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東京パラから2カ月。2020東京パラ水泳の印象に残ったレースを書き留めておく

いつもお読みくださいましてありがとうございます!
編集長です。

東京パラから早2カ月。ふとこのまま東京パラの興奮した記憶を忘れてしまってはもったいないと思い,NOTEに書き留めておくことにした。

皆さんはどのレースが印象的であったのだろうか。私なりに3つほど厳選してみたので,たまに東京パラの興奮を思い出したい時に見てほしい。

タッピングの難しさ

東京パラ4日目,S11男子100m背泳ぎ決勝

本当にタッピングは難しい。Rogier Dorsman選手は前半1位で折り返すと思われたが,ターンは少し遠かったように見えた。タッピングといって,全盲の選手のために身長の倍はあるであろう長さの棒を使って,頭をタップし壁が近づいたことを合図する。このタイミングがこのレースではズレ,ターン後に足が壁に届かなかった。壁に触れないままだと失格になってしまうため,何とか壁に足が着くよう工夫しゴールするも,メダルには届かなかった。

1:18:00~(1:19:20くらい)でS11男子100m背泳ぎ決勝の折り返し

こればかりは本当に誰を責めることもできない。動いている選手をタッピングすることは,選手の泳ぐスピード,リズムを瞬時に読み取る必要があり,練習通りいかないことも多々ある。パラ水泳の難しさを見た試合であった。しかし最後まであきらめず4位に入ったRogier Dorsman選手にますます注目するレースとなった。

ちなみに彼は東京パラで5種目に出場しており,そのうち3つの種目で金メダルを獲得している。


レジェンドと新星のS8バトル

Jessica Long選手Morgan Stickney選手のアメリカ勢対決がとてもワクワクした。

大会7日目,S7女子400m自由形決勝。

始めの200mまではJessica Long選手が先頭を引っ張り,1位で折り返しこのまま優勝するのでは?と思われた。Jessica Long選手はパラ水泳界のレジェンドであり,本大会でも金メダルを複数獲得すること間違いなしの圧倒的な実力者である。

一方,Morgan Stickney選手といえば200m時点では2位であり,Jessica Long選手より体が2つほど遅れていたため,1位になることは難しいように私は正直思ってしまっていた。

しかし,ここからMorgan Stickney選手は驚くべき後半の粘り強さを見せた。

350m時点の最後の折り返しで,Morgan Stickney選手はJessica Long選手に体1つ分まで追いつき,ラストの50mで勝負できる位置までくらいついていた。

そして,ラスト25mでJessica Long選手を追いたのだ。
見事金メダルを獲得した。

17:45~26:00 S7女子400m自由形決勝

新星Morgan Stickney選手が,レジェンドに勝利した瞬間の二人の泳ぎをたたえ合う姿を見ることができた。

Morgan Stickney選手の嬉しい気持ちとJessica Long選手に尊敬の念を抱く気持ちが入り混じっていたように見えた。そしてJessica Long選手は悔しい気持ちも持っているだろうが,笑顔でMorgan Stickney選手の金メダルを祝福する姿。ここにパラ水泳の歴史が更新されていく瞬間を見た。

Morgan Stickney選手がパラスイマーになった経緯などを含め,選手の背景を知るとますます応援したくなる。


最後はこのレース。

人間の可能性を感じる

9日目,S2男子50m背泳ぎ決勝で圧巻の金メダルを獲得したGabriel Geraldo dos Santos Araujo選手

1人腕ではなく,脚をメインにして体をうねらせて泳ぐS2の選手だ。

水に打ち付けるように,足の裏で水をうまくとらえ推進力に変えている。
ここで速く泳ごうと足を細かく打ってしまうのだが,彼は大きくダイナミックにキックを打っている。そこが速さの秘訣ではないかと思う。

しかし,パラ水泳の可能性を感じるレースであり,自らの障害を理解したうえで練習を積み重ねたからこそできる泳ぎであったであろう。

その背景が想像でき,もっと長い距離でもどのように泳ぐのか気になった。

ドイツオープンなど,パラ水泳のワールドシリーズ大会では長い種目もエントリー可能なため他の種目も一度は見る機会があるだろうか。今後の楽しみである。

1:48:00~ S2男子50m背泳ぎ決勝

以上,2020東京パラ水泳の印象に残ったレースを3つ紹介してみた。

やはり,パラリンピックはどの大会よりも特別感があり,選手のあふれ出るエネルギーや心意気はかなり他の大会とも違うように感じる。

だからこそのドラマが生まれるのだろう。

メダルを獲った選手だけでなく,大会に出場した選手の誰しもにドラマがあり,感動を届けてくれた。本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

また,2024パリでお会いしましょう。

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編集長



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