【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #28
第4話 天秤に掛けるもの――(9)
「……さて。中庭の浄化も終わったことですし、僕らも戻りましょうか」
展開していた護符を全て回収し終え、浄化作業も全て済ませたところで、ハギノモリ先生はアサカゲさんに向かってそう言った。
「……オレは、ろむの状態を確認してからでも良いですか? 先生の結界のおかげで、消えたり悪霊化したりはないと思うんですけど、その、新しく連絡手段も持たせてやらないとだし……」
珍しく、もごもごと煮えきらない様子のアサカゲさんである。
そんな彼女の態度か