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一瞬に宿る永遠性とおばあちゃんの秘めた恋

一昔前に『冬のソナタ』という韓国のドラマが日本で一斉を風靡したことをご存知の方も少なくないのではないでしょうか。

母が当時どっぷりハマっており、その『冬のソナタ』について私と母と祖母(母方の)のなかで話題になることが何度かありました。

そんなある時、祖母が言いました。

「おばあちゃんにもね、春のソナタがあったのよ」

祖母は若い頃とある国立大学の理系の研究室の補佐のような仕事をしていたことがあるようで、そこの研究者の方とお互い淡い恋心を抱いていたそうです。

「昔やから。。デートとかそんなんじゃないのよ。。ただ河原をね2人で散歩してたのよ。春でお天気が良くてお花がもう本当に綺麗に咲いててね。。それだけ。。手つなぐとかもないのよ。でもすごく緊張してね。」

「でも私一人っ子で、長男さんとは結婚できないって思ってたから。。。それっきり。」

「でも冬のソナタ見てて、おばあちゃんの春のソナタ思い出したのよ」

嬉しそうな、でも少し切なさもあるような感じで話してくれたことを覚えています。

祖母の人生が幸せだったのかは本人にしか分からないけれど、色々苦しみも多かったと思います。

でも80年近い人生のなかでは一瞬だったかもだけど、そんな大切な愛おしい煌めく時間が祖母の人生にあったことが私は嬉しいです。

最近、愛について色々考えます。
答えは分からないけれど、こちらの記事を読んでいて、ふとこの祖母の話を思い出しました。

一瞬だけど心の中で永遠だった時間があった祖母の人生は幸せだったと祈りたいです。

祖母は晩年、認知症でした。
頭に記憶としてははもうなかったかもしれないけれど、その春のソナタのなかで感じた感情や感覚はまさに『細胞や光に記憶されていく「永遠にも感じるような一瞬」』として、ずーっと刻まれていたのではと信じたいな。

『光る君へ』を通して、多分私は愛と自分を生きることについての、自分なりの答えに手を伸ばそうとしているのだと思います。

そして『春のソナタ』の話をしてくれたおばあちゃん本当にありがとう。
もっと話聞きたかったな。
どうか孫を見守っていてね。


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