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小さい頃からコツコツと。パラ水泳のパスウェイ

幼い頃の運動は重要だ。
とりわけパラリンピックを目指したい子たちにとっては、小さい頃の運動体験は競技成績に影響するためとても大切である。

特に、就学前や小学校低学年の時期にいろんな運動や遊びを経験しておくとよいと言われている。そして、12歳ごろを越えると運動神経、簡単に言うと自らのカラダを巧みに操る能力を鍛えにくくなる。

そこで、小さい頃から大人にかけてアスリートとして育っていく過程で、特に幼い時に何が必要で、どのような要素がパラリンピックで活躍するために重要か分かりやすい日本版FTEMという考え方を見ていく。

この日本版FTEMとは、
・Fの段階「ファウンデーション」
・Tの段階「タレント」
・Eの段階「エリート」
・Mの段階「マスタリー」

の段階に分けられており、長期的な視点から、かつスポーツを「する」者・「ささえる」者の視点を踏まえてアスリート育成について考えることができる。

つまり、運動を行う者だけでなく、指導者や保護者にとっても貴重な参考材料となるのだ。

さて、幼い時に何が必要で、どのような要素がパラリンピックで活躍するために重要かは、Fの段階「ファウンデーション」を見れば参考になるだろう。

基本的動作の習得、学校体育、専門化の弊害
など項目ごとに様々書かれている。

その中でもさらに、必要な要素として、私なりに特に重要だと思った1点を紹介する。

敏捷性である。

敏捷性(体の反応や素早さに加え、身体を正確にコントロールする能力)を育てておくことが大事である。

理由としては、パラスポーツ界では特に敏捷性が最大限発育できていないために、大人になって競技成績が伸びづらい選手が多いからだ。

例えば、水泳においては25m泳などの短い水泳練習中に、腕を素早く回すことができない選手が多い。素早く回せたとしても、水をとらえて進んでいるとは言えない人も多い。

そこで、体の反応や素早さ、身体を正確にコントロールする能力の両方を兼ね備えておく必要がある。そのためには、幼い頃に敏捷性をしっかり鍛えておくことが大切になってくるのだ。

水泳練習で、ヘッドアップや15m全力泳などでなるべく腕を速く回す練習を行う。そのあとに水のキャッチ動作を確認しながら、なるべく全力で回した腕の回転スピードに、1本目、2本目、3本目と合わせていく練習を行う。そうした練習の積み重ね、素早さと体の使い方をコントロールする動作をすり合わせることが重要なのだ。

もちろん、水泳だけでなく、多くの運動で敏捷性を鍛えて、素早く、自分の身体を思った通りに動かすことができるトレーニングは欠かせない。

小さい頃からコツコツと。幼い頃の運動で特に敏捷性を鍛えること。これからの幼きパラアスリートを育てる、かかわる、ささえる方は意識してみてはいかがでしょうか。


ちなみに余談だが、脳性麻痺の子にとって水中運動に幼いころに取り組んでいることが、かなり運動機能の向上に関係しているらしい。

たくさんの運動に取り組む中で、少しでも水泳にも効果があり、たまにプールに行く障害のある子が出てくると嬉しい。

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編集長


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