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自分の勉強のことについて5分間話続けられますか?

パラリアでは月に1度、パラリア生同士で自分の学習状況を報告し合う会(振り返り会)を行っています。

自分のことを客観的に認識する能力(メタ認知)が高い中高生は、学力も高くなる傾向にあります。学力と密接に関わると証明されている能力は少ないため、非常に重要です。


学習報告を行っている塾はいくつか存在しますが、パラリアはこれにかなり力を入れているのでご紹介します。


5分間話し続ける。5つ質問する。

振り返り会は、模試が終わった後の平日夜、または日曜夕方の1時間を使って、スタッフが事前に決めてあるパラリア生同士がペアとなり、自分の学習状況を報告し合います。


手順は以下の通りです。

1.順番を決める
2.直近一カ月で、学習に関することや独自の工夫等を話し続ける(普段は5分、ときに8分)
3.聴き手が5つの質問をし、話し手が答える。(質問の際、質問の理由「なぜこの質問をするかというと~」を必ずつける)
4.役割を変えて再び2・3を行う
5.相手の話を聴いて最も参考になったこと、今から実行してみたいことを発表する


そしてこの振り返り会の狙いは主に4つあります。

①相手に伝えようとすることで、ここ一カ月の自分の学習状況を整理する
②質問されることで、自分が考えていなかった視点を知る
③質問を考えることで、自分を相対化し、相手と比較して、差を理解し、埋めるための指針を得る
④普段コミュニケーションを取らない、他のパラリア生のことを深く知る


それぞれ一つずつまとめていきます。


①相手に伝えようとすることで、ここ一カ月の自分の学習状況を整理する

自分の学習を自ら振り返る中高生はかなり少数派です。中高生ばかりか、大学生や社会人でも、自分の行動を振り返っていない人はたくさん見つけることができます。


あたらめてここ一カ月の自分の学習について振り返り、それを聴き手に分かりやすく伝えようと整理して話すので、自分が何をしてきたのかを見つめ直すことになります。


パラリアに入ったばかりの中高生は、はじめのうちは大抵上手くできません。初めてだと、2分持てばいい方です。

過去、パラリア以外の場所で高校生に同じもの(むしろ少し簡単にしたもの)を複数回行ったことがありますが、2分30秒も経つと沈黙になるほどです。それだけ普段、自分の学習のことを振り返ったり、他の人に説明していないということがわかります。


一方パラリア生は、10分でも20分でも続けることができます。スタッフの方から止めないと止まりません。


実際のところ、難易度は高めです。

自分がなぜ今この教材に取り組んでいて、どうやって取り組んでいて、1日何時間使って、これをやることによっていつの試験でどんな結果を得ようとしているのか、ずっと勉強し続けるのは難しいので、いつどのように休憩をとっているのか、睡眠時間は平均何時間で、朝は何時に起きていて、お昼ご飯の後に眠くならないようにどんなことを工夫していて、、、



これだけでもかなり自分のことを客観化する練習になります。さらに、「よく頑張ってきたなー自分」等と、自分の努力を確認することもできます。自分の努力を自分で認める点、振り返って改めて「甘かった」と反省する点等がたくさん出てきます。



②質問されることで、自分が考えていなかった視点を知る

他のパラリア生から質問されることで、自分では気が付かなかった新たな視点を知ることができます。

自分としては当たり前にやっていたことが、聴き手からすると凄いことだったり、自分では無意識でやっていたことを質問されて、その場で初めて理由を考えたりします。

質問されることによって、自分をより客観視することができるようになります。



③質問を考えることで、自分を相対化し、相手と比較して、差を理解し、埋めるための指針を得る

相手の学習状況に対して、「なぜこの質問をするかというと~」を最初につけながら質問をすることは、自分の話をする以上に難しいです。


ただ質問をするだけなら、いくらでも浅い質問ができますが、「なぜこの質問をするかというと~」という条件を付けると突然難易度が高まります。


「なぜこの質問をするかというと~」について考えれば考えるほど、質問者自身のことを考えざるを得なくなります。

「自分はこうやっているのに、なぜあなたはそうしているのか」と、自分のスタンスと相手のスタンス、自分の考え方と相手の考え方を比較する必要があります。


「なぜこの質問をするかというと~」という形で質問ができるということは、自分のことを理解しているということに他なりません。
自分のことがわかっていない人は質問もできません。


「質問する」こと自体は多くの学び場で行われていますが、「なぜこの質問をするかというと~」を付けて振り返りを行っている学び場は少ないと考えています。練習しないとすぐにはできないからです。


質問することは、相手のためにもなりますが、それ以上に自分の客観化に役立ちます。



④普段コミュニケーションを取らない、他のパラリア生のことを深く知る

パラリアを実際に見たことがある方はご存知かと思いますが、パラリアは普通の学び場とは違う独特の雰囲気を持っています。この雰囲気を支えているのが振り返り会といっても過言ではありません。


パラリアでは普段、他のパラリア生と話す機会はありません。振り返り会等で初めて話をするペアも当然あります。


パラリア生同士は、個人そのもののことよりも、学習状況や工夫、どれくらい頑張って勉強しているか等の方が多く知ることになります。

そのため、振り返り会をこなせばこなすほど、多くのパラリア生の学習状況や性格、勉強に対する考え方を知ることができ、特殊な関係性になります。


パラリアの独特な雰囲気は、パラリア生同士のこうした関係性によって構築されています。

知らない人ではないので近くにいても気まずくはないですが、仲良くしなければならない人というわけではないので、変なプレッシャーもありません。

こういった関係性によって、「自ら努力する」という共通認識が常に雰囲気に現れる場が成立しています。集中と快適を両立する絶妙なバランスを保つことができる理由の一つです。


振り返り会をこなし、どんな生徒がいるのかがわかってくると、わからないところの質問や、学習法の相談をスタッフだけではなく他のパラリア生にする生徒も出てきます。

相談相手が増えることで、新たな考えが得られやすい環境になっていきます。


以上の4点の狙いを持って、振り返り会を行っています。



●まとめ:振り返り会
自分を客観化する特訓

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