「普通レベルの自己評価」に追いつく効果があることは分かりましたが、「普通レベルの自己評価」を「高い自己評価」に持っていく上乗せ効果はあるのでしょうか?

こちらのメタ分析(5)によると子供の自己評価を高める取り組みの効果は高いと結論づけられています。中身としては、子供に対して多種多様な19種類の取り組みを行い、どれも多かれ少なかれ効果はあるとしています。内容を一部を高い順に紹介すると次の通りです。

ずば抜けて効果が高いのが「特定の自己評価を高めるトレーニング」です。自分の強みを言語化して、その分野であれば誰にも負けないという自負が本人の評価に繋がると考えられます。他にも複数、高い効果を発揮する取り組みもあるみたいなので、負担にならない程度に組み合わせ、継続することで子供の自尊心の高さを維持できるかもしれません。

それ以外にも関連する研究としては次の通りです。

  • 運動による自尊心に関するメタ分析(6)

    • 運動も自尊心や自己評価を中程度高められる

  • ポジティブな言い聞かせによる運動パフォーマンスのメタ分析(7)

    • 自分にポジティブな言い聞かせをしていると、スポーツのパフォーマンスが中程度高められる


親子で出来る外向性と自己評価アップまとめ

色々とデータがあって何を参考にすれば良いのか迷子になっている人のためにもういちど、ベスト3にまとめました。早速ためしてみましょう。

  1. 親子で褒めポイントを毎日3つ見つける

    1. 例:今日もお片付けできたね

    2. 例:今日も笑顔でご挨拶できたね

    3. 例:今日もお野菜、半分以上食べられたね

  2. 親子で強みポイントを定期的に確認する

    1. 例:まことは絵が上手だね、パパが子供だった時よりも上手だよ

    2. 例:りさは運動が上手だね、ママが子供だった時よりも上手だよ

    3. 例:パパはね本を読むのが得意だったんだ。きっとまことももっと上手になるよ

  3. 弱点は乗り越えられることを伝える

    1. 例:逆上がりが難しいんだね、大丈夫!一緒に練習して上手くなろう

    2. 例:譜読みが出来なくて辛いの?じゃあもう少し簡単にして一緒に練習しよう

    3. 例:計算に慣れないの?じゃあ、毎日少しずつ一緒に練習しようか

上記三つを日々意識して声かけをすることで、子供の自尊心や自己評価がポジティブなものに変化する可能性はあり、結果として外向性の高い子に育つ、自信を持って他の友達と関われる子に育つ可能性があります。

科学的な根拠によって裏付けられている声かけ、しつけ方などについてより深く学びたい場合は是非ともペアレのブログをフォローしてください!それではまた

参考文献

1 西田, 季里, n.d., 非認知能力に関する研究の動向と課題 : 幼児の非認知能力の育ちを支えるプログラム開発研究のための整理: 東京大学大学院教育学研究科, 31–39 p.
2 Hattie Ranking: 252 Influences And Effect Sizes Related To Student Achievement online (2022/08/30)
3 Dat, N. T., Mitsui, N., Asakura, S., Takanobu, K., Fujii, Y., Toyoshima, K., Kako, Y., & Kusumi, I. (2022). The Effectiveness of Self-Esteem-Related Interventions in Reducing Suicidal Behaviors: A Systematic Review and Meta-Analysis. Frontiers in Psychiatry, 13. 
4 Kim, J., Kwon, J.H., Kim, J. et al. The effects of positive or negative self-talk on the alteration of brain functional connectivity by performing cognitive tasks. Sci Rep 11, 14873 (2021). 
5 O’Mara, A. J., Marsh, H. W., Craven, R. G., & Debus, R. L. (2006). Do Self-Concept Interventions Make a Difference? A Synergistic Blend of Construct Validation and Meta-Analysis. Educational Psychologist, 41(3), 181–206. 
6 Liu, M., Wu, L., & Ming, Q. (2015). How Does Physical Activity Intervention Improve Self-Esteem and Self-Concept in Children and Adolescents? Evidence from a Meta-Analysis. PLOS ONE, 10(8), e0134804. 
7 Hatzigeorgiadis A, Zourbanos N, Galanis E, Theodorakis Y. Self-Talk and Sports Performance: A Meta-Analysis. Perspect Psychol Sci. 2011 Jul;6(4):348-56. doi: 10.1177/1745691611413136. PMID: 26167788.


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