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【あるある】なんかツイてない1日

何日か前から、仕事の事務処理がうまくいかずにソワソワした日々を過ごしていた。
本人確認書類のデータが、認証エラーで何度もつっかえされる。

梅雨空、暗いワンルームでスマホ用の照明スタンド(500円)を自分の顔にかざして写真撮影を繰り返す。
平日の昼間。
向かいの家から「せやから、ご飯食べときって言うたやろ!」と激昂する母親の声がする。

パソコン画面を何度眺めても、電話の問い合わせ窓口はない。
問い合わせフォームに質問事項を入力するのみ。

問い合わせフォームを探し当てるのに3時間かかった。

やっとの思いで辿り着くと、
「QAリストに300個の回答例があります。問い合わせ前に確認してください」
などと指図される。

送信したとて、回答が来るのはいつになるやら。
ジリジリした気持ちで待つ。

返ってきたのは「【再送】画像データの修正依頼」のメール。
私、この【再送】の文字に傷つく。

なんだか「叱られた気」になっている私の顔。


イライラするので腹が減る。
昼飯でも食うか。
腹が減ると、私は独り言が荒っぽくなる。

「飯や、飯。やっとれっか!」
言いながら、景気づけに右足をポーンと振り上げたらノートパソコンのコードにひっかけた。

こんな時はうまい飯を食うに限る。
冷凍庫に確かブリがあったはず。照り焼きを食おうじゃないか!

冷凍庫からブリを取り出し、ラップをはがそうとする、が。
部屋が暗いのでラップの巻き終わりが見えない。

何も見えない。

お先真っ暗、将来への不安が頭をよぎる。

「キエエエ!!」と叫びながら、右手の爪でラップをひっかいてブリを取り出す。

この後、ブリを解凍し、照り焼きを作り、無事に昼食を終えたはずだがよく覚えていない。

ハッと気がついた時には、ちゃぶ台にカラの角皿と茶碗が残されているばかりであった。

しかし空腹は満たされた。

元気が出てきた。

買い物へ行こう。

家を出ると、外はもう西日が差しかかっていた。
先日龍眼を買った業務スーパーに、もう一度行ってみるか。

スーパーへ向かう道すがら、商店街のアーケード入口でグスングスンと声が聞こえた。
何気ないふうを装いつつ、横目で様子をうかがうとおばあちゃんが泣いている。

おばあちゃんの隣には50代くらいの奥様が寄り添って肩を抱き、
「がんばろな、がんばろな」
としきりに励ましていた。

うん、がんばろな。

私もそう一言つぶやいて、ドスドスと大股で業務スーパーへ向かった。

みなさん、今日も1日お疲れさまでした。
明日もぼちぼちと、がんばりましょう。

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