【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #7
第2話 延長線上の哀歌――(5)
その後、アサカゲさんはハギノモリ先生への経過報告と、必要なものを取ってくると言って、一人音楽室を後にした。なにやら、最終下校時刻までにやっておきたいことがあるらしい。
旧校舎から第二国語科準備室までなら、道順もそう複雑ではないし、すぐに戻ってくるだろう。俺まで一緒に行く必要はないかと思い、安直にここに残ることにしたのだけれど。俺とユウキさんの間には、現在、なんとも重苦しい沈黙が横たわっていた。
俺は誰とでもフラットに会話ができるほうだ