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「美」の基準は、誰がいつ決めるのか。ルッキズムについて考えてみよう

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、妊娠・出産、選択的夫婦別姓、育休、パワハラ、LGBTQ、性別を問わない名づけなど、男女平等やSOGIに関するテーマ がたくさん盛り込まれていました。

例えば、「嫁さん若いんだって?いいよな~」「俺も次は年下かな」「劣化してなくてピッチピチの」などという上司の発言、物の性能や品質が損なわれる「劣化」という言葉を人間に対して使うことに対して星野源さん演じる“ ヒラマサさん”が質問し、同僚が拍手喝采する場面がありました。

他にも、「一番若くてかわいい女子社員を助手につけます」という上司に対し、「若くてかわいいと仕事が回るんですか」と尋ねる場面がありました。

このように、見た目の若さや美しさに価値を置くことをはじめ、人間の見た目をいじったり、からかったり、攻撃したりする人の行動の背景には、「ルッキズム」(外見至上主義)の考えがあるとされています。

ルッキズムの考えを「見直していこう」という動きも

「美」の基準は、誰がいつ決めるのでしょう。

平安時代は 、男女問わず和歌を詠めることが美男美女の条件とされていたそうです。女性の場合は眉を全部抜き、その少し上に描く「ひき眉」や小さくすぼめた「おちょぼ口」が美しいとされていました。江戸時代には、色白で頭頂部の青味がかった男性がイケメンとされていたそうです。

パラソルのスタッフ間では、男女別の芸能人ランキングを見て 、男性は話術や演技力などさまざまな軸を評価されているが、女性は主に「見た目を評価されている感じがする」といった声が挙げられていました。

近年、こうしたルッキズムの考えを見直していこうという動きがあります。

例えば、最近のディズニーアニメに登場するプリンセスは、白人で細身で目がぱっちりしている従来のプリンセス像から、多様な人種、民族のプリンセスが登場してきている他、釣り目、小さな目、鼻が丸い、そばかすがある、闘うたくましいイメージなどの多様な人物像を描写しつつあります。

上智大学では、2020年度から「女性らしさ」「男性らしさ」 のおしつけやルッキズムを助長するとして、長年続いた男女別の「ミス&ミスターソフィアコンテスト」を学生が主導して廃止。学校祭までの活動期間の中で、候補者自身の魅力と社会課題を発信するインフルエンサーとしての活躍を競う「ソフィアンズコンテスト」が行われるようになりました。

2021年の「ソフィアンズコンテスト」テーマは、「UNMUTE」だったそうです
(画像は、Webサイトキャプチャ)

この他、数々の大学がミス・コンテスト、ミスター・コンテストを取り止め たり、出場者のジェンダー表現に柔軟に合わせ、戸籍の性別や性自認が女性、男性でなくても出場可能にしたりするという動きも出てきています。

また、法令上の性別情報に関するカミングアウトの強制やアウティングにつながる恐れ、性別の開示を希望しない人のニーズから、2020年7月には日本産業規格(JIS)の履歴書様式から性別欄が削除されました。

これをきっかけに、病気やけがなどで顔にあざや変形があることや、生まれつき肌や体毛の色素が薄いことなど、見た目で差別や偏見を受ける「見た目問題」による困難を抱える人をはじめ、全ての人が外見から就活で不当な差別を受けることなく、適性や能力で公正に選考される社会になるようにと、履歴書から顔写真欄をなくそうといったキャンペーンも行われました。

一方で、2022年4月には内閣府男女共同参画局が公開している「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」で発表されたプレゼン資料に対して、ルッキズムを助長する内容が多く含まれていると多くの批判が寄せられました。例えば、「ハンサム・美人ほど恋愛経験豊か」「男性は80キロ、女性なら60キロ超えたら、恋愛の資格ない」といった内容が書かれていたそうです。

皆さんは、人を見た目で評価し、優劣をつけるシステムについて、どのように思いますか。ぜひご意見を聞かせてもらえると嬉しいです。

パラソルは、国立市の条例が目指す「一人ひとりが性別に関わらず自分らしくあるための社会づくり」の拠点として開設された、男女平等参画ステーションです。各種相談の他、出前講座や情報発信を行っています。なお、今回の記事は、情報誌vol.05で紹介した内容の転載となります。

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