お父さん、結局「ミラノ風ランチ」って何なん?(笑) #元気をもらったあの食事

「お、今日はミラノ風ランチやな」
今思えば、そう言って食べてくれたから私は料理が好きになったのかな。

現在大学4年生。
趣味は自炊。
バイトが終わり、午後10時過ぎに帰ってきてから晩御飯を作る。
時間のある休日は、twitterやYoutubeで見て、興味の沸いた料理を作ってみる。最近は、人参、玉ねぎ、ジャガイモ、キャベツの皮からブイヨンを取ってポトフを作ったりした。
イライラする時は、ひたすらピーマンを千切りしてチンジャオロースを作る。
機嫌のいい時は、好きな音楽を聴いて、歌いながらスープを混ぜる。
バイト帰りで疲れている時は、芸人のラジオを聞きながら野菜を炒める。
恋人が家に来たときは、少し緊張しながらトマトクリームパスタを作る。

こんな感じに、大学生で一人暮らしを始めてから、ほとんど毎日自炊をしている。でも大学生になってから料理をし始めたわけじゃない。

中学、いや小学生の時から料理は自分の身近なところにあった気がする。
学校から帰り、家でテレビを見る。
母親はいつも17時半に仕事から帰り、そこから晩御飯の用意をする。
私は、いつも母親が晩御飯を作っているところを横から見ていた。
そしてたまに、野菜を切ったりして手伝っていた。
一緒にお好み焼きを作るとき、キャベツを切るのが早くて驚いてたのを、今書きながら思い出す。

初めてちゃんと作った料理はチャーハン。
小さい頃からチャーハンが好きだった。もちろん大学生4年生になった今も相変わらず大好きなままだ。
初めは、母親がチャーハンを作るのを横でじっと見ていた。
だけど次第に、自分でもチャーハンが作れるようになりたくなった。そして見様見真似で作り始めた。
たまにみじん切りした玉ねぎが目に染みて、横で泣いていた。でも母は、なぜか玉ねぎ攻撃が効かないらしく、「なんで目痛くならへんの??」とよく聞いていた。

その次に作れるようになったのはオムライス。
今も、チャーハンと同率一位でオムライスが大好きだ。
卵を割るのは私の担当で、いつの間にか、両手に卵を1つずつ持ち、片手で同時に割れるようになっていた。
でも今はしない、確かにかっこいいけど、絶対両手でする方が殻が入らないから(笑)

チャーハンもオムライスも、母親、ましてはお店より、自分で作った方が美味しいと思えるようになった。
だけどそう思えるようになったのは最近で、そこまでの道のりはすぐじゃない。
例えばチャーハンでは、小さい頃は、中華鍋を振る真似をすると美味しくなると思っていた。
でも家庭用フライパンは、火力が足りないから真似をしてもあんまりパラパラにはならない。
だからそもそも水を少し少なめにしてご飯を炊く。
そして卵だけ先に炒めて、お皿に写す。そして野菜とご飯を入れて、中火から強火で、押しつぶし、切るように炒める。
ごま油は、熱っすると風味が落ちるから、火を止めてから一回しして混ぜる。勉強できるようになってから知ったことがたくさんある。

今はパスタをよく作る。だからEVオリーブオイルを、フライパンの底を埋めるくらいまで入れる。
そしてオリーブオイルを熱した後に、ニンニクを揚げて、風味を抽出する。

ごま油もオリーブオイルも、ただフライパンが焦げないようにするためだと思ってたけど違った。
少し勉強ができるようになってからじゃないと、こんな料理の楽しみ方はできなかった。

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「じゃあ小さい頃に、自分でチャーハンを作ったのが料理好きの原点か?」

そう言われるとそうかもしれない。
でもそうじゃない気もする。

「もっと小さい頃に何か作った記憶があるはず…」と、過去の記憶を手探りで進んでいく。

するとぼやけた映像と、父親の声が聞こえてきた。

「お、今日はミラノ風ランチやな」

小さい頃よく聞いた言葉だ。
確かにそんなことを言われた記憶がある。
記憶はやっぱり、声が一番よく残るものなんだろう。

小学校2年生か、3年生くらいの記憶か。土曜日の昼前、母親、父親、兄、私の4人で一緒にご飯を食べる。

自分も何か作ってみたくなったのだろうか。
当時の身長だと、キッチンは少し高かった。でも卵焼き用の小さいフライパンで頑張って作った。

作ったと言っても、ウインナーを2本焼いて、目玉焼きを焼いて、そこにケチャップを掛けただけの料理。
小さい当時の頃だから、塩コショウとか振ってないんだろうな。
そんな質素極まりない料理。

それを父親が、「お、今日はミラノ風料理やな」と言っておいしそうにウインナーをかじっていた。

今思い返すと、「ミラノ風」ってほんまに何なん?(笑)
小さい頃の私は、意味も分からずにウインナーと目玉焼きだけの料理の事を、「ミラノ風」と覚えてしまっていた。

そこから、私が何か料理を作るたびに、「お、今日はミラノ風やな」っていって食べてくれる。そして「美味しい」って言ってくれる。

父親も、多分「ミラノ風」が何かも分からず、語呂の良さだけで言ってたんだろうなぁ。

高校生になってからは、母親の仕事が遅くなる度に、「ご飯みんなの分作っといて」と言われるようになる。

今でも帰省すると、母親に「冷蔵庫になんやかんやあるから晩御飯よろしく」と言われたり、一緒にご飯を作って、「うわ~、やっぱり2人やと早いなぁ」なんて言ったりしている。

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小さい頃から料理が私の身近にあった。そのおかげで今も私は料理が好きだ。

もちろん、たまに疲れて料理がめんどくさかったりもする。
今日作ったの美味しくなかったな、なんて日もあったりする。

それでも私が料理を好きなのは、家族があの時「ありがとう」といって食べてくれたから。そして「美味しい」って褒めてくれたから。

そのおかげで、私は今料理が好きなんだ。

明日の朝ごはんは久しぶりに「ミラノ風」にしてみようかな。



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