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長編小説『陽炎、稲妻、月の影』まとめ【完結済】

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記憶喪失の地縛霊と霊能力者の女子高生が、校内の心霊現象を解決していく物語です。
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #1

第1話 揺らめきの邂逅――(1)  僅かに初夏の空気を含み始めた春風が、ふわりと廊下を吹き…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #2

第1話 揺らめきの邂逅――(2)  ほどなくして到着したのは、第二特別教室棟一階にある第…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #3

第2話 延長線上の哀歌――(1)  旧校舎の音楽室に居る幽霊の様子を見てきて欲しい。  そ…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #4

第2話 延長線上の哀歌――(2)  旧校舎は、学校創立当初から十数年ほど使われていた建物…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #5

第2話 延長線上の哀歌――(3)  それから、俺は二人の邪魔にならないよう音楽室の隅に座…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #6

第2話 延長線上の哀歌――(4) 「改めて、この子がさっき言ってたアサカゲさん。で、こち…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #7

第2話 延長線上の哀歌――(5)  その後、アサカゲさんはハギノモリ先生への経過報告と、必要なものを取ってくると言って、一人音楽室を後にした。なにやら、最終下校時刻までにやっておきたいことがあるらしい。  旧校舎から第二国語科準備室までなら、道順もそう複雑ではないし、すぐに戻ってくるだろう。俺まで一緒に行く必要はないかと思い、安直にここに残ることにしたのだけれど。俺とユウキさんの間には、現在、なんとも重苦しい沈黙が横たわっていた。  俺は誰とでもフラットに会話ができるほうだ

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #8

第2話 延長線上の哀歌――(6) 「よう、戻ったぜ」  小脇に小さな箱を抱えたアサカゲさん…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #9

第2話 延長線上の哀歌――(7) 「ろむ、聞こえてるか? オレの声が聞こえてんなら、出て…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #10

第2話 延長線上の哀歌――(8) 「なんだ、居るじゃねえか、大桃先輩。来いよ、あんたに話…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #11

第2話 延長線上の哀歌――(9) 「どういうことだ?」 「僕の母方が神社の家系なんだけど、…

四十九院紙縞
5か月前

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #12

第2話 延長線上の哀歌――(10)  朝からいろいろとあったが、気を取り直し、放課後――…

四十九院紙縞
5か月前

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #13

第2話 延長線上の哀歌――(11)  それから期日まで、ピアノの練習は滞りなく行われた。 …

四十九院紙縞
5か月前

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #14

第3話 死神の見識――(1)  旧校舎音楽室の一件から二週間が経ち、衣替え移行期間が始まったことで、校内で夏服の生徒を見かけることが多くなってきた。  それ以外の変化といえば、俺がほぼ毎日、遅くとも放課後には意識が浮上するようになったということだろうか。  仕組みは全くわからないが、この間のように、気がついたら一週間も経っていたというのは、ただただ恐怖しかない。今日がアサカゲさんたちと会える最後の日になるかもしれないと怯えながら一日を終える可能性が低くなるのではれば、俺とし