前回までのあらすじ

前回まででは、「教育とは何か」という本質的な問いから始まって、社会論を視野に入れつつその歴史を追っていきました。今回は打って変わって、「勉強のコツ」という身近なテーマについ て、ざっくばらんに語ります(この記事では、便宜上音声の時系列は無視してまとめてみようと思います)。

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勉強法は人それぞれ

まず第一に「これをやれば絶対OK!」あるいは「これをやらないと絶対落ちる!」という勉強法 はありません。なぜなら、能力、経歴、性格は人それぞれ違うからです。万人に当てはまるや りかたなんてあるわけがありません。この種の物言いは、先生が生徒を引きつけるために利用す る強烈なレトリックなので、気をつけなければなりません。
継続は力なり
しかし興味深いことに、浅見、木元、オギタの3人が一致する点もありました。それはある種当た り前なことです。当たり前だからこそ、普遍性をもつのでしょう。それは「勉強において一番大事 なのは、続けること」点です。もちろん、続けただけで勉強ができるとは限りません。それはあ くまで必要条件にすぎません。しかしたしかに「勉強ができる」人は、ほぼ全員継続的に勉強し ているようにも思われます。

続け方はいろいろ

だけど、その「続ける」ということが一番むずかしい! 勉強の難しさはほとんどここにあると 言っても過言ではありません。だからこそ、多様な勉強法があるのでしょう。要するに勉強を 「続けられる」ようなやり方を見つけられればよいのだが、すでに述べたように、個々人はそれ ぞれ多様な能力、経歴、性格を持っています。それゆえに、画一的なやり方では続けることがで きず、多種多様な勉強の仕方が開発されたと考えることもできます。

ゴールを想像する

浅見が重視するのは、ゴールを明確にし、そこに達した自分を想像するという技法です。勉強と いう作業それ自体はどうしても地味で単調なもの。決してワクワクするようなものではないかも しれません。だから、勉強している状態を想像しても、人はなかなかやる気になりません。けれ ど、勉強の結果得られるもの(たとえば、順位が1位だった、大学に合格した)という状態を想像 することでワクワク感を掻き立てることができます。そのワクワク感をモチベーションとして、勉 強という作業につなげるという技法があります。

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つなげてみる

勉強がなぜ続かないのかというと、それは、つまらないからです。つまらないものの典型例は、 いわゆる「暗記モノ」。それを少しでも面白くするためにオギタは「つなげてみる」ということ を提案します。それだけで覚えるのではなく、別の知識(できれば、すでに知っている知識)と 関連させてみる。たとえば「reject」という単語を覚えるとしましょう。このとき、projectとい う単語を連想します。「ject」という接尾辞には「投げる」という意味があり、それがpro(前に) や、re(return、replayのイメージ)と結びつくことで、「拒絶する」や「計画」といった意味に なるのです。このように考えれば「reject」という単語の意味を思い出しやすくなっただけでな く、「project」というすでに知っている単語も、これまでと違ったみえかたがしてきます。そこ にオギタは勉強の面白さを見出しているのです。

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階段をつくる

一気にむずかしいものに取り組むのではなく、それを分解し、簡単なものから徐々にレベルを上 げてみる。最初は巨大な壁に思えたものを、登りやすい階段に変形する。こうすることによっ て、挫折感を味わうことが減り、勉強が続くようになる。

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フィードバック

人は、自分の進歩を実感するとやる気になるものです。こまめに自分がどれだけのことを学習し たのかを見える化してみましょう。たとえば、取り組んだ問題数をグラフにしてみる。解けた問 題の難易度から現在の偏差値を随時通知するなど。


競争してみる

他の人と競争してみる。勝ち負けの喜びというのは、強烈な魅力を有している。テストで順位を 出すのは、一つにはこれを目的としている。一回勝ってしまうと、人はもう一度勝ちたくなって しまう。逆にいえば、まずは分野を絞り、勝てそうな分野で勝つ経験をするということが重要で す。その感覚や、快感に基づいて、徐々に勝てる分野を広くしていきましょう。

危機感を煽ってみる

上の「競争してみる」の裏面を活用する手法です。「こんなんじゃ全然ダメだ!」という感覚は、 強烈な動力源になります。人を選ぶ手法ではありますが、ハマる人にはハマるやり方です。

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まとめ

このように、「続ける技法」は無数にあります。ここに挙げたもの以外にも、もっともっとたく さんあるでしょう。その中から、それぞれの人の、その日その日の気分に合わせて、マッチする ものを繊細に柔軟に選んでいくことが、勉強できるようになるための王道なのではないでしょう か。

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