濁り

替え玉の
杯を重ねて
減った汁
コンシーラーでシミを隠す
鏡に作る笑顔の
覗く歯のヤニが気になった
黒い髪にみつけた白髪と
彼岸の春分に
線香の煙たなびく
墓参客に花屋の店番
赤い手を擦りながら
空から降る雪にしかめ面
ドラッグストアに駆け込むと
白さを謳ったカラフルな棚
むかしむかし
缶コーヒーにつけられていた
黒ってなんだ?のコピーを思う
白ってなんだ?不意によぎる
手に握る歯磨き粉に尋ねた
冷たい雪は水色にかわると
明日の風が強すぎて
赤飯を硬くした
電子レンジのなかで
照らされながら回ることを
まだしらない赤子の飯
ごま塩の頬で黒胡麻をぶちまけ
床の上を掃除機で吸う
白い床から除く黒
白ってなんだ?
美しく冷たく濁りのない
白を求めて
どこへゆくのか
わたしは知らない

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