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健全な恋愛体質 #Prologue

 

 恋してる自分が好きだった。
何かを好きで、熱中して、溺れて、周りが何も見えなくなるほど没頭する自分を、「一生懸命で本気な自分」だと思っていた。誰しもそんな経験ってきっとあると思う。ほかの人よりその核心に気づくのが、少しだけ遅かっただけ。勘違いの度合いが少しだけ大きかっただけ。少しだけ。

 「あんたって本当に恋愛体質だよね~!」
この友達には何度そう言われたかわからないくらい言われた。確かに、すぐ人を好きになる。それには理由があって、私は他人の良いところを見つけるのが得意で、嫌なところを見ないようにするのも得意だったからだと思う。極論、好きになろうと思えば誰でも好きになれた。でもそんな風に始まった恋は、絶対にうまくいかなかった。嫌なところはただ見えないようにしていただけで、それが存在していることに変わりはなく、「嫌」と認識しているのだから、その部分が変わってくれない限りずっと「嫌」のままなわけだから。

 それに気づいてからの私は、ずっと健全になったと思う。一般的にはどうかわからないけど。少なくとも過去の私と比べたら、そりゃあもうすごく大人になった。

 そうなるまでの、私の記録。

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