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累計130万DLの個人開発アプリをcloseするので具体的な数字を公開します

あけましておめでとうございます。
このたび、約9年間運営していた個人開発アプリをcloseすることにしたので、その背景や今までのデータを公開してみようと思います。
個人開発をしている、もしくはこれからやろうと思っている方の参考になれば幸いです。

自己紹介

この記事が少しでも読みやすくなればいいなと思い、かんたんに自己紹介します。

にっしーと申します。
iOSエンジニアとしてキャリアをスタートし、3年後にスタートアップに転職&Webエンジニアになり、その後紆余曲折を経てフリーランスへ。
今は主にBizOpsエンジニアとして業務改善/自動化の仕事をしています。

では、個人開発の話に進みます。

私がつくったアプリ

顔文字アプリ「emoty」です。
個人開発が今ほど盛んではなかった2014年に、とにかくシンプルに使える顔文字アプリが欲しくて作りました。

「タップでコピー、長押しで辞書登録」
ワンタップで操作が完結する、他にはないシンプルさが売りです。

みんなが使った顔文字のタイムラインがあったり、ランキングで人気の顔文字が見れたり、探しやすいカテゴリ機能があったり。自分色に変更できるテーマ機能も作ったりして。
とにかく日常使いしたくなるアプリを目指して楽しく開発していました。
ASOのつよさ(後述します)も相まって、本当にたくさんの方に使っていただけました。

数字で見るemoty

具体的な数字で見ていきます。

  • レビューは1.3万件で平均4.5(記事執筆時点)

  • 「顔文字」で1位(全期間での最高値)

  • 「絵文字」で2位(全期間での最高値)

まだ「顔文字」で上位なのすごい

DL数

AppStoreConnectで全期間指定してみました。
合計ダウンロード数130万。
自分の作ったアプリがこんなにも多くの人たちに届いたのかと思うと感慨深いものがあります。

日本の次に台湾が多い

DAU/MAU

DAUは最近だとだいたい3,000〜5,000。
MAUは多い時で10万、今だと3万〜4万くらい。

このグラフを見ると察することがある

売上などのお金の話

記事の最後に有料部分としてすべて記載しています。
100万DL超えでこのDAU/MAUだとどれくらいの金額になるのか、気になる方はどうぞ。

なぜcloseするのか

9年間運営していると言っても、最後の7年間はアップデートもできておらず、月に一回Push通知を仕込むくらいしかしていませんでした。

そんなにも長期間アップデートしていないものですから、当然新しい画面サイズにも対応できておらず、最近の端末だと今も珍しい黒帯表示されてしまいます。ああ恥ずかしい〜。

そんなこんなで低空飛行を続けていたところ、唯一の収入源であるAdMobの配信が停止されてしまい、ついに赤字運営になってしまいました。(AdMobのsdkが古くなってしまったがゆえの広告配信停止です)
「アップデートしていないアプリはストアから落とすよん」というAppleさんの圧力を感じながら、「意外とストアに残してくれるやん。Appleさんありがとう」とのんびりしていたら突然Googleさんに肩を叩かれたかんじです。

AdMobに表示される悲しい数字

ではなぜアップデートしなかったのか(していないのか)。

実は、アプリから「辞書登録」を呼び出すためにプライベートAPIを使っていたのですが、時が経つにつれてだんだん審査を通過することができなくなり(それはそう)、アップデートをする=「辞書登録」機能を諦めるという選択を迫られ、それが億劫でアップデートできませんでした。
いや、でもですよ、7年前のiOSのプライベートAPIが現在のiOSでも動くんですよ。もはやパブリクAPIにしてくれても良くないですか?

また、キャリアをiOSエンジニア→Webエンジニア→BizOpsエンジニアと変えていく中で、iOSの情報をキャッチアップしていくことができなくなりました。仕事として第一線で開発していたころと比べ、その分野の情報を取得し続けることは非常に難しく、フリーランスとして複数案件を回しながら子育てありきの生活をしている自分には、特に時間を割くことができませんでした。

さらに、今までお見せしたデータでお察しの方もいるかと思いますが、「顔文字/絵文字」自体がダウントレンドということもあり、アップデートに時間を投資する決断ができませんでした。やはりやるなら成長している市場、時流に乗った開発をしていきたいきもちがあります。

・・・とまあ、言い訳を考えてみるときりがありません。

今月末にストアから削除し、サーバーも落としてcloseします。

これからの個人開発について

しばらくの間、アプリの個人開発はお休みします。
自分の作品を作り、世間に価値を問い、ユーザーのフィードバックに耳を傾けながら改善していく体験は本当に刺激的でした。またいつかこの道に戻りたいと思っています。

プライベートな話ですが、最近第三子をリリースしまして、「子育て」という一大プロジェクトのギアがまた1段階上がりました。こちらもまた刺激的で、毎日ヒィヒィ言いながらハードシングスと向き合っています。

あえて今できることを考えてみると、仕事で楽しんでいるSaaSやAIを組み合わせた仕組みづくりを、身近な人にオーダーメイドで提供していくのとかいいんじゃないかなぁとか。そういう個人開発もありですよね、きっと。

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ひとつの個人開発アプリの旅の記録でした。

今は9年前とは大きく状況が変わっているでしょう。
個人開発者が増え、サブスクという新しい収益モデルが主流になり、AIを活用したプロダクトが市場を賑わせています。
そのため、この記事がどれだけ皆さんに役立つかは正直わかりません。もし何か参考になることがあれば、スキやシェアをしていただけると嬉しいです。
感想やコメントがありましたら、X(旧Twitter)でぜひ教えてください。

最後に、9年間ありがとう、emoty。またどこかで *ˊᵕˋ)੭


さて、ここからはお金の話をします。
有料部分とさせていただき、記事の売上は家族との思い出作りに使わせていただきます。

以降では、AdMobの全期間(2016/4/20〜2024/01/16)の売上やeCPMなどの数字を載せています。これまでのデータから予想して答え合わせしてみるとおもしろいかもしれません。
ヒント:よくあるフッターバナー1本でがんばっていました。

おまけとして、「顔文字」で1位を獲得したemotyに設定してるキーワードも紹介しています。

また、他に知りたい情報があればコメントください。
できる限り追記していきます。

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